赤ちゃんと目が合わない原因と自閉スペクトラム症の関係、育児不安への対象法まで【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン

赤ちゃんをあやす時や授乳をする時など、赤ちゃんと目が合わないと感じると、疾患や発達障害への不安や愛着形成への不安を感じてしまうことも少なくないのではないでしょうか。この記事では赤ちゃんと目が合わない原因と目の病気・自閉症スペクトラム障害との関係、目が合わなくて不安に感じた時の対処法をご紹介します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。
目次

赤ちゃんと目が合わない…

赤ちゃんは人の目を好んで見つめると言われています。

赤ちゃんを抱っこしている時や授乳をしている時、パパ・ママが赤ちゃんを見つめていると、赤ちゃんもパパ・ママを見つめ返してくれる時があります。

ですが、赤ちゃんと目が合わない、目をそらされてしまうことに悩んでいるパパ・ママもいるといいます。赤ちゃんと目が合わないと、赤ちゃんとのコミュニケーションが取れている気がしなくて辛いと感じることも少なくありません。また、目の病気があるのかも?目が合わないことが特徴の一つと言われている、自閉症スペクトラム障害かも?など不安に思う方も多いのではないでしょうか。

以下から、赤ちゃんと目が合わない原因や赤ちゃんの視力発達のメカニズム、目が合わないことと疾患や自閉症スペクトラム障害との関係性について詳しく説明していきます。
赤ちゃんと目が合わない時、その原因としてどんなことが考えられるのでしょうか。

育児本やウェブサイトで調べてみると、ついつい「目の疾患」「自閉症スペクトラム障害」という言葉が目についてしまうかもしれません。でも、赤ちゃんと目が合わない原因の大半は、そこまで心配しなくてよいものだったり、成長の過程であったりするものです。例えば、次のような原因があります。まずはそれらに当てはまる様子はないか、赤ちゃんの様子をよく見てみましょう。

他のことが気になっている?

赤ちゃんにとって身の回りの物はすべて新鮮であり、興味や関心の対象です。大好きなパパ・ママがそばであやしてくれていても、他に何か気になるものを見つけると、そちらへ興味の対象が移ってしまうこともあります。

個性や性格、発達のペースの違い?

生まれたばかりの赤ちゃんとはいえ、一人ひとり個性があり、性格も異なります。じっと凝視されるのが少し苦手な赤ちゃん、好奇心が強く、目新しいものにきょろきょろと視線を移す赤ちゃんなどさまざまです。

育児書など子育てに関する情報から「赤ちゃんは一定の月齢になるとパパ・ママと目を合わせるようになるはずだ」などと思い込んでしまうと、自分の赤ちゃんにそのような様子が見られない場合、途端に不安になってしまいがちです。赤ちゃん自身の育ちのペースや個性を受け入れ、見守っていくという姿勢が大切です。
水野 克已/著『笑顔で子育てあんしん赤ちゃんナビ―6か月(はじめ)よければすべてよし! 』2013年/メディカ出版
https://www.amazon.co.jp/dp/4840441618
公益財団法人母子衛生研究会 赤ちゃん&子育てインフォ
https://www.mcfh.or.jp/

パパ・ママの関わり方?

赤ちゃんは自分のことをあやしてくれる人の表情や声にとても敏感です。

生まれつき視覚や聴覚からの刺激に敏感な赤ちゃんもいます。急に近づいたり、顔を近づけたり、大きな声で話しかけると顔を背けてしまうかもしれません。目が合わせにくいからと焦って目を合わせようとすると、赤ちゃんもその不安やストレスを敏感に感じ取るかもしれません。

赤ちゃんをあやす時、自分がどのような表情をしているか確認することが、赤ちゃんと目が合わない原因を探り当てるヒントになるかもしれません。
赤ちゃんが笑わない!? そんな時に考えられる原因、赤ちゃんの笑顔を引き出すコツとは?のタイトル画像

赤ちゃんが笑わない!? そんな時に考えられる原因、赤ちゃんの笑顔を引き出すコツとは?

赤ちゃんと目が合わない時、ここまでで紹介したことが原因となっていることが多数ですが、もしかしたら次のようなことが原因である可能性もあります。

目、視力の異常?

目の病気の発症や視力の異常が見られる赤ちゃんは、視線が定まらなかったりきょろきょろしたりする様子が多く見られます。赤ちゃんによく現れる目に関する異常には、斜視・眼振・弱視などが挙げられます。これらの詳しい症状や治療方法に関しては「目が合わない赤ちゃんと目の病気の関係って?」の章で解説します。

発達障害(主に自閉症スペクトラム障害)?

発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害には、「人とのコミュニケーションが苦手・困難」「こだわりの強さ・感覚のかたよりがある」という特徴があります。自閉症スペクトラム障害の症状には視線が合いにくいことも挙げられていることから、目が合わない赤ちゃんに対して自閉症スペクトラム障害かも?と不安になるパパ・ママもいるでしょう。

赤ちゃんと目が合わないということだけで自閉症スペクトラム障害であると診断されることはなく、さまざまな視点からの検査・観察から総合的に判断されます。ですが、自閉症スペクトラム障害と診断がつく年齢(3~5歳頃が多いとされています)の子どもが赤ちゃんの時、「目が合わなかったな…」と感じるパパ・ママは少なくないようです。

目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害の関係性に関して詳しく知りたい方は、「目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害との関係って?」の章をご覧ください。

