ほかの子と違う「逆さバイバイ」。自閉症の特徴だとしても、私が笑顔になれた理由

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1歳に満たない赤ちゃんが大人の真似をして、バイバ~イやパチパチと拍手する仕草はとても可愛いですね。けれど自閉症の長男はこの時期、バイバイどころか人と視線をあわせることすらありませんでした。ずいぶん気をもみましたが、3歳過ぎたころ長男がやっとバイバイするように!でも他の子と少し違ったバイバイに、私は複雑な気持ちになってしまったのです。

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どうして真似しないんだろう?双子の長男と次男の大きな違い

難病のあった長男は、赤ちゃんの頃から周囲の問いかけに対して反応が薄い子でした。

反対に双子の次男は1歳の頃には、私や夫が手を叩けば「はくしゅ!」と言って真似をし、近所の方が「バイバーイ」と手を振れば笑顔で手を振り返す子どもでした。

どうして長男は反応してくれないんだろう…。焦燥感に駆られて私が目の前で手を振ってみても、長男はガラス玉のような瞳で私を見つめるだけです。
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その瞳からは一切の感情が読み取れず、私はこの子には周りの風景が見えてないんじゃないかと不安になりました。けれど目の検査をしても異常はありません。

1歳半を過ぎた頃、この子には何か障害があるのではないか…そんな恐れが徐々に芽生えてきた時期でした。

自閉症と診断された長男。納得したものの…

その後、長男には2歳で自閉症という診断が下りました。やはり…という思いが強くあり、今まで疑問に思っていた行動の一つひとつに納得がいきました。

主治医の先生は「お母さんの真似をしないのは、まだ周囲への関心が薄いからだと思います。でもそれはずっとじゃない。徐々に変わっていきますよ」と力強く言ってくださいました。

「本当にそんな日がくるでしょうか」さらに問いかける私に向かうと先生は

「大丈夫。シュウくんにはまだ受け皿がない状態なんです」
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と笑顔で言ってくださいました。その言葉を聞いて、焦っちゃいけない。長男の成長を信じて待つしかないんだ――ほんの少しだけ心が軽くなりました。

待ちに待った初めてのバイバイ。

その後3歳になった長男は療育施設への通園が始まりました。

通って数ヶ月たった頃のことです。通園する長男のバスに向けて、バイバイと手を振る私に長男は手を振り返してくれたのです。嬉しくなった私は何度もバイバイしました。すると長男は表情こそありませんでしたがもう一度手を振ってくれました。

その手を見るうち、私はあることに気づきました。

通常バイバイするときは相手に手のひらを向けますが、長男のバイバイは手の甲を私に向けていたのです。
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口を真一文字に結んだまま手の甲を向けて振り続ける長男の姿はみんなと違っていて、驚いた私は一瞬、バイバイしていた手を下ろしてしまいました。

もしかして「逆さバイバイ」…?社会性の欠落という文字を見て落ち込む私

家に帰った私はさっそく長男の不思議なバイバイについてパソコンで検索しました。

すると「逆さバイバイ」=「相手と立場を置き換えて行動することが難しいため、相手が手のひらを自分にむけると自分も手のひらを自分に向けてバイバイしてしまう」という文字が画面に映し出されます。
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「逆さバイバイ」…まさにさっき見た長男の仕草でした。

思わずため息がもれました。子どもならバイバイという日常の動作を簡単に身に付けることができると思っていたのに、長男にとってはバイバイを真似することもこんなに大変なのか…そう思ったからです。

服を着るのも靴下をはくのも、どれだけ目の前でやってみせてもできなかったのは、こういうことだったのかと目の前の現実をつきつけられた気がしたのです。

双子の次男と先生の言葉から気づいた長男流の成長

その日、私は暗い気持ちのまま療育施設から帰ってきた長男のカバンを開けました。

すると連絡帳に「今日はシュウちゃんバイバイできたそうですね。バスの先生が教えてくれました。初めてのバイバイおめでとう!」と担任の先生が書いてくれていました。
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それを読んではっとしました。

長男が初めてバイバイしたんじゃないか。逆さまだっていいじゃないか。ちゃんと成長してるじゃないか…!

私は長男に「バイバイできたね。すごいね」と頭を撫でてやりました。すると再び長男は私に向けてバイバイと手を振りました。その目にはどうだ!という得意げな光がありました。意思の見えないガラス玉の瞳はどこにもありませんでした。

この子の感情は育ってきている、ゆっくりゆっくりだけど…そのことに気が付くと涙がこぼれそうになりました。

すると後ろから次男の声がしました。「わあ、シュウちゃんのバイバイは逆さまだね。“シュウちゃんバイバイ”だね!」その声は明るく弾んでいます。
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みんなと同じじゃなくていいんだよ。それがシュウちゃん流なんだから――先生と次男のかけてくれた言葉が暗く沈んでいた私の心に灯りをともしてくれたのです。

この瞬間、他人と比較することなく長男の小さな成長を丸ごと喜べる親でありたい、そう強く思いました。
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