医療的ケア児など重度障害児への支援が手厚くー平成30年度、放課後等デイ・児童発達支援事業所等報酬改定

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2018年2月5日、厚生労働省での「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第17回)」によって、”平成30年度の障害福祉サービス等報酬改定について取りまとめ”がありました。

障害者の重度化・高齢化への対応や、就労系サービスでの一般就労や工賃向上を促進する報酬となるほか、放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、発達ナビユーザーにも関わりの大きい障害児支援の報酬についても見直しが検討されています。

ここでは、どのような改定が検討されているかについて紹介します。

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平成30年度「障害福祉サービス等報酬改定」のポイント

この記事では、2018年2月5日に「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第17回)」で行われた、”平成30年度の障害福祉サービス等報酬改定の取りまとめ”について取り上げたいと思います。その中でも、特に発達ナビユーザーに関わりの大きい、放課後等デイサービスや児童発達支援を中心に、改定についてどのような議論があったのかや、予想される影響についてご紹介します。

今回の報酬改定の主なポイントは下記のとおりです。

■医療的ケア児・重症心身障害児への支援を促進
■事業所の質の向上を促進
■地域で保育・教育を受けられる体制を促進
■障害の程度やサービス提供時間を踏まえた報酬へ
■送迎加算の見直しは、次期検討事項に


次に、それぞれの内容について、説明をしていきます。

医療的ケア児・重症心身障害児への支援を促進

気管切開のために吸引が必要となるなど、医療的ケア児には医療的な支援が欠かせませんが、医療的ケアができる看護職員が在籍する事業所の数は、限られています。そのため、ケアが必要な子どもたちは事業所を利用することができず、自宅で家族が介護することが多いという状況がありました。

今回の改定では、一定の基準を満たした医療的ケア児を受け入れるための体制を確保し、ケアが必要な子どものニーズに応じた支援が受けられるよう、看護職員の加配を評価する報酬体系が検討されています(看護職員加配加算/医療連携体制加算)。送迎サービスにおいても、吸引などのために職員を配置する場合に、加算が認めることが言及されています。

また、医療的ケア児が体調を崩しやすいことを踏まえて、欠席時対応加算が拡充される見込みです。これまでは、予定していた利用者が急に欠席すると、事業所は収入がなくなってしまい、事業継続が難しくなるという問題がありました。この加算によって、医療的ケア児に対応する事業所の経営が安定化するというメリットがあります。

加えて、通所が困難な医療的ケア児については、自宅への居宅訪問型児童発達支援が新設されることとなる予定です。また、重症心身障害児の指定児童発達支援を行う、利用定員10名以下の事業所については、報酬単価がアップする見込みであることが示されました。

こうした報酬改定を受けて、重度障害のある子どもの支援環境の向上が望まれます。

事業所の質向上を促進

児童発達支援を行う事業所では、人員について、現在は指導員又は保育士を配置することとなっています。ですが平成30年度からは、児童指導員、保育士、または障害福祉サービス経験者で、かつ半数以上が児童指導員又は保育士であることが求められる見込みです(ただし、すでに指定を受けている事業所については平成31年3月31日までの経過措置が設けられます)。
※放課後等デイサービスについては平成29年4月1日から義務づけられています(ただし、左記時点ですでに指定を受けていた事業所については、平成30年3月31日まで経過措置期間)。

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の職員配置についての報酬も改定が予定されています。

指導員加配加算が見直され、一定の基準を満たす事業所が指導員加配加算により評価した職員に加えて、1人以上のスタッフを配置した場合、つまり基準以上に手厚い人員配置を行っている場合に、さらに評価される見込みです。このとき配置される職員が、理学療法士などの専門職員の場合、児童指導員などの場合、その他の従事者の場合、それぞれで受けられる加算単価が異なります。専門性の高い職員は高単価である一方、資格のない従業員の場合は単価が低くなります。

また、障害児へのきめ細やかな支援を強化するため、特別支援加算が見直されます。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理指導担当職員・看護職員など、専門職員を配置し、機能訓練や心理指導を行う場合の加算が、現状より高く設定されることになります。強度行動障害者養成研修を修了した職員を配置する場合の加算も新設されます(強度行動障害児支援加算)。

