娘の本心を引き出すのは母のお芝居!?怒りの理由を言葉にする大切さ

ライター:GreenDays
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アスペルガー症候群のある娘は幼い頃から怒りの感情に振り回されて苦しんできました。さまざまな形でアンガーコントロールに取り組んで来ましたが、今回は「なぜそんなことで怒るの?」という観点から怒りについて考えてみました。

怒りに翻弄され苦しむアスペルガー症候群の娘。

9歳の娘はアスペルガー症候群と診断されています。

自分の感情のコントロールが難しく、赤ちゃんの頃から力の限り怒り続けてきた娘。周囲はもちろん大変ですが、人生の大半を怒りの感情に翻弄されている本人が一番苦しんでいるのだと思います。

これまで思いつく限りの方法で娘とともに怒りの感情と向き合ってきました。そのおかげで、今では少しずつ和やかに過ごせる時間が増えてきています。しかし、心に余裕のない時はつい怒りを炸裂させてしまい、収まった後にも自分を罵ってしまうのです。その姿を見ていると、まだまだ工夫できることが残っているような気がします。

今回は、息子が私に「“こちょこちょ”して〜!」とねだっている姿を見て激怒した娘と話し合い、なぜそこで怒らなければならなかったのかを考えてみました。

怒りの裏には隠された感情があった!

ある日曜日の朝。

私のベッドにもぐりこんで、「“こちょこちょ”して〜!お願い!」と甘える息子と「え〜、どうしようかな?」と笑いながら話していた時のことです。自分のベッドで本を読んでいた娘がなんの前ぶれもなく怒鳴り始めました。

「ちょっと!いい加減にしなさい!ママはゆっくりしたいのにワガママばかり言って!聞いてるだけでしつこくてうんざり!!」

まったりと過ごしていた時間は娘の怒鳴り声で瞬く間に消え去ってしまいました。しゅんと落ち込んでしまった息子と、怒りに震える娘のケアをしなければと考えただけで、朝から私もぐったりしてしまいます。

どうしてこうなってしまうんだろう?
そう思った時は、問題点をじっくりと考えるチャンス。まずは娘の様子を観察し、どんな気持ちだったのかを聞き出してみました。

こちらを向いて怒っている娘は、口を尖らせて目に涙を浮かべています。これは正義感から怒っているのではなく、なにかを我慢している時の顔。

私「ねぇ、なにか我慢したりしてない?」

娘「そりゃしてるよ!私だってママの所に行きたけど我慢してたのに!のこのこベッドに潜り込んでくすぐってもらうなんて!」

私「そっか。じゃあ弟のことがちょっと羨ましかったのかな?せっかく我慢して自分の気持ちを閉じ込めてたのに、何も考えずに甘えられる弟に嫉妬しちゃったのかもしれないね」

娘「ううっ。ママ、どうして私の気持ちが分かるの!?私だって何も考えずにママのベッドに飛び込みたいよ!

これが怒りに隠された娘の本当の気持ちなのです。私は娘と似た思考回路を持っているので、本心はどこにあるのかを毎回じっくりと探ることができます。ですが他の人には、本当の気持ちを汲んでもらうことは難しいでしょう。

私だけではなく、他の人に自分の気持ちを上手く伝えられるようになるためには、まずは自分で怒りの影に隠された気持ちに気づくことが大切です。長い時間をかけて娘の気持ちを言語化し続け、「自分は今こういう心理状態にあるんだな」と判断できるようになってくれれば、スムーズにコミュニケーションを取れる機会が増えてくるかもしれません。

子供たちを素直にするのは母のお芝居!?

そこで、私はある方法を取ることにしました。

私「そっかー!いっぱい我慢してくれてたんだね、ありがとう。でも、それで誰かを攻撃しちゃうくらいなら、我慢しなくていいんだよ?」

娘「でもママの体のことを考えたら、素直になんてなれないよ!」

私「じゃあね〜、こうしてみよう!(声色を変えて)『羨ましいを検知しました!羨ましいを検知しました!どうぞこちらへ!』」

娘「うふふ。なにそれ〜!」

私「ママが疲れて大変なときは、ちゃんと無理だって伝えるから心配しなくていいよ。羨ましいと思ったら、まず自分の心を満たしてあげることを考えよう?そうすると、自分も周りもハッピーになれるから!こっちにおいで『羨ましいを検知しました!羨ましいを検知しました!今すぐママのそばに来てください!』」

娘「ちょっとー!そのロボットみたいな声やめてよ~」

さっきまで怒り狂っていた娘は、恥ずかしそうに笑いながら私のベッドに潜り込み、ようやく安堵のため息をつきました。

私がいつもの口調で「こっちにおいで」とだけ伝えると、娘はより一層態度を頑ななものにしてしまいます。私ではない別人格が話しているように少しお芝居をすると、子どもたちは笑ってなぜか素直になることができるのです。お母さんは怒るかもしれないけど、お芝居の中のキャラクターは自分たちを怒ったりしないと思っているからかも知れませんね。
次ページ「毎日の生活の中で少しずつ感情を整理」

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