2019年夏『自閉症スペクトラムの理解と支援』セミナー開催に寄せて――児童精神科医・内山登紀夫先生

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よこはま発達クリニックとよこはま発達相談室は、夏のセミナーを毎年行っています。私たちが、ASD(自閉症スペクトラム)がある人たちを支援するときに大事にしてきたことは一貫して変わりません。それは「自閉症でok」「親子で穏やかな生活を目指す」「家族と協力し子どもを支援する」「一人ひとりの特性や興味・関心に合わせた無理のない設定」「環境を整える」こと。そのためには保護者・支援者の理解が欠かせません。そこでASD(自閉症スペクトラム)についての基本的な知識や支援の方法を紹介するセミナーを行ってきたのです

内山登紀夫
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ASD(自閉症スペクトラム)のある人の理解と支援を広げるために

毎夏、よこはま発達クリニックとよこはま発達相談室は、一般の方向けに、ASD(自閉症スペクトラム)に関するセミナーを行っています。どうして、セミナーを始めこれまで続けてきたのでしょうか?

私たちは1997年に当時としては珍しい発達障害を専門にする「仲町台発達障害診療所」を立ち上げ、2000年に現在のよこはま発達クリニックに改称し、以来20年以上にわたってASD(自閉症スペクトラム)を中心に発達障害の医療と支援を行なってきました。

初代の院長は故佐々木正美先生にお願いしました。私たちはTEACCHプログラムの創始者であるエリック・ショプラー先生、アスペルガー症候群と自閉症スペクトラムの概念を提唱したローナ・ウイング先生を始めとして多くの先生から自閉症について学んできました。
私たちがクリニックを受診される方々を支援するときに常に大事にしてきたのは「自閉症でok」、「親子で穏やかな生活を目指す」、「家族と協力して子どもを支援する」、「一人ひとりの特性や興味・関心に合わせた無理のない設定をする」、「環境を整える」ということです。

そのためには、より多くの人たちの理解が必要となります。仲町台発達障害診療所を開設以来、私たちは毎年「夏のセミナー」を行ってきました。そしてセミナーでは、ASD(自閉症スペクトラム)についての基本的な知識や支援の方法を紹介してきたのです。

ASD(自閉症スペクトラム)がある人の生活を支援するには

「構造化」という言葉をお聞きになられたことのある方は多いのではないでしょうか?

私たちは、無理に“普通”に近づけようとしたり、周囲にあわせるのではない。環境を整えて、本来持っている能力を発揮しやすくすることを目指してきました。そのためには、自閉症スペクトラムの特性を理解することが大切だと考えました。そして、支援を考える際には「構造化」を大切にしてきました。

クリニックを立ち上げた頃には「構造化」の考えを取り入れる学校や福祉機関は少なかったのですが、徐々に日本でも浸透してきました。しかしながら、ASD(自閉症スペクトラム)の方の支援を考える際には大切で、有益な考え方ですが、誤解や誤用も多いのが現状だと思います。

「構造化」する背景には自閉症の特性が深く関係しています。その理解をせずに、とりあえず「やってみる」ではうまくいかないことも多いのです。「なぜやるのか」を支援者一人ひとりが考えることが大切です。そこで、「構造化」についての正しい理解と、その理解に裏打ちされた「支援」の実現の一助となるよう、毎年セミナーを開催しているのです。

2019年夏のセミナーでは、具体的なアイディアを紹介しつつも、「なぜやるのか」「どうして必要なのか」に焦点をあてながら、支援のエッセンスについて共有していこうと思っています。

ASDについて、基本的な知識や支援の方法を紹介するセミナーを開催

「令和」最初の『夏のセミナー 自閉症スペクトラムの理解と支援』は、東京駅前で開催することになりました。セミナーの内容について、簡単に紹介したいと思います。

8月2日(金):『改めて基本特性から考える:理解と評価』(蜂矢・北沢)

セミナー1日目となる8月2日には、児童精神科医の蜂矢と公認心理師の北沢が自閉症スペクトラムの基本特性について解説します。

自閉症特性は年齢や認知水準によってさまざまな表れ方をします。発達特性に基づいた正しい評価とは、子ども一人ひとりの発達特性や認知特性、興味や関心のあり方を把握することから始まります。心理検査データのパターンだけで支援方法が決まるわけではありません。発達特性の理解に基づいた適切な評価を通じて、一人ひとりの支援プランと具体的な対応を考えましょう。

8月3日(土):『支援の原則と実際:構造化とコミュニケーション支援』(佐々木・飯塚)

2日目は公認心理師の佐々木と言語聴覚士の飯塚が担当します。自閉症スペクトラムの方々への支援は、一律の方法があるわけではなく、それぞれの方に合わせた支援・関わり方が大切だと考えています。

今回はそのためのアイディアの一つとして、「構造化」と「コミュニケーション支援」についてお話をさせていただきます。午前中は、なぜ構造化をするのか、構造化の意味を共有させていただいた上で、さまざまな知的レベルや年齢の方への具体的な方法を紹介いたします。

午後は、穏やかに、そして充足感をもって暮らすためのコミュニケーション支援について、さまざまな発達段階の幼児〜大人の事例のビデオをお見せしながら解説いたします。

8月4日(日):『問題行動とそれへの対応』(宇野・内山)

3日目は児童精神科医の宇野と内山が問題行動について背景や対策を考えます。

ASDの問題行動は、かんしゃく・自傷・他害行為、多動や不注意などの衝動的行動、ひきこもりや昼夜逆転などに加え、いわゆる触法行為、さらには自殺企図やうつ・不安などの精神科的問題など多岐にわたります。その多くが、自閉症特性への配慮不足から生じていると考えられます。

この講座では、ASDにみられやすい問題行動を解説し、その対応の方法を、海外での研究動向なども含めて紹介します。

3日間のセミナーで、さまざまなことをお伝えしたいと思っています。ぜひ日々の支援に生かしてもらえたらと願っています。

『夏のセミナー 自閉症スペクトラムの理解と支援』開催詳細

日時:2019年8月2日(金)~4日(日)

場所:AP東京 八重洲通り(東京都中央区京橋1-10-7 KPP八重洲ビル 8/2(金)7階 / 8/3(土)8/4(日)13階)

プログラム
◇8月2日 10:00~16:45 『改めて基本特性から考える:理解と評価』
◇8月3日 10:00~16:45 『支援の原則と実際:構造化とコミュニケーション支援』
◇8月4日 10:00~16:45 『問題行動とそれへの対応』

講師
蜂矢百合子(児童精神科医、よこはま発達クリニック/相談室)
北沢香織(公認心理師・臨床心理士、よこはま発達クリニック/相談室)
佐々木康栄(公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士、よこはま発達相談室/クリニック)
飯塚直美(言語聴覚士、よこはま発達相談室/クリニック)
宇野洋太(児童精神科医、国立精神・神経医療研究センター)
内山登紀夫(児童精神科医、よこはま発達クリニック院長/よこはま発達相談室代表、大正大学 教授)

対象:保護者、実際に療育・支援に携わっている方、学生など(中学生以下の参加はできません)

料金:各日10,000円(税込)

定員:120名(先着順)

事務局:よこはま発達相談室(www.ydc-r.com)
seminar@ypdc.net

このコラムを書いた人の著書・監修した書籍

ちょっとふしぎ 自閉スペクトラム症 ASDのおともだち (あの子の発達障害がわかる本 1)
内山登紀夫 (監修)
ミネルヴァ書房
大人の発達障害ってそういうことだったのか その後
宮岡 等 内山 登紀夫
医学書院
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