「相手の気持ちをよく考えて」その言い方は子どもに届かない!?「心の理論」から考える声掛けの方法
ライター:立石美津子
公園の砂場で玩具の取り合いが始まると、親が出てきて「自分がされて嫌なことはお友達にしないで」「相手の気持ちをよく考えて」と言葉をかけている光景に出くわします。でも大人の言葉は子どもの左耳から右耳へ通過しています。
『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。
幼い子どもは“自分中心”の世界に生きています。つまり“自己中”。
「これこれこういうことをしたら、相手がどう感じるか」とか「自分が同じことをやられたら、どう感じるか」と考えることがなかなかできません。相手の気持ちがわからないので、噛みついたりいきなり玩具を奪い取ったりして、トラブルが多発する時期です。
さて、相手の置かれている状況に立って考えることを専門用語で「心の理論」と言います。4歳未満の子どもの多くは、まだこれを獲得していないそうです。
この発達を調べるテストに「サリーとアンのテスト」があります。
幼い子どもは“自分中心”の世界に生きています。つまり“自己中”。
「これこれこういうことをしたら、相手がどう感じるか」とか「自分が同じことをやられたら、どう感じるか」と考えることがなかなかできません。相手の気持ちがわからないので、噛みついたりいきなり玩具を奪い取ったりして、トラブルが多発する時期です。
さて、相手の置かれている状況に立って考えることを専門用語で「心の理論」と言います。4歳未満の子どもの多くは、まだこれを獲得していないそうです。
この発達を調べるテストに「サリーとアンのテスト」があります。
サリーとアンのテストとは
このテストでは、サリーとアンという女の子2人が描かれたテスト用紙を見て、登場人物の行動を推測することで、「自らの視点ではなく、相手側に立って考えることが出来るかどうか」を調べることができます。
このテストを行うと3歳児、4歳前半児のほとんどが、見たままの光景を答えてしまい、登場人物であるサリーとアンの行動を推測することが難しいそうです。
4歳後半以降になると、子どもは他人の置かれた状況について考えられるようになり、登場人物の行動を推測することができるようになり、正答率が上がります。
しかし、自閉症スペクトラム障害などをはじめとする発達障害の子どもは、この「心の理論」の獲得に困難を示し、正解率が年齢に対して低いと言われています。
このテストを行うと3歳児、4歳前半児のほとんどが、見たままの光景を答えてしまい、登場人物であるサリーとアンの行動を推測することが難しいそうです。
4歳後半以降になると、子どもは他人の置かれた状況について考えられるようになり、登場人物の行動を推測することができるようになり、正答率が上がります。
しかし、自閉症スペクトラム障害などをはじめとする発達障害の子どもは、この「心の理論」の獲得に困難を示し、正解率が年齢に対して低いと言われています。
息子の結果はというと……
私の息子は自閉症でもう17歳ですが、東大病院の精神科で受けたこの心理テストの結果が以下でした。「サリーとアンのテスト」以外にもたくさんの「心の理論」の検査を受けました。
息子は50%しか正解できませんでした。
主治医によると、通常6歳過ぎれば、定型発達児であれば100%の正答率らしいです。
こんな状態ですから「相手がこうすると嫌がるだろう」ということがわからず、自分の気持ちだけで突っ走って、相手にしつこくしてしまい、今もトラブルが多いです。
主治医によると、通常6歳過ぎれば、定型発達児であれば100%の正答率らしいです。
こんな状態ですから「相手がこうすると嫌がるだろう」ということがわからず、自分の気持ちだけで突っ走って、相手にしつこくしてしまい、今もトラブルが多いです。
子どもたちに通じない言葉のかけかた
「心の理論」の発達が追い付いていない子どもたちに、次のような言葉をかけても、子どもの心には響いていないかもしれません。
「自分がされて嫌なことは、相手にもしてはだめ」
「お友達の気持ちになって、もっと優しくしなさい」
何故なら、子どもたちにとって自分は相手ではないからです。
特に、発達障害の子どもは心の理論の獲得が遅れると言われているので、これらの言葉は「馬の耳に念仏」となっているように思います。
「自分がされて嫌なことは、相手にもしてはだめ」
「お友達の気持ちになって、もっと優しくしなさい」
何故なら、子どもたちにとって自分は相手ではないからです。
特に、発達障害の子どもは心の理論の獲得が遅れると言われているので、これらの言葉は「馬の耳に念仏」となっているように思います。