ハンドリガードとは?いつからするの?しない場合と発達との関係
ライター:発達障害のキホン
赤ちゃんが自分の手をじっと見つめるしぐさのことをハンドリガードと呼びます。ハンドリガードは発達のしるしとも言われていて、いつ始まるかは個人差がありますが早い子だと生後2ヶ月ごろから見せることがあり、数ヶ月するとなくなります。
ハンドリガードをしないことで発達障害や知的障害(知的発達症)があるのではと心配になる保護者もいると思います。そこで今回はハンドリガードと発達の関係から、しない場合やミトンの着衣などハンドリガードに関する悩み、発達の相談先などについて解説します。
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
ハンドリガード(Hand-regard)とは
ハンドリガード(Hand-regard)とは、自分の手をじっと眺める赤ちゃんに特有のしぐさです。regardとは英語で「~をじっと見る」という意味であり、ハンドリガードはそのまま手をじっと見つめるしぐさのことを意味しています。
ハンドリガードは、赤ちゃんが自分が見たものを自分の体の一部と認識する過程のしぐさで、この時期を通して自分の手や腕を自在に動かすことができるようになっていくと言われています。
ハンドリガードは、赤ちゃんが自分が見たものを自分の体の一部と認識する過程のしぐさで、この時期を通して自分の手や腕を自在に動かすことができるようになっていくと言われています。
ハンドリガードはいつから始まる?
ハンドリガードは、赤ちゃんが発達していく中でのステップのひとつです。いつから見られるかは赤ちゃんによって違いがあり、早い子だと生後2ヶ月あたりから、多くの場合は生後3~4ヶ月あたりから見られると言われています。
ハンドリガードは、赤ちゃんが自らの手を認識し始める時期に起こるしぐさです。「自分に体があること」と「その体を自らの意思で動かせること」は当たり前のこととしてとらえている人も多いでしょう。しかし、生まれたての赤ちゃんにとっては、こうした事実は新しい発見であり、不思議なことなのです。そのため、じっと手を見つめたり、動かしてみたりしてそれが何なのか知ろうとしていると考えられています。
ハンドリガードが見られてから数ヶ月がたち、次の発達のステップに進むと自分の手を眺めるハンドリガードのしぐさは徐々に消失していきます。
赤ちゃんの発達過程については4章の『赤ちゃんの成長の過程――ハンドリガードがあらわれる時期』で詳しく解説します。
ハンドリガードは、赤ちゃんが自らの手を認識し始める時期に起こるしぐさです。「自分に体があること」と「その体を自らの意思で動かせること」は当たり前のこととしてとらえている人も多いでしょう。しかし、生まれたての赤ちゃんにとっては、こうした事実は新しい発見であり、不思議なことなのです。そのため、じっと手を見つめたり、動かしてみたりしてそれが何なのか知ろうとしていると考えられています。
ハンドリガードが見られてから数ヶ月がたち、次の発達のステップに進むと自分の手を眺めるハンドリガードのしぐさは徐々に消失していきます。
赤ちゃんの発達過程については4章の『赤ちゃんの成長の過程――ハンドリガードがあらわれる時期』で詳しく解説します。
ハンドリガードで見られるしぐさ
ハンドリガードは主に手を見つめるしぐさですが、いくつかバリエーションもあります。
手のひらだけでなく、握りこぶしをつくって見つめることもあり、指やこぶしをしゃぶってみる赤ちゃんもいるようです。また、腕をゆらゆらと動かすのを見たり、手先をグーパーと開閉したり、胸の前に両手をもってきて指先を合わせることもハンドリガードの一種と言われています。
手のひらだけでなく、握りこぶしをつくって見つめることもあり、指やこぶしをしゃぶってみる赤ちゃんもいるようです。また、腕をゆらゆらと動かすのを見たり、手先をグーパーと開閉したり、胸の前に両手をもってきて指先を合わせることもハンドリガードの一種と言われています。
