強度行動障害とは?特徴や原因、判定基準、支援、手続きの方法などについて解説します

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強度行動障害とは、自傷行為や物を壊すなど周囲の人に影響を及ぼす行動が多く、家庭でかなり努力をして養育しても難しい状態が続き、特別な支援が必要な状態を言います。障害の特性や周りの環境をきちんと把握し、本人に合った支援・治療を行うことが大切です。この記事では強度行動障害の特徴や支援、治療などについてご紹介します。

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発達障害のキホン
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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
目次 強度行動障害とは? 強度行動障害の特徴は?どの程度だと強度行動障害と言えるの? 強度行動障害の原因 強度行動障害の支援について相談したい時は? 強度行動障害に関係する支援サービス 強度行動障害のある人が支援を受けるまでの流れ 強度行動障害の治療法はあるの? ライフステージごとの強度行動障害に関係する支援 まとめ

強度行動障害とは?

強度行動障害とは、自分や人を傷つけたり物を壊したりするなど、周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が高い頻度で起きるため、特別な支援を必要としている状態のことです。家庭で通常の子育てをしていても、かなり努力をしてもなかなか困難な状況が持続してしまいます。厳密には医学用語ではなく、行政・福祉において使われている用語です。

1989年の行動障害児者研究会による報告書において、初めて「強度行動障害」という言葉が登場しました。この報告書では、以下のように定義されています。

精神的な診断として定義される群とは異なり、直接的他害(噛みつき、頭突き等)や、間接的他害(睡眠の乱れ、同一性の保持等)、自傷行為等が通常考えられない頻度と形式で出現し、その養育環境では著しく処遇の困難なものであり、行動的に定義される群。家庭にあって通常の育て方をし、かなりの養育努力があっても著しい処遇困難が持続している状態。

出典:特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワーク/監修『行動障害のある人の「暮らし」を支える: 強度行動障害支援者養成研修[基礎研修・実践研修]テキスト』中央法規出版 2015年

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4805852526
強度行動障害がある人は日本全国に約8,000人程度いると言われています。この人たちの多くは重度の知的障害や自閉症スペクトラムのある人で、障害の特性と環境のミスマッチが行動の問題をさらに大きくしてしまうことがあると指摘されています。

強度行動障害が起こる年齢は人それぞれですが、特に思春期以降に強いこだわりや自傷行動、他傷や破壊行動などが重篤化する場合が多いです。

障害がある人たちの中で激しい行動を起こしてしまう人に対し、専門的な支援を受けられるようにするために強度行動障害という言葉が使われています。障害特性に合った治療はもちろん、さまざまな福祉サービスと医療を組み合わせて、一人ひとりにあった支援を見つけていくことが大切だといえるでしょう。

強度行動障害の特徴は?どの程度だと強度行動障害と言えるの?

強度行動障害は以下のような行動がどの程度の強さで、またどのくらいの頻度で現れるかを総合的に評価することになっています。この行動の強度と頻度から支援ニーズを図ることになります。

・ひどい自傷
自分で顔を引っ掻く、膝や肘を壁に打ち付ける、変形してしまうほど頭部を叩くなどの行動。

・強い他傷
周りの人に対し、噛みつく、殴る、叩く、髪を引っ張る、頭突きをするなど、相手が怪我をしかねないような行動。

・激しいこだわり
気になるものがあると動くことができない、強く指示を出しても拒みとおすなど、周りが止めてもその行動をやめられない。

・激しい物壊し
ガラス、家具、ドア、茶碗、椅子、眼鏡などを壊し、その結果自分にも周りにも大きな危害を及ぼす行動。また服を破ってしまうなどの行動も含まれます。

・睡眠の大きな乱れ
昼夜が逆転していたり、寝床についていられない。そのために生じる他傷や破壊的行動。

・食事関係の強い障害
特定のものしか食べず体に異常をきたしている、食べられないものを口に入れる、椅子に座っていられず周りと一緒に食事できないなどの行動。

・著しい多動
目を離すとじっとしていられず走り回ったり、ベランダの上など高く危険なところに上ったりといった行動。

・著しい騒がしさ
大声を出したり、一度泣き始めると数時間も続いたりするような行動。

行政における強度行動障害の判定基準

先述の通り、強度行動障害は医学的な診断名ではありません。そのため医師による診断基準ではなく、行政・福祉的な支援を行う上での判定基準があり、主に支援者の間で使われています。強度行動障害の種類や程度、頻度を評価することで、一人ひとりに合った支援につなげることが目的です。

