筋緊張とは?筋緊張に課題がある子どもの困りごとや原因、固有感覚を鍛える方法を解説
ライター:発達障害のキホン
子どもがまっすぐ立つことが難しかったり、椅子に座っていても姿勢が崩れやすかったりすることに悩んでいる人もいるのではないでしょうか。姿勢が保てない原因にはさまざまありますが、その一つに筋緊張(筋肉の緊張)や固有感覚の課題が挙げられます。
今回は筋緊張や固有感覚とは何か、固有感覚を鍛える方法、相談できる専門機関などを解説します。
監修: 矢花芙美子
花クリニック 院長
東京都の渋谷区代々木で長年開業している(0歳から年齢制限なし)。
プレイセラピー、行動療法、対話精神療法などにより、発達の課題を持つ子ども、心理的な面での困難さを持つ子ども、養育に困難を持つ大人、社会生活に困難を持つ大人、生きにくさを持つ方々に対する治療や相談を行っている。
筋緊張(筋肉の緊張)とは?
筋緊張とは、簡単に言うと筋肉に持続的に生じている張り(緊張状態)のことです。力を入れているときには高く、リラックスしているときには低くなります。この筋緊張に問題があると、姿勢を保つことができない、疲れやすい、手先が不器用などさまざまな困りごとが生じます。
姿勢が保てない、手先が不器用な子どもには筋緊張に課題があることも
学校や保育園などで「まっすぐ立っていられない」「授業中に姿勢が崩れ机に頭を横たえたり、だらりと体を投げだすようにうつぶせたりしてしまう、机にだらりと座ってしまう」など、特定の姿勢を保てない子どもがいます。こういった子どもたちは、「態度が良くない」「反抗的」など本人のせいだと思われがちですが、その背景に筋緊張の低下が関わっている場合もあります。筋緊張が低下すると重力に負けずに体をまっすぐに保ち続けることが難しくなり、その結果として本人の意思と関係なく姿勢が崩れることがあります。そのため、本人に注意をしても直すことは難しく、筋緊張の課題を解消させていくことが大事になります。
また、筋緊張は手先の不器用さの一因となる場合もあります。
手先の不器用さは、プリント類をきれいに半分に折ることができない、ボタンを留めたり靴ひもを結ぶんだりすることが苦手といった生活面でのつまづきや、鉛筆をしっかり持ったりコントロールしたりすることができず字がきれいに書けないことで学習面でのつまづきにつながることがあります。
また、筋緊張は手先の不器用さの一因となる場合もあります。
手先の不器用さは、プリント類をきれいに半分に折ることができない、ボタンを留めたり靴ひもを結ぶんだりすることが苦手といった生活面でのつまづきや、鉛筆をしっかり持ったりコントロールしたりすることができず字がきれいに書けないことで学習面でのつまづきにつながることがあります。
筋緊張と固有感覚
ここで、姿勢保持や手先を思うように動かすため筋緊張と並んで大切になる固有感覚について紹介します。
固有感覚とは?固有感覚のつまづきが筋緊張のつまづきにつながる
固有感覚(固有受容覚)とは、筋肉の張り具合である筋緊張や、関節の曲げ伸ばしといった自分自身の体の動きや位置を感じ取る感覚のことです。主に以下のようなはたらきがあります。
固有感覚の主なはたらき
1 力加減
2 運動コントロール
3 抗重力姿勢
4 バランス
5 情緒の安定
6 身体の地図・機能の把握
固有感覚は普段意識されることはありませんが、体を動かす際の力加減やボディイメージに影響しており、固有感覚に課題があると筋緊張を適切に調整することができず、物をつかむ力加減を間違えたり、体の動きがぎこちなくなったりします。
では、固有感覚はどのように獲得していくのでしょうか?固有感覚は、子どもが生活や遊びの中でさまざまな感覚を感じながら体を動かす経験を重ねることで、少しずつ獲得していきます。子どもは固有感覚を獲得していくことで、筋緊張が適切に保てるようになり、姿勢を維持する、体を動かす、といったことを、ほとんど意識することなくできるようになるのです。
固有感覚の主なはたらき
1 力加減
2 運動コントロール
3 抗重力姿勢
4 バランス
5 情緒の安定
6 身体の地図・機能の把握
固有感覚は普段意識されることはありませんが、体を動かす際の力加減やボディイメージに影響しており、固有感覚に課題があると筋緊張を適切に調整することができず、物をつかむ力加減を間違えたり、体の動きがぎこちなくなったりします。