ハンドリガードは発達のしるし
ハンドリガードのしぐさが出る時には赤ちゃんには「ものを見る力」と「体を動かす力」というふたつの力が身についていると考えられます。
ものを目で見る力
ハンドリガードをするためには、まずは見たい対象へ焦点を合わせる目の力が必要です。
赤ちゃんは新生児期に目の前30~40センチのところに視線を合わせる「注視」ができるようになり、生後1ヶ月ごろには「追視」といって対象を目で追うことができるようになってきます。
生後2~3ヶ月ごろには物を立体的に把握する「立体視」の芽生えが見られ、4ヶ月ごろには多くの赤ちゃんが立体視できるようになっていきます。立体視ができることで、目の前にある手に焦点を合わせて認識することができるようになります。
赤ちゃんは新生児期に目の前30~40センチのところに視線を合わせる「注視」ができるようになり、生後1ヶ月ごろには「追視」といって対象を目で追うことができるようになってきます。
生後2~3ヶ月ごろには物を立体的に把握する「立体視」の芽生えが見られ、4ヶ月ごろには多くの赤ちゃんが立体視できるようになっていきます。立体視ができることで、目の前にある手に焦点を合わせて認識することができるようになります。
体を動かす力
生後間もなくの赤ちゃんは、私たち大人のように思った通りに体を動かすことができません。成長につれて、次第に自らの体を動かすことができるようになってきます。
赤ちゃんは生後1~2ヶ月になると、入浴時に手足をばたばた動かしたり、両手を横に伸ばしたり、哺乳瓶を支える動きをしたりとある程度自分の意志で手足を動かせるようになります。
生後3ヶ月ごろには仰向けの姿勢で手と手、足と足を触れ合わせることができるなど身体を動かす力が発達していきます。
このように目で物を捉える力と、体を動かす力が発達することで、手を目の前に出しそれを見つけるというハンドリガードのしぐさが見られるようになります。
赤ちゃんは生後1~2ヶ月になると、入浴時に手足をばたばた動かしたり、両手を横に伸ばしたり、哺乳瓶を支える動きをしたりとある程度自分の意志で手足を動かせるようになります。
生後3ヶ月ごろには仰向けの姿勢で手と手、足と足を触れ合わせることができるなど身体を動かす力が発達していきます。
このように目で物を捉える力と、体を動かす力が発達することで、手を目の前に出しそれを見つけるというハンドリガードのしぐさが見られるようになります。
ハンドリガードに関するお悩みQ&A
ハンドリガードをしないのだけれど…
ハンドリガードのしぐさを頻繁にする赤ちゃんもいれば、なかなかしない赤ちゃんもいます。もしかすると保護者の方が見ていない時にしていることも考えられます。しかし、ハンドリガードのしぐさが実際に見られないことで不安になっている方もいるかもしれません。
先ほどお伝えしたように、ハンドリガードは、目で体の一部である自分自身の「手」を見て、獲得した体を動かす力を使うことにより、自らの体に気付いていく過程のしぐさです。例えば、ハンドリガードをしていなくても、足を見るフットリガードが見られる時はハンドリガードと同じような発達的な意味をもっているので安心してよいと考えられます。
◇発達に遅れがあるのかしら…という不安な気持ちをもつ方へ
ハンドリガードを含め、一般的に対象の月齢でできるとされている何らかの動作を、自分の子どもができない時によく聞かれるのが「発達障害や知的障害(知的発達症)があるのではないか」という不安の声です。
確かに発達障害や知的障害(知的発達症)のある子どもの場合には、「●●ができるようになる」と一般的な育児書に載っている月齢や年齢になっても、その行為をすることができないことは多くあります。
