自傷行為とは?痛くても行う理由や精神障害との関係、具体的な止め方、周囲の適切な対応を解説します

2017/06/22 更新

自傷行為は自らを死なない程度に傷つける行為です。その多くは、10代~20代に見られます。自傷行為はやめたくてもなかなかやめられません。その背景には脳内物質の分泌があるといわれています。この記事では、自傷行為と紛らわしい自傷行動、自殺行為との違いや、自傷行為の種類、理由、目的から精神障害との関係まで詳しく説明します。

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目次

自傷行為とは

自傷行為とは、ネガティブな気分を軽減する、人間関係のトラブルを解決する、ポジティブな気分になるといったことを期待して自分の体を意図的に傷つける行為です。

自傷行為の方法は人それぞれ異なります。具体的には次のようなものがあります。

・リストカット
・鉛筆や針を腕に刺す
・消しゴムで繰り返し皮膚をこすって、やけどをつくる
・火のついたたばこを皮膚に押し付ける
・自分を叩いたり、頭を壁にぶつけたりする
・薬を過剰に飲む
・治りかけた傷口をこする など

どれも死に至るレベルの傷がつくことはありませんが、周りからすると痛々しく見えます。

自傷行為と子どもの自傷行動との違い

自傷行為は、10代から20代の人がすることが多いと言われています。もっと低年齢で、頭を壁に打ちつけるなどの行動が見られる場合は、「自傷行為」ではなくてコミュニケーションの困難などからくる「自傷行動」である可能性があります。

コミュニケーションが困難な子どもが、親にかまってほしいことなどを伝える手段として自らを傷つけたり、感覚が鈍い子どもが感覚遊びとして頭をどこかにぶつけたりすることがあります。このような行動が自傷行動です。自傷行動は自閉症などの発達障害のある人や、知的障害のある人に見られる場合もあります。

自傷行為と自傷行動は、どちらも自分を傷つける点では共通ですが、その理由や対処法は異なるので注意が必要です。自傷行動に関しては関連記事を参照してください。
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自傷行為と自殺行動との違い

誤解されやすいのですが、自傷行為そのものは自殺するための行動ではありません。

自傷行為と自殺行動にはどのような違いがあるのでしょうか。自傷行為と自殺行動の背景には、どちらも精神的苦痛があると考えられていますが、この苦痛の性質に違いがあります。

自殺行動の要因となる苦痛は「もうなにをやってもだめだ」という絶望感や無力感から生じることが多いです。そして、自殺行動に至るような人は、「この苦痛はいかなる方法でも回避することができないものだ」と考えてしまいます。

そのため、自殺を考えている人は、「自殺」が今のつらい状況から解放される唯一の手段だと確信していることも珍しくありません。

自傷行為をする人は、精神的につらい時期とそうでない時期を繰り返しています。つらいときに、一時的につらくないようにするための手段が自傷行為なのです。

自傷行為を理解する上で注意しなくてはいけないことは、自殺とは目的が違うということなのです。

なぜ自傷行為をするのか

自傷行為を経験したことがない人は、リストカットをはじめとする自傷行為は周囲の関心を集めたり、周囲に自分の状況をアピールしたりするために行われるのだと考えがちです。

しかし、自傷行為は必ずしも周囲の人へのアピールのために行われているとは言えません。自傷行為の経験がある人の話を聞いていくと、自傷行為は一人でいるときに周りの人に気づかれないように注意して行われていることが少なくないことがわかります。

もし本当に自傷行為が周囲に向けて行われているなら、人の多いところでしたり、積極的に自傷行為をしていることを告白したりしていくはずです。

では、なぜ自傷行為をするのでしょうか。これまで研究・分析されて来た結果によると、自傷行為には次のような理由があるとされています。

◇不快感情の軽減のため
気分が落ち込んでいた時やストレスがたまってしまった時に、そのつらい感情から解放される手段として自傷行為を行うことがあります。

自傷が安定剤の役割を果たしていたり、ストレス解消の唯一の手段になっていたりと、自殺願望はなく、むしろ生きていくために行っていると述べる方も少なくありません。

これは本人が認識することの難しい「心の問題」を、痛みとして認識しやすい「身体の問題」に置き換えることで不快感情を軽減しているとも言えます。

◇自己懲罰的な自傷行為
自分自身を罰したいと考えて自傷行為をする人もいます。このような人は自分の理想や親の期待に対して現実が追いつかなかったときに、「どうしてこんなこともできないんだ」と考えてしまいがちです。

自傷行為の背景にある本人の心理として、周囲に悩みを打ち明けることが苦手で自分ひとりで抱え込んでしまったり、自己評価が低く自分が傷つくのは当たり前だと考えたりしていることもあります。

上記の理由ほど多くはありませんが、一部の人は周囲に自分が愛されているのか知りたかったり、自分がどれだけ絶望しているか伝えたかったり、仕返ししたりするために自傷行為をする場合もあるようです。

自傷行為の多くは「周囲に気づいてもらうため」にするのではなくて、なんとかしたいけれどもどうしようもなくて「一人で解決するため」にしているSOSだと理解するといいでしょう。

自傷行為のメカニズム

自傷行為をしている話を見たり聞いたりしたときに、どうしてわざわざ痛い思いをしてまでそんなことするのか不思議に思ったことはありませんか。

「痛み」を伴う行為によって脳内物質が変化するといわれています。「自傷行為をした時に不快感が軽減される」という一見逆説的な現象がなぜ起こるのか?そのメカニズムをみてみましょう。

ヒトには外傷を負ったり、過度な負荷が身体にかかったりしたときに、脳内で内因性オピオイドと呼ばれる物質を分泌して鎮痛効果を得る仕組みがあります。具体的には、エンケファリンやβエンドルフィンなどです。

例えば、マラソンのような長距離を走るとき、はじめのうちは苦しく感じますが、だんだんその苦痛が和らいでいき、最終的には高揚感に包まれることがあります。この現象はランナーズハイと呼ばれ、脳内でβエンドルフィンが分泌されることで引き起こされています。

ランナーズハイと同じように、自傷行為によっても脳内でこれらの物質が分泌されます。そのため、人によっては自傷行為で痛みをあまり感じません。それどころか精神的な安らぎを感じることもあるのです。

ここで注意しなければならないのが、自傷行為にも「慣れ」と「依存」があることです。例えば、リストカットをしている人でもだんだんと刺激に慣れてきて、頻度が増えたり、より深い傷をつけたりするようになる場合があります。

自傷行為をやめたくてもなかなかやめられない人は、タバコやアルコール依存のように、自傷行為によって脳内物質を分泌することに依存しているのかもしれません。

自傷行為と精神障害の関係は?

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