スモールステップを積み重ねる方法は、さまざまな場面で有効

今回リンゴの皮むきを練習させる際に意識したのは、この3つのポイントです。

1. あくまでもスモールステップを積み重ねる。前の週にやらせたことを必ず新しい練習の中に組み込み、「前より上手になったね」と褒めることを忘れない。
2. 連続して毎日取り組む。
3. 失敗したとしても、本人のがんばりを決して否定しない。


今回わが家ではリンゴの皮むきの練習をしましたが、この方法はさまざまな場面で活用することができると思います。

私は昔、特別支援学校教諭免許を取るための実習で、「シャツの5個のボタンをとめる練習」を特別支援学校の生徒と行ったことがあります。実はこのときも、1週間ごとに課題を増やすやり方をしていたのです。具体的には次のような手順で練習をしていました。

シャツの5個のボタンをとめる練習

ポイントは3つ!自閉症の息子の「できる!」を育んだリンゴの皮むき練習法の画像
Upload By 立石美津子
●1週間目
1番下のボダンだけ自分でとめます。1番上のボタンは首元にあるため、自分の目で確かめながらとめるのが難しく、下のボタンから練習をする方がやりやすいのです。

●2週間目
下から2番目までを自分でとめます。

●3週間目
下から3番目までを自分でとめます。

●4週間目
下から4番目までを自分でとめます。

●5週間目
5個のボタン全部を自分でとめます。

すべり台をすべる練習

もっと小さな子どもの場合、すべり台の練習をする時にもこの方法を試してみたらどうでしょう。子どもがすべり台を怖がっている時、いきなり上まで登らせてしまうとこわくなってしまうかもしれませんから。
●1週間目
親はすべり台の横に立ち、下から3分の1くらいのところに子どもを座らせる。そこから、親が脇を持ってあげてすべらせる。

●2週間目
同じ要領で、今度は下からちょうど半分くらいのところから、親が脇を持ってあげてすべらせる。

●3週間目
同じ要領で、今度は上から、親が脇を持ってあげてすべらせる。

●4週間目
上から親と一緒にすべる。

●5週間目
1人ですべる。

時間がかかってもいい。急がば回れ!

息子がリンゴを切れるようになるのに1か月以上かかりましたが、これだけ時間をかけたからこそできるようになったのだと思います。最初から完璧にやらせようとしすぎてダメ出しをし、親子喧嘩になるということも避けられました。良かった良かった!まさに「急がば回れ」です。

今では、リンゴの皮むきは完全に息子に任せていて、私よりも上手にむけるようになりました。「自分は果物をむける」ということが自信になったようで、柿や梨をむく係も率先してやってくれます。

私も「できてあたり前」だと思わず、「ありがとう、今日もうまくむけているね」の言葉を忘れないようにしています。

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