しかし、実際に発達障害や知的障害(知的発達症)があるかは、複数ある基準にどの程度該当するかにより、診断されるものです。特に、生後数ヶ月の段階では判断することが難しいとされています。
生後数ヶ月の時期の赤ちゃんとかかわる周囲の大人にとって大切なことは、赤ちゃんが発達の中でどのステップにいるかを把握すること、そしてその赤ちゃんの発達を促すためにどのような支えが必要か知ることです。
例えば、
・上記の章で述べた「体の動きのステップ」の中で、赤ちゃんがどのステップにいるのかどうかを観察すること
・「目でものを見ているか」「自ら体を動かすことはできているのか」とハンドリガードに必要な二つの動作をひとつひとつ観察すること
など、まずは赤ちゃんの様子を観察をしてみてください。観察をして赤ちゃんができている点と発達の課題点を把握していくことが大切です。
発達を促す工夫として、ひとつご紹介したい体操があります。それは赤ちゃんの感覚に刺激を与えることです。
新生児期は、感覚の中でも特に触覚が研ぎ澄まされている時期です。ですので、手をさすりながら軽く引っ張ってあげて、手の感覚に外部からの刺激を与えてあげましょう。このように外から刺激を受けることにより、身体を動かしたいという気持ちが起こり、自分の体を使って主体的に試していこうとする「好奇心」や「意欲」をもつことができます。これによりハンドリガードが出るとは限りませんが、引き出された「好奇心」や「意欲」が発達を促していくことは確かであるといえます。
先ほどお伝えしたように、ハンドリガードは、目で体の一部である自分自身の「手」を見て、獲得した体を動かす力を使うことにより、自らの体に気付いていく過程のしぐさです。例えば、ハンドリガードをしていなくても、足を見るフットリガードが見られる時はハンドリガードと同じような発達的な意味をもっているので安心してよいと考えられます。
◇発達に遅れがあるのかしら…という不安な気持ちをもつ方へ
ハンドリガードを含め、一般的に対象の月齢でできるとされている何らかの動作を、自分の子どもができない時によく聞かれるのが「発達障害や知的障害(知的発達症)があるのではないか」という不安の声です。
確かに発達障害や知的障害(知的発達症)のある子どもの場合には、「●●ができるようになる」と一般的な育児書に載っている月齢や年齢になっても、その行為をすることができないことは多くあります。
しかし、実際に発達障害や知的障害(知的発達症)があるかは、複数ある基準にどの程度該当するかにより、診断されるものです。特に、生後数ヶ月の段階では判断することが難しいとされています。
生後数ヶ月の時期の赤ちゃんとかかわる周囲の大人にとって大切なことは、赤ちゃんが発達の中でどのステップにいるかを把握すること、そしてその赤ちゃんの発達を促すためにどのような支えが必要か知ることです。
例えば、
・上記の章で述べた「体の動きのステップ」の中で、赤ちゃんがどのステップにいるのかどうかを観察すること
・「目でものを見ているか」「自ら体を動かすことはできているのか」とハンドリガードに必要な二つの動作をひとつひとつ観察すること
など、まずは赤ちゃんの様子を観察をしてみてください。観察をして赤ちゃんができている点と発達の課題点を把握していくことが大切です。
発達を促す工夫として、ひとつご紹介したい体操があります。それは赤ちゃんの感覚に刺激を与えることです。
新生児期は、感覚の中でも特に触覚が研ぎ澄まされている時期です。ですので、手をさすりながら軽く引っ張ってあげて、手の感覚に外部からの刺激を与えてあげましょう。このように外から刺激を受けることにより、身体を動かしたいという気持ちが起こり、自分の体を使って主体的に試していこうとする「好奇心」や「意欲」をもつことができます。これによりハンドリガードが出るとは限りませんが、引き出された「好奇心」や「意欲」が発達を促していくことは確かであるといえます。
ミトンはしないほうがいいの?
