自閉症サンちゃんの「こだわりの世界」、名探偵ママが解き明かす!愛情たっぷり家族の毎日を綴る『つま先立ちのサンちゃん』。連載ライター・たなかれもんさんの新刊が発売

ライター:発達ナビBOOKガイド
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扶桑社
自閉症サンちゃんの「こだわりの世界」、名探偵ママが解き明かす!愛情たっぷり家族の毎日を綴る『つま先立ちのサンちゃん』。連載ライター・たなかれもんさんの新刊が発売のタイトル画像

LITALICO発達ナビでも好評連載中のたなかれもんさんのコミックエッセイ、『つま先立ちのサンちゃん』が発売になりました!自閉症スペクトラムと知的障害があるサンちゃんは、とても個性的でこだわりの強い女の子。そのこだわりが困りごとを起こすこともあるのですが、そんなサンちゃんに寄り添いながられもんさんは原因をじっくりと探り、解決策をひねり出していきます。そのさまはさながら「名探偵」のよう…?

つま先立ちの達人、サンちゃんの不思議な日々

5歳のサンちゃんと3歳のワッくん、2人のお子さんの日々を漫画とエッセイで綴る発達ナビでの連載が好評のたなかれもんさん。
【新連載】自閉症の娘・サンちゃんと家族のほのぼの日記!最高に可愛い証明写真がとれちゃった♡のタイトル画像

【新連載】自閉症の娘・サンちゃんと家族のほのぼの日記!最高に可愛い証明写真がとれちゃった♡

そして6月28日には、単行本『つま先立ちのサンちゃん』が扶桑社から発売されました!
つま先立ちのサンちゃん
たなかれもん(監修・平岩幹男)
扶桑社
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主人公であるサンちゃんは、2歳1か月のときに「自閉症スペクトラム」の診断を受けています。知的発達も少し遅く、5歳時点で発達指数は1歳半くらいだそう。とにかく自分の気持ちをまっすぐに表現する女の子です。その弟ワッくんは、マイペースなサンちゃんに振り回されながらもいつも仲良く遊んでいます。

さて、サンちゃんにはひと目でわかる、ちょっと不思議なところがあります。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.18より
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なぜサンちゃんはいつもつま先立ちなのか、その答えはいまだにわかっていません。れもんさんは当初は「感覚が鈍麻」なのかと考えますが、のちに通うことになる療育園の先生にはむしろ「かかとの感覚が過敏」だからだと言われます。まったく逆の見立てですが、れもんさんはいわゆる「ボディイメージ」の問題もあるのかも、と推察します。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.85より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.85より
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ボディイメージの成熟は、定型発達の子どもでもかなり個人差がありますが、焦らず持続的に刺激を与えてあげれば少しずつ成熟スピードが上がっていくといわれています。とはいえ、つま先立ちのまま「超高速サンバステップ」をするサンちゃんの姿は、ご両親にとっては懐かしくいとおしい大切な記憶の1ページになっているようです。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.20より
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また、サンちゃんが「ことば」を覚えていくプロセスも、少し変わっているようです。

多くの子どもは、1歳を過ぎたあたりから爆発的にことばを覚えていきます。そのスピードにはかなり個人差がありますが、一度覚えたことばの数が減ることはほとんどありません。

ところがサンちゃんは、1歳半になる頃、覚えたはずのことばをすっかり忘れてしまったように見えたのです。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.36より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.36より
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とはいえ、忘れられたことばたちは、完全に消えてしまったわけではありません。3歳になったある日、突如として復活したのです。れもんさんはその様子を見て「消えたんじゃなかった」「きっと大事にしまってたんだね」と心の中でサンちゃんに語りかけます。