では、固有感覚はどのように獲得していくのでしょうか?固有感覚は、子どもが生活や遊びの中でさまざまな感覚を感じながら体を動かす経験を重ねることで、少しずつ獲得していきます。子どもは固有感覚を獲得していくことで、筋緊張が適切に保てるようになり、姿勢を維持する、体を動かす、といったことを、ほとんど意識することなくできるようになるのです。
固有感覚を鍛え筋緊張を制御するには?感覚統合について
正しい姿勢を維持するためには筋緊張の適切な調整が必要であり、筋緊張を適切に保つためには固有感覚の発達が必要となることを紹介してきました。ここでは、子どもの固有感覚を鍛えるために大切な感覚統合について説明します。
感覚統合とは、複数の感覚を整理したりまとめたりする脳の機能のことです。
人間には「五感」と呼ばれる視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚に加え、「固有感覚」と「前庭覚(平衡感覚)」というぜんぶで7つの感覚があり、視覚などの外の情報を捉える感覚と固有感覚などの自分の体を感じる感覚の両方があることで、自分の体をスムーズに動かすことができると言われています。
これらを整理する感覚統合がうまくできるようになると、固有感覚も鍛えられ筋緊張を適切に保つことができるようになります。以下から固有感覚を鍛え筋緊張を制御するための方法をいくつかご紹介します。
感覚統合とは、複数の感覚を整理したりまとめたりする脳の機能のことです。
人間には「五感」と呼ばれる視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚に加え、「固有感覚」と「前庭覚(平衡感覚)」というぜんぶで7つの感覚があり、視覚などの外の情報を捉える感覚と固有感覚などの自分の体を感じる感覚の両方があることで、自分の体をスムーズに動かすことができると言われています。
これらを整理する感覚統合がうまくできるようになると、固有感覚も鍛えられ筋緊張を適切に保つことができるようになります。以下から固有感覚を鍛え筋緊張を制御するための方法をいくつかご紹介します。
感覚統合療法を受ける
固有感覚を鍛えるために感覚統合療法があります。感覚統合療法とは遊びの中で感覚統合の方法を学んでいく方法のことです。
感覚統合療法は作業療法士を中心に行われ、子どもが遊んでいる様子や検査などを通して課題を把握し、その子に合った方法で実施されます。
具体的には、トランポリンやボールを使って遊ぶ、ジャングルジムやロープのはしごの上り下りなど体を使った活動を行っていきます。
感覚統合療法は作業療法士を中心に行われ、子どもが遊んでいる様子や検査などを通して課題を把握し、その子に合った方法で実施されます。
具体的には、トランポリンやボールを使って遊ぶ、ジャングルジムやロープのはしごの上り下りなど体を使った活動を行っていきます。
家庭で固有感覚が鍛えられる遊びをする
感覚統合療法は作業療法士など専門のスタッフのもとで実施されますが、固有感覚を鍛える取り組みは家庭内でも行うことができます。ここでは、野外と屋内に分けてそれぞれ紹介します。
野外で固有感覚を鍛える遊びとして、
・鉄棒などのぶら下がり
・木登り
・綱引き
・ジャングルジム
・プール遊び など
屋内で固有感覚を鍛える遊びとして、
・家庭用トランポリン
・粘土やスライム遊び
・積み木遊び
・手押し相撲
・料理 など
といったものがあります。ほかにも、手押し相撲やトンネルくぐりなど体を使った遊びも固有感覚を鍛えることができますので、子どもが自主的に楽しめる遊びを取り入れていくとよいでしょう。
※小さなお子さんの運動に際しては、保護者や先生など、周囲の大人が安全に注意して見守りができる環境で行いましょう。
野外で固有感覚を鍛える遊びとして、
・鉄棒などのぶら下がり
・木登り
・綱引き
・ジャングルジム
・プール遊び など
屋内で固有感覚を鍛える遊びとして、
・家庭用トランポリン
・粘土やスライム遊び
・積み木遊び
・手押し相撲
・料理 など
といったものがあります。ほかにも、手押し相撲やトンネルくぐりなど体を使った遊びも固有感覚を鍛えることができますので、子どもが自主的に楽しめる遊びを取り入れていくとよいでしょう。
※小さなお子さんの運動に際しては、保護者や先生など、周囲の大人が安全に注意して見守りができる環境で行いましょう。