赤ちゃんが手で顔をひっかいてしまう時には、手にミトンをはめることにより顔をひっかくのを防止することができます。
しかし、「赤ちゃんにミトンをつけさせるとよくない」と耳にしたことがあるかもしれません。確かに赤ちゃんは周りの物や人に触れることによって行動の幅を広げていきますが、実際にはミトンをつけることが発達に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。
ミトンの着衣の良し悪しについて考えることよりも先に、なぜ赤ちゃんが顔をひっかいてしまうのか原因を把握し、顔を引っ掻かないよう対処を考えることが大切です。
◇顔を引っかく原因って?
赤ちゃんが顔をひっかいてしまう原因により、対処法は異なります。顔を引っ掻く原因として考えられるのは、ストレスや空調環境の悪さや、体の動きをコントロールできないことなどさまざまです。
【ストレス】
お腹がすいたことや体調の不快さなどの要求が通らない時には、赤ちゃんはストレスがたまります。そのような時には、大人が近くにいることにより赤ちゃんの要求がなるべく通る環境を準備してあげるとよいでしょう。
【体のコントロールの不十分さ】
赤ちゃんのハンドリガードが出るころには、確かめるように自分の顔を触ることが増えてきます。しかし、赤ちゃんは思うように正確に体を動かすことができないので、顔に触れる時に伸びた爪で顔をひっかいてしまうことがあります。
爪をこまめに切ってあげることはもちろんですが、とがった部分がないように爪を切った後にはやすりをかけてあげるとよいでしょう。
【環境の温度や湿度・衣服の問題】
体温があがり顔が熱くなった時には、かゆみがでることがあります。赤ちゃんの体温は周囲の環境の影響を受けやすいために、部屋の中に赤ちゃんがいる時には空調の調節に気をつかってあげるとよいでしょう。適度な温度と湿度を調整してあげるとよいでしょう。
また、空調のほか、寝ている時に、厚着をしていたり、布団をたくさんかけていると体温があがり、かゆみを感じやすくなる場合があるので、着衣やかけ布団の枚数にも気を付けたいものです。着衣の目安は、だいたい大人より1枚多めくらいがよいでしょう。
しかし、「赤ちゃんにミトンをつけさせるとよくない」と耳にしたことがあるかもしれません。確かに赤ちゃんは周りの物や人に触れることによって行動の幅を広げていきますが、実際にはミトンをつけることが発達に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。
ミトンの着衣の良し悪しについて考えることよりも先に、なぜ赤ちゃんが顔をひっかいてしまうのか原因を把握し、顔を引っ掻かないよう対処を考えることが大切です。
◇顔を引っかく原因って?
赤ちゃんが顔をひっかいてしまう原因により、対処法は異なります。顔を引っ掻く原因として考えられるのは、ストレスや空調環境の悪さや、体の動きをコントロールできないことなどさまざまです。
【ストレス】
お腹がすいたことや体調の不快さなどの要求が通らない時には、赤ちゃんはストレスがたまります。そのような時には、大人が近くにいることにより赤ちゃんの要求がなるべく通る環境を準備してあげるとよいでしょう。
【体のコントロールの不十分さ】
赤ちゃんのハンドリガードが出るころには、確かめるように自分の顔を触ることが増えてきます。しかし、赤ちゃんは思うように正確に体を動かすことができないので、顔に触れる時に伸びた爪で顔をひっかいてしまうことがあります。
爪をこまめに切ってあげることはもちろんですが、とがった部分がないように爪を切った後にはやすりをかけてあげるとよいでしょう。
【環境の温度や湿度・衣服の問題】
体温があがり顔が熱くなった時には、かゆみがでることがあります。赤ちゃんの体温は周囲の環境の影響を受けやすいために、部屋の中に赤ちゃんがいる時には空調の調節に気をつかってあげるとよいでしょう。適度な温度と湿度を調整してあげるとよいでしょう。
また、空調のほか、寝ている時に、厚着をしていたり、布団をたくさんかけていると体温があがり、かゆみを感じやすくなる場合があるので、着衣やかけ布団の枚数にも気を付けたいものです。着衣の目安は、だいたい大人より1枚多めくらいがよいでしょう。