【BOOK】作家、詩人、そして重度自閉症―東田直樹さんが考える「愛」と「自分の心」の大切さとは

ライター:発達ナビBOOKガイド
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作家でもあり、詩人でもある多才な東田直樹さんには、重度の自閉症があります。そんな彼のエッセイ『自閉症の僕の七転び八起き』には、障害のある子どもとの接し方、当事者の心の中、一人の人間としての葛藤、前向きに生きていく力、障害があるがゆえの悲しみや喜びが詰まっています。

障害のある子どもを育てる保護者はもちろん、支援者にとっても、さまざまなことを教えてくれる一冊となるでしょう。このコラムでは、本書の見どころをお伝えします。

東田さんが描く―これまでの自分の人生を振り返って―

今回紹介する『自閉症の僕の七転び八起き』(KADOKAWA)を執筆した東田直樹さんには、重度の自閉症があります。このエッセイには、障害のある子どもとの接し方、当事者の心の中、一人の人間としての葛藤、前向きに生きていく力、障害があるがゆえの悲しみや喜びが詰まっています。

東田さん自身が振り返る、通常学級での悩みや、家族の自分への接し方、これまでのさまざまな選択からは、本人の努力だけでなく、家族や周囲の支えがどれだけ大きかったのかが伝わってきます。
自閉症の僕の七転び八起き
東田直樹
KADOKAWA
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特別支援学校から通信制高校へ。自分がやりたいことを探し続けた青年期

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東田直樹さん(ひがしだなおきさん:以下東田さん)は、重度の自閉症があり、口頭で会話をすることが困難です。ですが、パソコンや文字盤ポインティング(文字盤を指差しながら言葉を発する方法)を使うことで、コミュニケーションを取ることができます。

東田さんは小学5年生までは通常学級に在籍、小学6年生から中学3年生の4年間は特別支援学校に通いました。その後特別支援学校の高等部には進学せずに、アットマーク国際高等学校(通信制)に入学、2011年3月に卒業。

彼が13歳のときに執筆した書籍『自閉症の僕が跳びはねる理由』は、今や20カ国以上で翻訳・出版されているベストセラーとなっています。
東田さんが発する言葉や挑戦する姿勢からは、前向きな性格を感じ取ることができますが、東田さんが初めからそうだったわけではありません。

自分が一生かかっても「できない」ことを、同級生が簡単にやってのける姿を見て、苦しんだ小学5年生までの日々。逃げるように転校した特別支援学校で知った、人から大切にされることの重要性。そこは、できないからと言って責められることも叱られることもない、居心地の良い場所でした。

特別支援学校で4年間自分を見つめなおした東田さんは、自分の人生を生きたいと、通信制高校への入学を決意します。現在は紆余曲折を経て、作家や詩人として活躍している東田さん。彼は何を思い、どう生きてきたのでしょうか。

今の自分があるのは家族のおかげ―東田さんはどう支えられてきたのか

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大人になった東田さんは、子どもの頃に「できなかった」たくさんのことが「できる」ようになりました。幼児用の工作ワーク、人とのコミュニケーション、我慢をすること、家族に言いたいことを言うこと。それから、誰の人生も大変だということにも気づけました。

できることが増えた今、東田さんは自閉症で良かったと思える機会も増えたそうです。そして、自分がここまで頑張ってこられたのは、否定せず、障害があるからできないだろうと決めつけず、長所を伸ばそうと努力してくれた家族のおかげだと言います。
本書では、東田さんの経験に基づいた、自閉症のある子どもとの接し方も紹介されています。

・人格を否定するような叱り方はしない
・本人に選ばせる練習をする(選ばせるときは2回確認する)
・機嫌がもとに戻ったら、いつものように接する
・どんな人になりたいのか聞いて、将来の楽しみを一緒に考える
・コミュニケーションを諦めない
・問題のある行動は辛抱強く注意する


このように日々心掛けることから、あめのなめ方やおかずを取り分ける方法といった、細かい接し方まで具体的に書かれています。こうした両親のささやかなサポートが積み重なり、今の伸び伸びとした東田さんがあるのでしょう。
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