このように、専門性の高い職員、強度行動障害についての知見がある職員を配置する事業所に対して、手厚い報酬となることが示されています。

また、児童発達支援を行う事業所に対して自己評価結果の公表も義務づけられ、未公表の場合は15%報酬減算がされることが示されています(自己評価結果等未公表減算/平成31年4月1日から適用)。
※放課後等デイサービスについては平成29年4月1日より自己評価結果公表が義務づけられています(ただし、左記時点ですでに指定を受けていた事業所については、平成30年3月31日まで経過措置期間)。自己評価結果等未公表減算については平成31年4月1日から適用。
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地域で保育・教育を受けられるような支援を促進

現在、児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所などが、障害児が通う保育所や学校などと連携して個別支援計画の作成を行った場合、1年に1回を限度として加算がありました(関連機関連携加算)。今回、この回数が1か月に1回までとなり、支援計画作成による事業所への報酬が大幅にアップする見込みです。これにより、関係機関とのより緊密な連携が促進されると思われます。

また、通所支援事業所を退所して、地域の保育所や学童クラブなどへ通うことになった場合の「保育・教育等移行支援加算」の新設が予定されています。上述の個別支援計画での連携なども実施しながら、障害のある子どもが地域の子どもたちと一緒に育つことを促進する施策と言えそうです。

障害の程度やサービス提供時間を踏まえ、放課後等デイサービスの報酬にメリハリ

放課後等デイサービスの基本報酬については、全体的に引き下げの方向となりました。さらに、現在は一律となっている基本報酬について、利用する子どもの状態を踏まえた指標が設定されることになります。

具体的には、食事・排泄・入浴及び移動のうち3つ以上の日常生活動作について全介助を必要とする障害児、もしくはコミュニケーションや自傷、他害など所定の項目について13点以上の重度の障害がある子どもの数が全体の50%以上かどうかで、報酬区分が変わることになります。この判定を誰が行うのかについては、まだ明らかにされていません。

重度の障害児の利用が半数以上の事業所については3%強の引き下げ、それ以外の事業所については10%程度の引き下げとなる見込みとされています(平日、授業終了後に支援を行う場合、利用定員10名以下の場合の例)。

また、サービスの提供時間が3時間未満の場合は、さらに報酬が下げられることになります。短時間のサービスを行っている事業所は、全体の12.8%にあたります。なお、この利用時間には、送迎時間は含まれません。

つまり、軽度の障害がある子どもの利用が多い事業所や、短時間のサービスを行う事業所については報酬が下げられるため、経営に影響が出る可能性があります。

放課後等デイサービスでの、送迎加算の見直しは?

今回の改定では、成人障害者が対象の、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援の事業所については、送迎加算が見直されることになりました。ですが、放課後等デイサービスについては、今回は見直しや改定は行われず、次期改定時に検討・検証を行うこととされました。

前回のコラム記事で、放課後等デイサービスでの送迎加算の廃止の可能性についてご紹介しましたが、今回の改定では現状維持となる見込みです。ただし「障害児の自立能力の獲得を妨げないように配慮するよう通知」するとしており、次期以降の見直しの可能性は残っています。
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障害のある子どもや家族への影響とは?

今回の議論では、より重度の障害のある子どもへの支援が充実するような報酬改定が示されました。今まで自宅で介護するしかなかったご家庭にとっては、地域の中でさまざまなサービスを利用しながら生活していく可能性が広がったと言えそうです。

また、障害の程度が軽度の場合は、保育所や学童クラブなどへ通えるよう、支援を充実させていく方向が示されました。

成人障害者についても、障害が軽度の場合は、仕事については作業所から企業での一般就労へ、住まいについてはグループホームから1人暮らしへ、障害が重度の場合は入所施設からグループホームへ…という風に、地域の中で生活していけるようにするという方向での報酬改定でしたが、これと同様の考え方だと言えそうです。

障害のある子どもや大人が、生まれ育った地域の中で生き生きと暮らしていけるような支援が、この報酬改定を機に、より一層充実していくことが望まれます。
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