苦しかった「カメラアイ」特性――大人になった娘が模索する、特性とのつきあい方

ライター:荒木まち子
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もうすぐ20才になる発達障害の娘。その凸凹特性ゆえ、悩みもいろいろとあります。見たものをあっという間に覚え、そして忘れることのない「カメラアイ」も、娘が持つ特性のひとつであり、長年苦しめられてきました。

発達障害の娘についてコラムを書くとき、心がけていること

私はコラムで娘のことを書くときには、内容を娘本人に読んでもらってから完成させるようにしています。そうすることで私の記憶に間違いや思い違いがないかを確認できますし、また、本人の口から当時のことを聞くことで「え?あのときはそんなふうに考えていたの?」と、新たな気付きを得ることもあるからです。

過去の出来事を振り返る作業は、ときには辛いこともありますが、娘の反抗期もある程度落ち着いた今「あぁ、あのときはそうだったよね~」と、笑って話せることも多いです。

そんな娘の「原稿チェック」の様子は…

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娘は一見、私が書いた原稿を最後までしっかり読んでいないように見えることもあるのですが、実際にはそんなことはありません。

娘は幼い頃から「目からの情報」が入りやすい子どもでした。学校では言葉での一斉指示が入りづらく、廊下に気になる掲示物があると立ち止まって見入ってしまうこともしばしばありました。

娘は読書も大好きで、放課後等デイサービスでは休憩も取らず何時間も本を読みふけってしまい、体調を崩してしまったこともあります。年齢とともに読む本のジャンルも広がりましたが、読むスピードも年々速くなっているようで、「ほんとに“読んだ”の?」「“見た”だけじゃないの?」と思うほど、あっという間に読み終えてしまうのです。
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本を読みだすと周りが見えなくなるほど集中!読む本は様々で…

娘は数年前にあるワークショップに参加して、認知特性を調べたことがあるのですが、そのときに「視覚優位の“カメラアイ”の特性が強い」「聴覚からの情報を処理することが苦手なタイプ」という結果が出ました。カメラアイとは、視覚優位の中でも物事を「写真」として記憶するタイプのことを指すのですが、これには本人も私も心底納得したものです。

娘にとって「カメラアイ」は、うれしい特性ではない

このカメラアイによって速読することができるため、一見役に立ちそうな特性であり、定型発達の弟にうらやましがられることもあります。でも本人にとっては…
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娘にとっては、カメラアイはそれほどうれしい特性ではないそうです。

娘は、体調を崩したり不安が強くなったりすると「フラッシュバック」を起こすことがあります。これは過去の辛かった出来事や誰かに言われたことなどが、あたかもその場で再び起きているかのように鮮明に思い出される症状で、カメラアイという特性ゆえに起こります。娘はこのフラッシュバックに苦しめられており、その様子は傍から見ていてもとても辛そうです。
次ページ「娘なりのフラッシュバックとのつき合い方」

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