場面緘黙(かんもく)の原因とは?声が出ない要因、子どもの緘黙はなぜ起こる?大人の場合は?について解説

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場面緘黙とは、たとえば家庭では問題なくおしゃべりができるのに、幼稚園や学校などの公共の場など特定の場面で「話せない」状態をいいます。子どもだけではなく大人も緘黙が起こることもあります。場面緘黙がおこる場合、どのような原因があるのでしょうか?その多くは「不安」から身体を守るメカニズムで起こっています。声が出ない原因を探っていきましょう。

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目次 場面緘黙って? 場面緘黙の特徴とよくある誤解 場面緘黙はなぜ起こるの?原因は? 発達障害と場面緘黙 大人の場面緘黙の原因 場面緘黙の早期発見・早期対応の重要性 まとめ

場面緘黙って?

緘黙(かんもく)とは、発声器官には問題がなく、言語能力があると認められているにもかかわらず、特定の場面などでしゃべることができなくなってしまうことをいいます。2014年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計のマニュアル』第5版) において、場面緘黙症は不安障害の一種とされています。

場面緘黙は、本人が自分の意思で話す場所を選んでいるのではありません。一定の状況におかれると、どうしても話すことができないのです。(同義で「選択性緘黙」という呼称もありますが、この記事では場面緘黙と表記します。)
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場面緘黙の特徴とよくある誤解

場面緘黙は、子どもが、学校や公共の場所などの特定の場面で話せなくなることです。家庭では問題なく流暢にことばを話せている子どもについて学校の先生から「お子さんは学校で話しません」と聞かされ、その症状をはじめて認識し、びっくりする保護者も多くいます。

場面緘黙がある子どもはわざと「話さない」わけではありません。周りにはそのように誤解されやすいのですが、緘黙児は不安や緊張があるため「話せない」のです。これは症状を理解するために、とても重要なポイントになります。

また「時間が経過すれば自然と治る」と思われがちですが大人になっても緘黙が続いたり、また大人になってから発症することもあります。「大人の場面緘黙」に関しては、社会的な認知度は子どもの場面緘黙よりさらに低く、あまり知られていません。大人が発症する場合、既往歴をみると子ども時代にまで遡れる場合がほとんどですが、子どもの頃の緘黙に関して、はっきりとした自覚症状がない大人の当事者もいます。

場面緘黙はなぜ起こるの?原因は?

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場面緘黙は単一の原因で生じる状態ではありません。影響している要因は人によってさまざまで、いくつかが複雑に絡み合って生じます。はっきりとしたメカニズムはわかっていませんが、さまざまな仮説に基づいて検証が行われています。場面緘黙が生じやすい要因としては主に以下の項目が挙げられます。

◇行動抑制的な気質(生物学的な要因)
一般的に繊細で感じやすく、何かに慣れるのに時間がかかったり、人見知りが激しい気質を持った子どもがいたりします(赤ちゃんの時に、そのような性質があった子どもを含む)。

このような繊細な子どもは、集団行動や対人関係において「他人に対して慎重な態度をとる」「目立つことを嫌う」「新しい状況になじむのに時間がかかる」という傾向が挙げられます。

繊細さはどこから生まれるのでしょうか?その多くは先天的な脳のはたらきに起因していると言われています。

行動抑制的な気質が起こる原因には、危険に反応する脳である「扁桃体」が大きく関係しているのではないかという研究仮説があります。場面緘黙がある子どもは、脳の扁桃体の反応する閾値(反応を引き起こすのに必要な刺激や入力の最小限の値)が低く、刺激に対して過敏に反応してしまうのです。この気質を持った子どもたちは危険を感じる程度が、普通の人よりも敏感で繊細なために、小さな刺激に大きな不安を感じてしまうのではないかといわれています。

