難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!

ライター:発達障害のキホン
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難病法には重症度基準が設けられ、病状の程度が一定以上の人は、医療費助成の対象となります。しかし、指定難病の診断を受けていても、治療により症状が落ち着いているいわゆる「軽症」の人は、医療費助成の対象にならないケースがあります。

たとえ症状が落ち着いていても、軽症を保つための治療において高額な医療費を支払っている人もいるのが現状です。今回は、「軽症高額該当」とはなにか、対象になる基準や、申請方法などを詳しく解説します。

目次

軽症高額該当とは?

難病法に基づき、難病のある人を対象とする医療費の助成制度があります。しかし、指定難病に罹患していると認められたものの、病状が「軽症」であるため重症度基準を満たせないと、医療費助成の対象とならない場合があります。「軽症高額該当」は、「軽症」でありながら症状を保つために高額の治療費を支払い続けている難病の人を医療費助成の対象として認定し、経済的負担の軽減を図る制度です。

制度導入の背景

難病患者が医療費助成を受けることができる制度に「指定難病医療費助成制度」があります。その認定審査は、定められた「診断基準」および「重症度基準(症状の程度の基準のこと)」という2つの基準をもとに行われます。上記2つの基準両方を満たした人が、難病医療費助成を受け取ることができるという仕組みです。

しかし、診断基準は満たしているものの、重症度基準を満たせない「軽症」という場合もあります。服薬などの適切な治療によって症状が抑えられ、通常の生活を送ることができている状態が続いている人もいます。「軽症」とはいえ、その状態を保つ治療を継続するためには、高額な医療費が必要となってきます。

特に難病の場合は、治療が長期にわたることも多く、治療費は経済的に大きな負担となってしまいます。そこで平成27年1月1日より、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が施行され、その中でこうした難病でありながら、高額な治療費を支払い続けている「軽症」状態の患者の経済的負担の軽減を図るため、「軽症高額該当」という新しい制度が導入されたのです。

軽症高額に該当する2つの要件

要件1:難病の診断基準を満たすが、重症度基準を満たさない「軽症」な状態である

「軽症高額該当」の対象者は、臨床調査個人票(医師による、細かい調査所見を記入したもの)を審査した結果、申請した疾病の診断基準は満たすが、重症度基準(病状の程度の基準)は満たさなかった人となります。要するに、指定難病であると診断されているにもかかわらず、「軽症」(適切な治療によって症状が抑えられている)な状態であることによって、助成費が受けられないということです。

要件2:難病治療にかかる医療費が3万3330円を超える月が1年間に3回以上ある

「軽症高額該当」制度において、医療費の助成が受けられるかどうかは、1ヶ月あたりの難病治療にかかる医療費の総額がポイントとなります。認定の基準となるのは、申請した月以前の12ヶ月間において、申請した疾病(指定難病)にかかった医療費総額(10割負担と考えた場合)が33,330円を超える月が1年間の間に3ヶ月以上あると認められるかどうか。

難病と診断されてから12ヶ月経っていない場合は、医師が難病発症と認めた月から、申請日の属する月までに医療総額費が33,330円を超える月が3回以上あった場合に対象となります。
認定後~医療費受給者証が届くまでにかかってしまった医療費は、治療費の申請を行えば、負担上限月額を超えた額が後から支給されます
※認定後~医療費受給者証が届くまでにかかってしまった医療費は、治療費の申請を行えば、負担上限月額を超えた額が後から支給されます。
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参考:軽症かつ高額の認定基準について|東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/nanbyo/portal/seido/keisyokogaku.files/28keisyokogakuninteikijyun.pdf

軽症高額該当の認定および医療助成費申請の流れ

指定難病医療費助成申請をする際に、「軽症高額該当」認定申請も同時に行なうのが一般的です。これは、指定難病医療費助成と軽症高額該当の申請を別々に行うと、かなりの時間と手間がかかり、給付までに相当な時間を要することになってしまうためです。最初にどこに相談すればいいのか、どのような手順で申請するのか、申請に必要な書類、注意すべき点などを解説します。

相談窓口

「軽症高額該当」認定および医療助成費の申請や相談の窓口は、自身の住民票のある各都道府県の保健所になります。各都道府県によっては、福祉事務所などと統合されている場合もありますので、事前に自治体のホームページなどで確認しておきましょう。

申請方法

「軽症高額該当」の認定申請は、医療費助成申請の手続きと同時に行うことがほとんどです。「指定難病医療費助成制度」の医療助成費申請手続きの際に、追加書類として「軽症高額該当」であることを証明するための書類を提出することで、軽症高額該当の認定確認も行われます。

まず、必要書類(次項の「申請に必要な書類」参照)を揃え、各都道府県の窓口(保健所もしくは役所の福祉事務所)に提出します。「軽症高額該当とみなし、医療費助成対象である」と認定されると、都道府県から「指定難病医療受給者証」が交付されます。

都道府県によって異なりますが、認定されても医療受給者証が届くまでには、ある程度の時間がかかります。医療受給者証が手元に届くまでにかかってしまった医療費に関しても、治療証明書や領収書を添付し治療費の支給申請を行えば、負担上限月額を超えた額があとから支給されます。必ず治療証明書や領収書は保存しておきましょう。

申請に必要な書類

ほぼすべての書類は、保健所や福祉事務所のホームページからダウンロードすることができます。都道府県によって必要な書類は多少異なってくるため、必ず担当窓口に確認しましょう。

・※「臨床調査個人票」…指定医による詳細な診断書、厚生労働省のホームページからダウンロードできる。なお、平成27年1月1日以降、難病患者が特定医療費の認定申請を行う際、都道府県知事の定める指定医以外の医師が作成した臨床調査個人票(診断書)は認められない。
・※「医療費申告書」…かかった医療機関に、医療機関名・治療内容・かかった医療費などを記載してもらう。必ず領収書も添付する。
・支給認定申請書…患者の個人情報を自身が記入するもの。
・健康保険証の写し
・住民票
・世帯の所得を確認できる書類

※印の書類が、「軽症高額該当」認定のための追加必要書類となります。
参考:難病医療費助成の支給認定申請手続等|東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/nanbyo/portal/seido/shinsei.html

毎年忘れず更新手続きを!

医療受給者証の有効期間は原則1年以内です。継続的に治療が必要な場合は、有効期間終了前に必ず更新手続きを行いましょう。せっかく「軽症高額該当」と認められ、医療費の助成を受けられても、更新し忘れた場合、再び新規申請しなければならないので注意しましょう。

また、医療費の助成が受けられるのは、「指定医療機関」で受けた指定難病およびそれに付随して発生した傷病の治療に限られます。難病以外の風邪などの病気あるいは怪我などで、他の病院でかかった医療費は助成されません。
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次ページ「助成を受けられる場合、自己負担額はどのくらい?」

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