信託とは?課税額や費用は?親なきあとの障害のある子どもへ、 財産を受け継ぐ仕組みを紹介します

ライター:発達障害のキホン
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障害のある子どもの保護者にとって、子どもの将来の生活やお金の問題は大きな心配事ではないでしょうか。財産の管理と運用を第三者に”信じて託す”信託は、障害がある子どもの管理能力に心配がある場合にも活用できる制度の一つです。財産を非課税で贈与できる「特定贈与信託」という制度もあります。今回は、信託制度の仕組みや、税金、相談先などの情報を、分かりやすく説明します!

目次

信託とは、財産の管理を第三者に信じて託すこと

信託とは

信託とは、自身の財産を、自分または他人のために管理・処分してもらうよう、人や機関に託す制度です。

信託と一口にいっても、目的やニーズによってさまざまな商品があります。運用の専門家にお金を託して、株式や債券などに投資・運用する投資信託のほか、財産の継承をスムーズに行うための相続信託などは、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

自分以外の誰かに財産の運用を任せることを信託と言いますが、この制度を活用することで、親なきあとの子どものために資産を適切に管理し、必要な生活費などを定期的に交付することができます。

ここでは、障害のある子の資産管理に信託を活用する方法について紹介します。

信託の種類

信託制度では、財産を託す人を委託者、託され管理する人を受託者、その財産から利益を受ける人を受益者と呼びます。信託契約の形は、委託者と受託者が話し合って契約を結び、その契約に基づいて受託者がお金を管理しながら受益者に定期的に金銭を交付します。

信託制度は、受託者の性質によって大きく2つに分けられます。

1. 商事信託
信託業の資格を持っている人や機関が受託者となる信託制度のことを言います。商事信託は報酬が発生します。

2. 民事信託
受託者に信託業の免許が不要で、受託者は主に家族や知人になります。報酬は必ずしも払わなくてもよいことになっています。

また、民事信託の中でも受託者が家族である信託契約を家族信託、受益者が障害者や老人である契約を福祉型信託と呼ぶこともあります。

信託制度の特徴

財産の管理方法の中でも、信託にはいくつかの特徴があります。管理をするのが第三者であること、契約が柔軟であること、です。

第三者が管理する

たとえば、障害がある子どもに財産を遺した場合、第三者が適切に管理・運用してくれるのかが心配だという方もおられるかもしれません。

信託契約を結ぶと、託された財産の所有権は委託者から受託者に移ります。ですが、この財産は受益者(この場合は障害のある子ども)のものなので、受託者が勝手に使うことはできません。信託した財産は契約に基づいた使い方しかできないのです。

また、仮に受託者が破産してしまったとしても、この財産は債権者から守られます。また委託者が死亡しても、契約が終了することはありません。

契約の柔軟さ

信託契約は委託者と受託者の間で財産の管理方法などが決められます。財産委任契約などと違い、比較的一人ひとりのニーズに沿った管理方法を選択できるのです。

例えば、「子どもが亡くなった後は、残った財産はお世話になった施設に寄付したい」など、受益者の死後のお金の行方までも、事前に決めることができます。

「遺産は子どもに遺したいけど、その子が亡くなったら面倒を見てくれた知人に贈りたい」など、生前お世話になった人や施設に感謝の気持ちを伝えたい人にとっては嬉しい特徴だと言えるでしょう。

障害のある子どもの家族が、信託制度を活用するメリット

障害がある子どもの保護者にとって、親なきあとの子どもの生活についての大きな心配事のひとつに「お金の管理の問題」があげられます。

障害がある人の場合、収入が障害のない人よりも少なくなる場合が多く、できるだけ多くのお金を遺しておきたいと考える保護者の方も多いでしょう。

親なきあとのお金の問題においては、どれだけ多くの財産を遺せるかだけでなく、子どものために遺したお金をどのように管理するのかも重要な要素となります。

まとまったお金が手元にあったとしても、だまし取られたり、浪費してしまったりと、トラブルが生じる可能性があります。特に、ある程度認知能力があり、施設などで暮らさず一人で生活できる場合は、より財産管理におけるリスクが高くなるでしょう。

そのため、本人を財産管理の面からサポートする仕組みを作っておく必要があるのです。契約の下に第三者が責任を持って管理する信託制度を利用することで、財産管理における心配事を解消することができます。

信託にもさまざまな種類があります。次の章から、障害のある子どもを育てる家族に活用してほしい信託を紹介していきます。
次ページ「特定贈与信託」

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