ダメ男の仕打ちに苦しんだ私から、アスピーガールたちへ。「幸せな恋愛」のために絶対すべきコト

ライター:鈴木希望
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自閉スペクトラム症(ASD)の女性に過去の恋愛について聞くと、DV被害だの二股かけられていただの、とんでもない額の借金持ちの男性と付き合っただの…。ひどい話が出るわ出るわ。

かくいう私もそんなASD女性のひとり。幸せな恋愛をしたいのに、どうしてそうなっちゃうの?自分の経験をもとに、考えてみた。

辛い恋愛経験が多い、自閉スペクトラム症(ASD)の私

自閉スペクトラム症(ASD)がある女性(アスピーガール)は、相手の言葉を文字通りに捉えてしまう特性のために騙されやすく、人間関係、ことに恋愛でのトラブルに巻き込まれやすいという話を読み聞きする。

かくいう私も散々な目にあってきた。もちろん、誠実な人間関係を築き、話し合いの末に袂を分かった男性もいるが…。少ない恋愛経験の中でも、DV、モラハラ、二股、ストーカー、独身のふりをした既婚者、私のカードを無断で使ってキャッシング(順不同)…ざっと書いただけで、自分で自分が心配になってきた。

その詳細を全て書くと、うんざりするほどの長編になってしまうし、ご高覧の皆様がどんよりした気持ちになってしまうことは間違いなく、そこは私の望むところではない。とにかく、「鈴木は恋愛で嫌な思いをたくさんしてきたのだな」とご理解いただければありがたい。

私はアレキシサイミア(失感情症)であるため、自分の感情を即時に判断できないことがある。不快や恐怖のドキドキを、ときめきのドキドキと勘違いしてしまい、そのままお付き合いして…ということもあった。吊り橋効果(強い不安や恐怖を感じているときに出会った相手に対し、恋愛感情を抱きやすくなる効果)が日常で起こっている状態だ。とはいえ、全員がそうした心理現象による錯覚だったわけではなく、ほとんどの恋愛は好意から始まっていた。
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アスペルガーの私は、ときどき自分の感情がわからなくなる。なぜ?

「ダメ男好き」ではないのに、どうして!?

こうしたことから私は、「ダメ男好き」という称号を授かることがある。だが、これが実に不本意極まりない。そもそも私は「ダメ男好き」なんかではない。

では、「ダメ男好き」とはどういう人のことを指すのだろうか。友人に、「ダメ男好き」を自認する女性がいる。「例えば月収1000万円とか、とにかくとんでもなく高額な収入を得られたら、ヒモを何人か養いたい」と言うのだ。これぞ正真正銘のダメ男好きである。

しかし分別のある彼女は「でもそれを実行したら、いくら稼いでいたとしても人生が終わる」とも理解しているので、ヒモを養いたい欲求は、漫画やアニメのヒモキャラクターに愛を注ぐことで満たしている。そして現実では決してダメ男ではない配偶者と、可愛らしい子どもに恵まれている。

対する私には、そうした願望は微塵もない。むしろ経済的にも精神的にも自立していて、対等に話ができ、他者を利用したり見下したりもせず、もちろん暴力など振るわない、健全な人と交際をしたいと願っている。いわゆるダメ男と付き合うことが多いからって、ダメ男としてその人を好きになっているわけではない。つまり「ダメ男好き」というのは大きな間違いだ。

ならばどうして、いわゆるダメ男を選んでしまうのか。ASDの私は言葉をそのままの意味で捉えてしまうため、悪意に気づきにくいのだ。例えば男性には、交際相手に暴力をふるった過去や、女癖の悪かった過去などがあったとする。「でも、今は心を入れ替えたんだ」と言われたら、「そうか、心を入れ替えたんだ」と信じてしまう。

ASDでない人からしたら「どう見てもその場しのぎ、上っ面の言い訳だろう」と感じられるような口ぶりでも、気づかないことが多いのだ。そして依存と好意の見分けをつけるのも不得手。これは恋愛に限ったことではなく、われながら本当に危なっかしい。

人を見る目がないわけじゃない!欠点である「ザル」は長所と表裏一体

そんなこんなで、私は「人を見る目がない」との前置きと共に、諫言や進言をいただくことが少なくない。ぐうの音も出ないほどの正論だが、実のところは面白くない。なぜなら、「人を見る目がない」だなんて、私に好かれた人は老若男女問わず、もれなくろくでなしであるかのような言い草ではないか。

言葉の真意はわかっているのだが、できるだけ正確な意味の言葉を使いたいというこだわりのある私は、どうしても受け入れられない。それどころか反発心まで芽生えてしまい、アドバイスを受け入れる気すら薄れてしまう場合さえある。

そこで、「人を見る目がない」と言われたとき、自分の頭の中で変換させられる、うまい言葉はないものかと考えていた。私は確かに騙されやすく、悪意やごまかしに対して鈍感だ。しかし、本当に素晴らしい人の存在を尊ぶこともできる。

「そうか、ザルか」

私は気づいた。付き合う相手を選別する基準、言うなればふるいにかけるザルの網目がひときわ粗いのだ。そのため、より多くの人が「大切な存在」として、自分の世界に入ってきてしまう。

脳内変換のための言葉が見つかり、腹が立たなくはなったものの、どう対策したら良いものか。持って生まれた特性、矯正可能とは思えないが、直せるものなら直したい。

そこで「ザル」の話を含め、前述の友人に相談したところ、
「博愛主義とも言い換えられるし、そういう性質があるからこそ、のんちゃん(私の呼び名)は、接する相手のよい点に、より多く気づけているんだと私は思うよ。だから広告ライターの仕事も向いているんじゃないかな。欠点と長所は表裏一体だからね」
と返ってきた。

私の「ザル」は役に立たないとばかり思っていたから驚いた。

「男女問わず、のんちゃんが交流する人に何か思うところがあれば、私は意見をすると思う。でも、最終的に判断するのはのんちゃん自身だから、私はそれを尊重するよ」

じんわりと嬉しくなった。ここまで思ってくれる人の言葉なら、しっかり受け止めたい。そして、もし「やっぱりこの人は大切な人だ」と感じたとしても、立ち止まって考え、慎重に行動しようと決めた。

以後、浮いた話は特別なく平和に過ごしているが、上記の心がけは決して忘れずに暮らしたい。
次ページ「アスピーガールのあなたと、寄り添う周りの方へ」

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