赤ちゃんの視力発達のメカニズム

赤ちゃんは生まれた直後からものがはっきり見えているわけではありません。生まれてから1歳までの間、どのように視力が発達していくのかについて説明します。

生後直後~生後2ヶ月

生まれてすぐの赤ちゃんの視力は、明るいか暗いかが分かる程度と言われています。生後1ヶ月ごろで視力は0.01~0.03くらいで、人や物の輪郭がぼんやり捉えられたり、はっきりとした色は認識できたりします。生後2ヶ月では、お母さん・おもちゃなどの動きを目で追う「追視」が見られるようになります。

生後3ヶ月~生後6ヶ月

生後3ヶ月過ぎから生後6ヶ月頃は急激に視力発達する時期です。生後3ヶ月では人や物をじっと見つめることが増えたり、瞬きが上手にできるようになったりします。

生後6ヶ月時点での平均的な視力は約0.1まで上昇します。生後6ヶ月になると、見えないところから声をかけるとその方向に目を向けるなど、視覚と聴覚が連動するようになってきます。また、追視も上下左右と細かくできたり、動くものに対しても目で追いかけたりできるようになります。
小児の遠視 -弱視、斜視との関連-|沖縄県医師会医師会報
http://www.okinawa.med.or.jp/old201402/activities/kaiho/kaiho_data/2007/200711/055.html

生後7ヶ月~1歳

生後7ヶ月を過ぎていくと、奥行や距離感も見て捉えられるようになっていきます。1歳にもなると視力は0.2ほどまで伸び、より細かいものも捉えることが可能になります。それゆえに探索活動が活発になり、行動の幅も広がっていきます。
立体視の発達、可塑性、個人差解説-空間視の発達 山口 真美
https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/36-06-kaisetsu1.pdf
乳幼児健康診査の手引 改訂第5版  新潟県福祉保健部新潟県医師会
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025344956-00
生後1ヶ月から1歳6ヶ月頃にかけては、特に視覚の発達が盛んな時期とされています。視力の発達自体は6歳から8歳くらいまでに成人と同じレベルに達します。視力が発達するこの時期に、両目で人や物をしっかりと見ているかどうかはもちろん、何か異変に気づいたらすぐに対応することが重要です。
厚生労働省 母子手帳省令様式
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/s2016_10.pdf
母子手帳任意様式|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000622161.pdf

目が合わない赤ちゃんと目の病気の関係って?

先ほど、赤ちゃんと目が合わない場合、目の病気や視力の異常の可能性もあると説明しました。赤ちゃんの目や視力の問題について、詳しく解説します。

赤ちゃんの目に関する異常で考えられるもの

◇斜視
斜視とは、片目は正面を向いていても、もう片方の目が内側・外側・上側・下側など違う方向を見てしまっている状態を指します。斜視は子どもの約2%に見られる小児眼科の代表的な病気で、眼鏡などの矯正器具で治るものもあれば、手術による治療が必要なものもあります。

片方だけ目が合うのに、もう片方は違う方向を向いていることが多く見られると、斜視の可能性があります。斜視のまま放っておいてしまうと、違う方向を向いている目の視力が育たないため、斜視かも?と思ったら早めに小児眼科を受診することが大切です。
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斜視とは?手術で治療できるの?原因や発達障害との関連も解説します

公益財団法人 日本眼科医会 子どもの弱視・斜視-6.斜視の原因
https://www.gankaikai.or.jp/health/betsu-003/06.html
◇眼振(がんしん)
眼振とは、知らず知らずのうちに目が動いてしまう疾患です。眼球の動きの特徴としては、動き方に規則性がある・周期性がある・本人が意図しているわけではないという3つがあります。原因として先天的な眼振をはじめ、脳や神経の異常で起こるものなど後天的なものがあります。

赤ちゃんが注視・追視する様子が見られず、きょろきょろしていたり、不自然に頭を傾けていたりしていたら、注意する必要があります。
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眼振・眼球振盪(がんきゅうしんとう)とは?種類や原因、症状から治療方法まで詳しく解説します!

◇弱視
弱視とは、先ほど紹介した視力の発達する期間に、目をうまく使えなかったために視力が悪い状態のまま発達が止まってしまうことを言います。強い遠視や乱視が両目に見られる場合や、片目だけに遠視や乱視、斜視があるために視力が発達しない場合に弱視は起こりやすいと言われています。

弱視は早期に適切な治療や矯正(眼鏡着用など)をすることによって、治る可能性は高まります。頻繁に目を細めている、目つきに違和感があるなどわかりやすいサインが見られることもありますが、特に目立った症状が見られないこともあります。乳幼児健診の際に気になる点がないか専門家に診てもらうとよいでしょう。3歳になったら受けられる3歳児眼科検診を受診するのもおすすめです。
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視覚障害とは?視覚障害の等級、視覚障害を支援する道具、教育、仕事、周囲の関わり方を紹介します。

社団法人日本眼科医会 3歳児眼科健診のすすめ
https://www.gankaikai.or.jp/info/20120115_color.pdf

こんな症状が出たら目の病気かも?

紹介したような目に関する病気を赤ちゃんが発症している場合、次のような特徴が見られることがあります。

・瞳が白や黄緑色に見えることがある
・目が揺れることがある
・追視が見られない
・片目だけ上下左右に寄っていることがある
・片目を順番にふさいでみると、一方の目だけ嫌がったり、顔を背けたりする
 など
目の健康を調べるチェックシート
https://www.jaco.or.jp/wp-content/themes/jaco_renew/assets/pdf/check.pdf
パパ・ママは赤ちゃんと目が合わないな?と思ったら、それまでよりいっそう赤ちゃんの目や目の動きを観察し、何か異常がないか見てみることが大切です。
次ページ「目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害との関係って?」


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