こだわり王サンちゃんvs名探偵おかあさん

さまざまなこだわりが強いのもサンちゃんの特徴です。しかもそれが、何に対するこだわりなのかがすぐには分かりにくく、ときには原因不明のまま激しく泣き出したりもするのですが、れもんさんはあの手この手でその正体を突き止めていきます。そこには大変な苦労もあるはずですが、その様子はユーモラスで、読んでいて「そうだったのか!」と思わず膝を打つ発見もあり、ちょっとしたミステリーのようです。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.24より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.24より
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食べることが大好きすぎるサンちゃん。お散歩に行けば、かつてお弁当やおやつを食べた場所に座り、食べたいアピールも。でもそんなサンちゃんが、突然ごはんを食べなくなったこともありました。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.98より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.98より
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どんどん体重が減っていくサンちゃん。病院に通っても体調はよくならず、悩むれもんさん夫婦。

その頃のサンちゃんは家にあったDVDを繰り返し見るようになっていました。そこでれもんさんは、ある仮説を立てて実験を試みます。果たしてその結果はいかに…?
れもんさんいわく、「こだわりはいつもふらっとやってきて 別れも告げずいつの間にか姿を消す」のですが、根気強く原因を究明していくれもんさんは、さながら名探偵です。

あるときは傘を持つことにこだわり、療育園へのスクールバスの中でも傘をさそうと大騒ぎ。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.53より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.53より
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しかし、お父さんの素晴らしい思いつきで状況は急展開を迎えます!傘問題、一件落着かと思いきや…!?

サンちゃんと、弟・ワッくんの関係

サンちゃんと弟のワッくんは、どちらもマイペース。かみ合っているような全然かみ合っていないような姉弟ですが、つかず離れずよい関係のようです。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.96より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.96より
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「療育」ってどんなこと?

自閉症スペクトラムとの診断を受けた2歳の頃から、サンちゃんは「療育センター」や「療育教室」、「療育園」に通っています。ところでこの「療育」って、具体的にはどんな意味なのでしょうか?
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.32より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.32より
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『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.33より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.33より
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療育教室や療育園は、ほかの子たちとの集団生活を営みつつも、あくまでも一人ひとりの個性や適性、発達の度合いに寄り添ってくれるのが特徴です。診断を受けた3か月後から、週1回の療育教室に母子通園で通い始めたサンちゃんは、わずか4か月の通室のあいだに少しずつ「きもち」を表現できるようになっていきました。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.156より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.156より
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療育教室を卒業したサンちゃんは、療育園に入園します。療育園は子どものみの単独通園の日と母子(父子)通園の日があり、少しずつ自分で荷物を出したり、着替えたりといったルーティンを身に着けていくのは一般の保育園や幼稚園と同じです。遊びのなかで感覚統合を訓練するメニューなど、療育園ならではのカリキュラムもありますが、決して無理強いはせず、個性に寄り添ってくれるのは療育教室と同じです。

入園から3年、5歳になったサンちゃんは、「きもち」の表現の面でもさらに大きな変化を見せはじめます。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.174より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.174より
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『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.175より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.175より
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「うちの子もやってた!」の連続

障害のあるなしにかかわらず、子どもは成長していく過程で突然いろいろな行動や習慣を始め、不思議な言葉を喋り出します。ところが、ある日を境にまったくやらなくなってしまう。子どもの成長とは、消えてしまった行動や言葉が、地層のように折り重なったものだといえるかも知れません。子育てや仕事に忙殺されてしまうと、その地層は見えなくなってしまいがちです。

『つま先立ちのサンちゃん』には障害のある子を育てることの驚きや喜びだけでなく、苦労や困難も描かれています。ただ、それにもまして驚かされるのは、子どもの成長の地層が鮮明に描かれていることです。そこにはサンちゃんにいつも寄り添い、さまざまな行動の背景にあるサンちゃんの思いに気づき、大切に育んできたれもんさんのまなざしを感じることができます。
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.210より
『つま先立ちのサンちゃん』(扶桑社)P.210より
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つま先立ちのサンちゃん

つま先立ちのサンちゃん
たなかれもん(監修・平岩幹男)
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文/柳瀬徹
あれ、ちゅるちゅるやめたの…?自閉症のサンちゃんなりに考えた、ベストな食べ方のタイトル画像

あれ、ちゅるちゅるやめたの…?自閉症のサンちゃんなりに考えた、ベストな食べ方


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