共感覚とは?種類や判断法、原因は?トレーニングで共感覚になれるのかどうかも解説します。

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共感覚には、黒で書かれた文字がカラフルに見えるものをはじめとして、数多くの種類があります。共感覚は先天的なものだと考えられてきましたが、最近の研究では後天的に共感覚になることができる可能性があるとされています。この記事では、共感覚について解説するとともに、共感覚と自閉症スペクトラムの意外な関係性についても紹介します。

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目次 共感覚とは 共感覚の種類 共感覚はだれもが持っている? 共感覚の判断法 共感覚の原因 共感覚と自閉症スペクトラム 共感覚は後天的に獲得できるのか まとめ

共感覚とは

共感覚は、ひとつの感覚刺激から複数の感覚が呼び起こされることをいいます。例えば、特定の数字を見ると、赤や黄などの色が付いているように感じたり、音楽を聞いたときに色彩が頭に思い浮かんだりします。

文字に色がついてみえる共感覚の場合は、文字情報から色覚が呼び起こされています。

他にも、辛いものを食べるときに、とげとげの物を掴んでいるかのように感じる共感覚もあり、これは味覚情報から触覚が呼び起こされていることになります。

このように、聴覚情報から視覚的情報が呼び起こされたり、味覚情報から触角を感じたりするなど、共感覚を持っている人がいるのです。 

共感覚には次のような特徴があります。
・特定の条件下においてのみ感じるものでなく、意識的にコントロールできない
・共感覚は年齢を重ねても変わらない
・幼児期から継続して見られる
・物や経験と結びついたものではない
・好き、嫌いや快、不快のような感情を伴っている
ヒトは、視覚や聴覚をはじめとする様々な感覚があり、これらの組み合わせは膨大になるため、共感覚の種類も多く存在します。(より細かい事例は後段の章で見ていきましょう。)

共感覚のある人の割合は調査によってさまざまで2000人に1人だとするものもあれば、20人に1人とするものもあります。
近年では、共感覚がメディアで取り上げられたり、論文に多く取り上げられたりするようになってきましたが、19世紀後期まではほとんど科学的に共感覚が取り扱われることはありませんでした。

共感覚が万人に見られるようなものでなかったり、人それぞれ症状が異なっていたりしたために、共感覚の存在自体が疑われていたからです。共感覚は、想像力が豊かで目立ちたい人が作り出した幻想や、ドラッグをやっている人の幻想だとみなされることがありました。

しかし、幻想やドラッグという説明だけでは説明しきれないことがあることや、共感覚を科学的にとらえようとする研究の成果によって、共感覚に対する考え方が180度変わりました。

その結果、いまでは脳の理解のための一つの方向性として、 多くの科学者が共感覚を研究対象とし、仮説とその検証を行っています。

共感覚の種類

共感覚には数えきれないくらい多くの種類があります。例えば、以下のような事例が存在します。

数字列形

数字などの順序がある考え方が、あらゆる形状にねじれたり、折れ曲がったりしているかのように感じられることを指します。数字列形の共感覚がある人には、数学の教科書に記載されている数式が立体的に見えたりします。

色のついた音

文字を読んだときに色を感じる人よりは少数ですが、会話の最中に特定の単語を聞くと色が思い浮かぶ人もいます。

味のある言葉

過去の経験や知識に関係なく、言葉そのものに対して味を感じる人がいます。例えば、「刑務所」は冷えたベーコンの味がするように感じる事例が報告されています。

色聴

色聴は音を聞いたときに、色や形、動きが想像される共感覚です。動物の鳴き声や掃除機の音など日常生活で聞こえる音にも聴覚以外の感覚が引き起こされる人がいます。

文字の人格化

文字が色を持っているだけでなく、それぞれ個性を持ったキャラクターのようにとらえる共感覚も存在します。

聴覚・運動の共感覚

ある単語を聞かせると、その単語に合わせてさまざまな姿勢をとる事例です。あまり多くは見られませんが、共感覚の一つだとみなされています。

痛みと形の共感覚

痛みを感じたときに、その痛みを色や形、時には人の歌声のように感じる共感覚です。
他にも、物を見たときに音が聞こえたり、音を聞いたときに身体を触られているように感じたりする共感覚もあります。

また、他にもミラータッチ共感覚と呼ばれるものがあります。

共感覚は、一般的には自分自身の視覚と聴覚がリンクしたりと、自己完結型の事例が多いですが、ミラータッチ共感覚は自分自身の感覚と他人の感覚がリンクします。

ミラータッチ共感覚のある人は、目の前で他人が頭をなでられるのをみるとまるで自分もなでられているかのように感じるのです。

ここで取り上げた共感覚はあくまで一例であるとともに、似たような共感覚の人同士であっても感じ方は千差万別です。

共感覚はだれもが持っている?

