【発達障害 子育て】息子の言葉に感情が宿った?自閉症児の育児、今までで一番嬉しかったこと

ライター:立石美津子
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私の息子は自閉症です。今年、高校3年生になりました。この子を育てる中で、一番嬉しかったこと…それは息子が意味のある「言葉」を話した瞬間でした。

自閉症の息子が5歳のとき――初めて意味のある言葉を発した!

うどんを食べる自閉症の息子
大好きなうどんを食べる、5歳のころの息子
Upload By 立石美津子
『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。

あれは、息子が5歳のときでした。デパートの讃岐うどんのお店に連れて行ったときのこと。

息子が食べていたうどんの器には、あと1本だけ、うどんが残っていました。その器を、店員が「お下げいたします」と持って行こうとした瞬間、大きな声で「まだ食べる!」と叫んだのです。

そのころの息子は、まともな単語すら出ていませんでした。それなのに、いきなりの2語文!しかも自閉症らしからぬ、自分の意思をはっきりと示し、まっすぐと相手に届く言葉でした。

言葉は単独では発達しないと、主治医に諭されて

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10161018204
息子は2歳から国立の子ども病院の心の発達科に通っていました。この病院ではソーシャルスキルトレーニングのほか、さまざまな訓練があったので「言葉が話せるようになるトレーニングをさせたい」と申し出ました。

ところが担当医は、「お母さん、いくら言葉を教えても、それは単に単語を覚えるだけに終わります。言葉を操ってコミュニケーションをとれるようにはなりませんよ!」ときついことを言うのです。

「ソーシャルスキルトレーニングを受けさせたい」と申し出ても、「周りに関心を持つことができてはじめて、社会のルールを学べるのです。○○君(息子の名前)は、排泄・着替えなど自分の身のまわりのことも全くできていないじゃないですか!何を考えているの?」と厳しく言われました。

更に、診察室の床に落ちているゴミを口に入れている息子を見て、「ほら、ごらんなさい。ゴミを口に入れているじゃないですか、この段階では“社会性を育てる”なんてずっと先の話ですよ。まだ早い、まだ早い」と言いました。

5歳過ぎてもオムツが外れない息子を心配し、「なんど教えてもトイレでおしっこができない。どうしてもオムツを取りたい」と訴えた時も…「オムツだけをとっても、オムツとれた赤ちゃんのままです」と言われる始末。

「言葉も、オムツがはずれることも、全部発達の中でできるようになっていくものです」と厳しく諭されました。

自閉症の息子、リンゴの銘柄は言えても「買って」とは言わない…

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幼いころ、息子はリンゴの銘柄にこだわりがあり、スーパーに行くと、リンゴの棚の前で「ジョナゴールド・津軽・紅玉・シナノゴールド・秋映・王林…」と覚えている銘柄を順に言っていました。

けれども、「ママ、このリンゴ美味しそうだね。買って~買って~」と言うことはありませんでした。

息子は、スーパーの中だけでリンゴの銘柄を唱えていたのではありませんでした。動物園など、リンゴなんて目の前にない場所でも、銘柄名をお経のように唱え続けるのでした。これは言葉を使ったコミュニケーションとは言えません。
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