そのため、家などのリラックスしてくつろぐことのできる不安の少ない環境ではことばが話せるのに、人が集まる学校などでは些細なことでも不安を感じやすく、行動を抑制してしまうことから「話せない」状態になっているのではないかとみられています。
◇認知の偏り
緘黙がある子どものなかには、ことばの発達の遅れや発達の凸凹(発達障害)などが起因している場合があります(発達障害とのかかわりについてはのちの章で解説します)。

・感覚過敏(光や音に敏感、食べ物や衣服に好き嫌いが激しくあるなど)
・物事の受け取り方や考え方に偏りがある
・ことばの意味の理解に時間がかかる、単語を思い浮かべたり文章構成に時間がかかる
・発達障害(未診断を含む)

◇話しことばの理解
およそ3分の1の緘黙児に話しことばや言語の問題があるといわれています。家庭より複雑で高度なコミュニケーションが求められるところでの会話が難しいと感じる子どもがいます。バイリンガル環境におかれている子どもに場面緘黙が発症するのもこの要因に含まれます。

◇身体・運動
身体の育ちや身体能力が緘黙の要因になる場合があります。

・運動の不得手
・非言語領域の問題(雰囲気を汲み取った行動ができない、不器用など)
・身体発達の問題(身体発達がゆっくりしている、動きがぎこちない、バランスがとりづらいなど)

◇環境要因
緘黙の発症に関わる環境要因は、単純なロケーションの問題に限りません。

その環境が継続的/断続的だったのか、ある期間の作用/一回の出来事だったのかなどによって起因する場合が異なります。またその場所や出来事の組み合わせについても、保護者や教師の客観的な認識と本当の原因が異なる場合があります。「子どもの主観的な体験がどうだったのか」という視点で考えることが必要だといわれています。

直接場所に関係する要因、クラスメイトとの関係や、心身への危害など外からの負荷一般、以下のような項目がこの要因に含まれます。

・急激な環境の変化(転校やクラス替え、引っ越しなど)
・恐怖や失敗、辛い体験(いじめ、病気やけが、傷つくことを言われたなど)

育て方が原因で場面緘黙になるという説は撤回されている

以前は過保護や無関心な態度など、親の育て方が場面緘黙の原因になり得ると、家族要因に結び付けた研究も多く発表されましたが、近年ではそういった説は撤回されています。

養育方針やしつけの方法、家族関係などについて、場面緘黙がある子どもの親と場面緘黙がない親の間に違いは見られないということが立証されています。

発達障害と場面緘黙

場面緘黙は医学上の定義では不安障害の一種と考えられており、発達障害には含まれていません。5歳前後で発症することが多いといわれています。

しかし、教育分野や行政政策の上では「場面緘黙」は発達障害者支援法の対象になっています。学術的な発達障害と行政政策上の発達障害が一致していないことに混乱する保護者の方もおられるでしょう。

実際のところ、場面緘黙がある子どものうち、発達障害が場面緘黙の発症に影響したと考えられる子どもがいます。

これら疾患の因果関係については、実際は明確な診断分けが難しい場合も多いとされています。「場面緘黙は発達障害と併存することがある」ととらえたほうが、場面緘黙がある子どもの手立てを考える上で有効だといえるでしょう。

2000年にアメリカの学会でクリステンセンが発表した説によると、発達障害は、不安障害と同じくらい場面緘黙と併存しやすいといわれています。コミュニケーション障害、発達性協調運動障害、軽度精神発達遅滞、アスペルガー症候群などとの併存が多いようです。

発達障害の二次障害としての場面緘黙

発達障害は見た目にわかる障害ではありません。早期発見・早期治療が大切であるとされていますが、見過ごされることもあります。

発達障害がある(もしくはその疑いがある)子どもに対して、環境調整など適切な対応がなされなかった場合、その子にとって受け入れられない問題が生じ、場面緘黙になる場合があります。

子どもの特性が理解されないまま、失敗経験を繰り返し、自己評価を下げることにつながります。このような場合、場面緘黙の症状に限って対処を行っても、改善がみられないことがあります。

大人の場面緘黙の原因

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