共感覚のない人であっても、複数の感覚が混じっていることを示唆する現象があります。

例えば、女性からの声援のことを「黄色い声援」と表したり、香水の香りを「あまい香り」と表現したりします。しかし、声援という聴覚情報が実際に黄色いわけではありませんし、香りが味覚的にあまいというわけではありません。

このように、私たちはある感覚の体験を表現するときに、別の感覚に使われる表現を用いることがあります。感覚同士に共通性を見出す作用を心理学では、通様相性(インターモダリティ)と呼んでいます。

共感覚のない人でも複数の感覚に共通性を見出しているとすると、共感覚かどうかはどのような違いがあるのでしょうか。

共感覚は、誰もが持っている感覚と感覚をつなぐ作用(通様相性)が人一倍強いということになります。

人はそもそもそれぞれの感覚を完全に分離して考えることはできず、誰もが無意識に感覚同士をリンクさせています。そのため、「重い」「軽い」という表現を本来重さのない音楽や絵画に対しても使うことができています。

一方で、その感覚同士の結びつきが強い場合、本当に重いものを持っているように感じたり、複数の感覚がつながっていることを認識できたりする人がいます。そのような人たちのことを、共感覚者だと言うことができるでしょう。

共感覚の判断法

共感覚は、「本人がどのように感じているのか」に重きがおかれてきたため、客観的に測定することが困難だとされていましたが、次第に、共感覚かどうかを客観的に測る手法が確立されてきました。

ここでは、もっとも一般的な共感覚である、文字を見たときに色を感じる共感覚を例にして、主な3つの手法を紹介します。

一貫性を量るテスト

共感覚には一貫性があり、時間が経過してもその感覚に変化はほとんど起こりません。検査の日の天候や、本人の調子などに左右されるときには、共感覚の可能性は低いと思われます。

そのため、例えば文字に対して色を感じる共感覚があるかどうかを確かめるために以下のような手法が用いられます。

膨大な色のパターンがある虹色のパネルから、今まさに見えている色を選択してもらいます。そこから期間をおいてから、また同様に同じ文字を見せて色を選択してもらい、前回選んだ色とどれだけ近いかを調べます。

記憶力が優れている人の場合、以前に選択した色を覚えているだけだという批判が考えられますが、「赤」「青」「黄」と答えるのではなくパネルの膨大の色から選んでいるため記憶力だけで答えるのは非常に困難です。

同時性を量るテスト

共感覚は「bは、なに色に見える?」という問いに対して、「(blueのbだから)青かな」と答えたり、「そう言われると、白っぽく見えるかな」というような考えて出てくるものではなく、無意識に、理由もなく起こる(=同時性)ものだと考えられています。

そのため「bはどんな色?」のような質問に対して回答するまでの時間は、共感覚の人は短くなる傾向があります。

実際に行われる検査には、この同時性を正確に測るために、わざと色つきの文字を見せてそれがどんな色がついているかを質問するものがあります。共感覚でない人は、そのまま色を答えればいいので回答時間が短くなりますが、共感覚の人は文字に実際についている色と文字から思い浮かぶ色が混同して、答えるまでに時間がかかってしまいます。

神経活動を計るテスト

わたしたちの脳では、文字を読むときに活発になる領域と色を見たときに活発になる領域が分かれています。多くの人は、文字を読むときに、色に関する脳の領域が活発になることはありません。しかし文字に色がついてみえる共感覚の人は、文字を読むだけで色に関する脳の領域も活発になることがあります。

文字を読んでいるときに、色を見たときに活発になる領域が反応しているのかどうかを特殊な機械を用いて測定することで共感覚かどうか確かめることができます。

共感覚かどうかの区別にあたっては、一貫性があるか、同時性があるか、神経活動はどうなっているのかという観点が大切になってきます。

共感覚の原因

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