実際に支援対象者の基準として、以下に紹介するような判定基準項目が使われています。例えば行動援護は障害程度区分が3以上、行動関連項目の点数が10点以上の場合、支援を受ける対象となります。

この章では強度行動障害の判定基準のうち、厚生労働省が定めている代表的なものをご紹介します。いずれも項目ごとに、得点を算出する仕組みになっています。

1. 強度行動障害判定規準項目
強度行動障害を「ひどく自分の体を叩いたり傷つけたりする等の行為」「激しいこだわり」といった項目において、行動の頻度と強度から評価するものです。11項目において、得点(1点・3点・5点)を付け、合計得点 が10点以上を強度行動障害と定義しています。

現在は制度改正を受けながら、福祉型障害児入所施設において、強度行動障害児特別支援加算にかかる判定基準として使われています。
2. 行動関連項目
2014年度に開始された障害支援区分の認定調査項目のうちの「行動関連項目」は、行動援護、重度訪問介護、重度障害者等包括支援などの支給決定の基準点を算出するものです。

突発的な行動、コミュニケーションなどの12項目において0~2点で評価し、10点以上が対象とされます。

ABC-Jによる評価

ABC-Jは異常行動チェックリスト日本語版のことです。「興奮性」「無気力」「常同行動」「多動」「不適切な言語」の項目で異常行動を評価することのできるチェックリストです。

この検査は行動障害に対する治療の効果の判断基準として使用されています。

強度行動障害の原因

強度行動障害は、興味関心の限定やこだわり、それに対する過度な執着性や感覚の過敏性といった障害特性に環境がうまく合ってないことにより、人や場に対する嫌悪感や不信感を高めてしまうことが原因です。特に重度の知的障害や自閉症スペクトラムがある人に発生することが多いと言われていますが、必ずしも障害の重さに関係があるわけではなく、特性と環境によっては、知的障害・発達障害の度合いが軽度の場合でも強度行動障害が見られることがあります。

強度行動障害は障害がある本人の困っているサインだと捉えて、本人の特性や周囲の環境などをきちんと把握し、行動の原因を探っていくことが大切です。以下に、そのヒントをご紹介します。

■コミュニケーションの苦手さ
知的障害や自閉症スペクトラムがある人は、刺激や情報が分かりにくい独特な形で入ってきたり、伝えたいことを言葉ではない独特の表現や行動を通して伝えようとしたりする傾向があります。例えば、普段から身振りなど限られた手段でコミュニケーションをとっている、使える単語の幅が限られているなどが挙げられます。

「分からない」ことに対する不安や不快感があってもそれがうまく「伝えられない」ことから、環境に対する嫌悪感や不信感が高まり、強度行動障害が起きると考えられています。

■こだわりが強く余暇が乏しい
発達障害のある人の中には、こだわりが強かったり、興味や関心が限定的な場合があります。そのことに強く執着してほかのことができなくなったり、できることやすることが極端に少なかったりして、暇をつぶすための自傷行動をしてしまうこともあります。また、好ましくない行動であっても、なかなかやめられないということもあります。

■衝動性のコントロールが苦手
衝動性を抑えることが苦手な場合、自分の行動をやめることが苦手だったり、感情的に行動してしまうことがあります。

強度行動障害の支援について相談したい時は?

強度行動障害の支援について知りたい時は相談支援事業所などで相談できます。

強度行動障害のある人の場合、自分自身で相談に行くことが困難な状態にあるため、通常、本人の家族・保護者が相談に行きます。

相談支援事業所では、まず日常生活における本人や家族の困りごとについて、相談支援専門員によるヒアリングが行われます。そのうえで、困りごとを解決するためにどんな支援があると良いのかを一緒に考えます。場合によっては相談支援専門員とサービス事業所に見学に行くこともあるようです。

また実際に支援を受けることになった場合、サービス等利用計画が必要になります。これはチームで1人を支援をする際、周りの人がそれぞれどのような役割を果たして支援をしていくのか、本人やご家族がどんな生活を記入したものです。

この計画書を作るのも相談支援事業所なので、手続きや支援を受ける流れについて不安がある場合も、ここで聞くとよいでしょう。

強度行動障害に関係する支援サービス

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