ほんの数ヶ月の「発達の時差」の間にできること

発達障害グレーゾーンの子がほんの数ヶ月の「発達の時差」で、自信を失わないためにできることの画像
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まず、大事なのは娘が「自分に対する自信と、勉強に対する意欲を失わないこと」です。

ここを護ってあげないと、自分に否定的なイメージができたり、本来理解力のある子であっても、勉強に対する苦手意識ができてしまったり、興味が持てずに学習機会自体が減ってしまい、本当の「学力低下」へとつながってしまう可能性があるからです。

これは、グレーゾーンの子であっても起こりうる、学習面での「二次障害」だと、私は思います。経験上、これだけはなんとしても回避したいところ。そのために…

1.先生に「こういう成長のしかたをする子です」と伝える

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まず、担任の先生が、長女のテストの点などの印象だけで、「勉強ができない子」「サボっている子」などのマイナスイメージを持たないように、私は保護者面談などで、次のように伝えました。

「◯◯クリニックの先生に診察していただいたところ、娘は発達面での心配はないとおっしゃっていました。一学期はできなかったひらがな文の音読も、自然とできるようになりました。、本人も勉強に対する意欲が強く努力家なので、テストや宿題の直しもイヤがらずに家でも頑張っています。◯子は、こういう成長のしかたをする子のようです」

お子さんの発達の特徴については、「お医者さんがこう言っていた」「検査結果ではこうだった」「臨床心理士さんのお話では…」など、お医者さんや専門家の意見や、客観的な「証拠」があると、理解してもらいやすくなると思います(必要に応じて文書化すると良いでしょう)。

また、親の感情ではなく「事実」を伝え、できないことや心配なことよりも、できるようになったことや本人の意欲など、ポジティブな情報のほうが多くなるように伝えます。

そして、診断がつく程でもないグレーゾーンの子であっても、「こういう成長のしかたをする子です」と伝え、それが「本人の努力不足」や「親の育て方のせい」などではなく、個性の一部であることを分かってもらえるまで、丁寧に説明するのがいいでしょう。

2.「発達の時差」の負担を減らす工夫とサポートをする

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また、ゆっくり部分に「発達の時差」がある間、本人は宿題にすごく時間がかかったり、今の学習単元の内容が難しく感じられると思います。

この負担を減らすために、長男同様、長女の場合も「一時的に」ツールを使い、私も宿題サポートをしています。こういった、補助的なツールやサポートは、負担の大きな時期だけして、できるようになったら卒業すればいいのです。

例えば、宿題の音読の負担が大きな時は、長女は「耳からの情報」は良く受け取れるので、

・最初は私が文を一節ずつ読み、その後を長女が復唱する。慣れてきたら文章を次第に長くしていき、最終的には全部一緒に読む。
(例:母「むかしむかし」娘「むかしむかし」→母「あるところに」娘「あるところに」→…)

・よく読み間違えるところにラインを引いたり、単語を◯で囲ったりする(娘の好きな色でOK!)

…など。この場合のポイントは、教科書の文字をペンや指でなぞりながら「文字と音をセットで入力し、体感して読む」ことだと思います。長女が字を目で追わずに、私の声だけを頼りに読んでいたなら、手を添えたり、「字も一緒に見てね」と声かけしました。

お母さんやおうちの方が一緒に読んでくれるだけでも、負担感がずいぶん違うと思います。
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娘のための「さんすうセット」。大好きなビーズとクラフトスイーツで…
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同様に、計算ドリルの宿題も、指やブロック、お菓子、ビーズなどは好きなだけ使って良いことにし、必要があれば、私の両手も両足も、その辺に寝転がっている次男の足の指も使いました(笑)。

LDのある子に限らず、小さな子は数や量の感覚が未発達なことが多いので、「その子のタイミング」が来るまで、実物を見て、触って、確かめながら考えればいいんです。

そして、長男の時の反省を活かし、長女が「宿題イヤだな、つらいな」とならないよう、「なるべく」明るく楽しいイメージでできるように心がけました(とはいえ、私もいつもニコニコしながら気長につき合えた訳ではありませんので、ご安心下さい)。

そうしているうちに、「きょうは1人で読めるよ」「あ、これはユビつかわなくても、◯子わかる!」が増えてきました。

3.わが子の素敵なところを言葉で伝える

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そして、私の想像上の生き物である「フツーの一年生」とではなく、長女自身との比較で、「その子なりに」できるようになったこと、頑張れていること、小さな進歩などを、キモチ大盛り気味で伝えています。

「最近、漢字が入ってる文も、読めるようになってきたね」
「テスト、よくがんばったね。ペケのとこも意味は合ってるモン、かあちゃんならマルにしちゃう(長女の手のひらに◯)」
「◯子は本当に丁寧でいい字を書くね。かあちゃん、この字大好き!」

…とか。そして、学習以外のところでも、

「◯子は本当に細かいことによく気がつくね。観察力がある証拠だね」
「なるほど〜、さすが◯子の話は分かりやすい!賢いなあ(ナデナデ)」
「◯子は踊りをすぐ覚えちゃうね。身体の動きの記憶力がいいんじゃない?」

…などと、学校のテストや成績表には反映されにくい、長女のいいところ、すごいところ、素敵なところを、できるだけその都度言葉にして伝えるようにしています。

長女が自分のことを肯定的に思え、好きでい続けられるのなら、私は喜んで親バカになります。たった一度の、わが子の育児です。

謙虚さや奥ゆかしさが「美徳」とされる国であっても、親がわが子の素晴らしさを本人に伝えるのに、誰に遠慮することもありません。

大人たちには「今」何ができるだろう

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長女は今、宿題に進んで取り組み、教科書以外の勉強も自分で沢山発見しては、私に教えてくれます。それでも、「きょうはつかれてるから、がっこう休みたい。ママといっしょにいたい」と、くっついて離れないときもあります。

学校のテストや成績表だけで、子どもが「自分は勉強ができない」と思い込んだり、進学を諦めたり、将来の夢が消えてしまったり、大人になっても「勉強=つらくて苦しいもの」と苦手意識を持ってしまうのは、あまりにもモッタイナイことだと、私は思います。

「成長のしかたの違い」だけで、無限に広がるその子の可能性の芽が間引かれていかないように…。

「個性の違い」だけで、未来を担う子どもたちのキラキラした瞳が曇らないように…。

私たち大人には「今」何ができるでしょうか。
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