過敏性腸症候群の症状にあてはまったら…

過敏性腸症候群の症状が続いている場合は一度病院の受診を検討するとよいでしょう。

まずはかかりつけ医もしくは内科医に行き、重症で内視鏡検査などの精密検査が必要になる場合は消化器内科か胃腸科をおすすめします。もし大きなストレスがかかる状態が続いていて、抑うつ状態や気分の落ち込みがある場合は、心療内科やメンタルクリニックの受診も視野に入れてみましょう。

診察の際、飲んでいる薬があれば必ずお薬手帳を持参してください。また、直近の健康診断の結果が手元にあれば合わせて持参すると、診断がスムーズになります。腹痛、下痢・便秘を繰り返す腸の病気は、過敏性腸症候群以外にもあるため、医師の診察をしっかり受けることが必要です。

過敏性腸症候群の診断にはどんな検査がある?

過敏性腸症候群の診断は、国際消化器病学会の専門委員会が作成した診断基準で、国際的にも多くの医師が用いている「ローマⅢ基準」によって行われます。
IBSの診断基準(ローマⅢ基準)
最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
下記の2項目以上の特徴を示す
1)排便によって症状がやわらぐ
2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)
出典:https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/ibs.html
「ローマⅢ基準」による診断を確定するために尿・便検査、血液検査のほか、症状や過去にかかった病気(既往歴)や家族の既往歴によって、腹部X腺検査、大腸内視鏡検査、超音波検査、CT検査などが追加されることもあります。急激な体重減少・血便・寝ている間もトイレに行きたくなる場合は、過敏性腸症候群ではなく他の病気の可能性もあるため、追加の検査が必要となることもあります。

潰瘍性大腸炎やクローン病などの初期症状は過敏性腸症候群の症状に似ていること、細菌・ウイルスに感染していることも考えられるため、自己診断ではなく必ず病院で診察を受けましょう。検査以外にも、心理状態や生活状況を聞き出して総合的に診断することもあります。

市販薬で乗り切れているから自分は大丈夫だ、と思っていても重大な病気が隠れている場合もあります。胃に違和感を感じたり、下痢や便秘などの症状に悩まされている場合は、早めに医師による診断をしてもらいましょう。

治療法はさまざま。症状に合った治療法を選ぶことが大切

過敏性腸症候群の治療は、たいてい以下の順番で行われます。
1 生活習慣の改善
・朝、排便をする習慣をつける
・夜更かしをせずに十分な睡眠をとる
・運動不足であれば適度な運動をする(運動療法)
※運動することでストレスが減り、便通も促されるため

2 食事指導(食事療法)
・香辛料、冷たい飲み物、脂っこいもの、コーヒーやアルコールなど、腸に刺激を与えるようなものは控える
・食物繊維を多く含んだ消化に良い食べ物を食べる
・食事は早食いしない、食事を抜かない、1日3食決まった時間にとる

3. 薬物療法
・生活習慣や食事を改善しても症状が変わらない場合は、症状(身体症状・精神症状)に合わせて薬や漢方を使う

4. 心理療法
・薬を使ってもあまり症状が改善されないときやストレスが強い場合は心理療法が用いる
・心理療法には認知行動療法やストレスマネジメント、対人関係療法などがある
※薬を使いながら心理療法を併用する治療もある
過敏性腸症候群の治療では、自分の症状に合った治療法を選び、症状を改善させます。
次ページ「日常生活の工夫で過敏性腸症候群を予防することはできる?」

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