療育手帳を持っているだけでは「障害基礎年金」は受給できない?わが家が直面した、ある問題とは…!

ライター:立石美津子
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まだ子どもが小さいうちは「年金なんて、遠い将来のこと」と思っていませんか?障害があると、20歳から年金を受給できます。でも、療育手帳を持っていれば自動的に受給できるわけではありません。

自閉症の息子は、現在17歳。「障害基礎年金が受給できるよう、準備しておくように」と特別支援学校の担任の先生に言われました。が、ある問題に気づいたのです…。

『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。

障害基礎年金は自動的に受給はできない!申請のために必要なものとは…

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障害のある人は障害基礎年金を20歳から受け取ることができるのは、知っていますか?

息子は現在17歳。年金受給できる年齢まであと2年ちょっとです。私は「療育手帳を持っていれば、障害基礎年金は自動的に受け取れるもの」と勘違いしていました。

学校の個人面談で担任から、「立石さん、主治医はいますか?いないのであれば、20歳になったら障害基礎年金を受給できるように、申請に必要な診断書を書いてくれる医師を、今から探しておいてください」と言われました。

私は、障害基礎年金の受給の申請のためには療育手帳だけ持っていてもダメで、主治医の診断書が必要なのだとこのとき初めて知りました。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150514.html
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障害年金とは?金額や受給条件、申請方法は?働きながら受給できる?【専門家監修】

小児科・児童精神科には年齢制限がある

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10518000250
私の家の近所に小児専門の国立病院があります。もちろん、発達障害児のための専門外来もあります。でも高校生以上の初診は受けつけていないそうです。

発達障害のある子どものかかりつけは、小児科や児童精神科が多いと思います。ですが小児科や児童精神科は、原則として中学生までしか受診ができません。以前は成人期になっても小児科・児童精神科にかかる場合もあったようですが、発達障害の診療ニーズが高まる中、継続しての支援が難しくなってきたという背景もあるようです。

また、幼児期は療育に通ったり病院を受診していたりしたけれど、小・中学校時代にはトラブルなく過ごせ、思春期以降も問題行動などの二次障害もなく落ち着いている場合、投薬もなく、主治医を持たないケースもあるでしょう。友人にも「子どもが小さい頃は病院に行っていたけれど、今は定期通院していない」という人が多くいます。

そうすると、「障害はあるのに問題行動が落ち着いて病院を離れていた結果、主治医がおらず、年金申請に必要な書類を書いてもらえない」という状態になり、慌てることになってしまうのです。

つまり、20歳を迎える前に年金受給申請することになりますが、それまでに成人を診られる病院で主治医を見つけておく必要があります。障害のある子を育てているママ友のなかには、子どもが幼い頃から「年金申請のこと」まで見越して、最初から大人の精神科が併設されているクリニックに通わせている人もいます。でも私は、担任に言われるまで、まったくその知識がありませんでした…。

主治医探しの旅へ

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10161018227
現在、息子は強迫性障害のために大学病院に通院しています。ただ、この病院は「病気の診断を確定して治療方針を立てるところ」です。定期的に通う場合は、住まいの近くのクリニックに転院する必要があるようです。そういう意味ではずっと診てもらえる主治医がいない状態です。

わが家の場合、大学病院から他の病院への紹介などはないため、自力で見つける必要があります。都内の精神科のクリニックに電話をしてみました。しかし、まず電話がつながりません。

30分電話をかけ続け、やっとつながったとしても「来月の初診枠は満員となりました!」と言われてしまいました。さらに「年金申請の診断書記入目的の新患は受けつけていません」と言われてしまったのです。

こうして、病院探しの放浪の旅の途中にあるわが家ですが、医師の立場に立てば、18歳になっていきなり来られても「幼い頃からずっと診てきている訳ではないので、受診してすぐ診断書を書くことは難しい」と考えるのも頷けます。
参考:発達障害診療における小児科から精神科へのトランジション | 精神科治療学 第32巻12号(星和書店)
http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo01/bo0102/bn/32/12index.html
次ページ「精神科医へのスムーズな引継ぎがあれば…」

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