一人でずっと喋ってる?感謝ってなに?本人に聞いて分かった「問題行動」の理由と解決策。かなしろにゃんこ。さん新刊『発達障害 僕にはイラつく理由(ワケ)がある!』
ライター:発達ナビBOOKガイド
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講談社
「キレやすい」「イライラしやすい」「おしゃべりが止まらない」「教室を脱走」「感謝ができない」「素直に謝れない」…。
個性的でどこか不思議な行動をする子どもたち――発達ナビでも人気の漫画家、かなしろにゃんこ。さんの新刊は、息子・リュウ太くんに、子ども時代の「不可解な行動」の理由をインタビューした異色作。行動の背景が分かれば、折り合う方法も見えてくる!当事者の言葉には、「社会で生きていくための知恵」もつまっていました。
不可解な行動の理由って?大人になった息子にインタビュー
ADHDと軽い自閉症スペクトラム障害があるリュウ太くん。かなしろにゃんこ。さんは、彼の「キレやすい」「イライラしやすい」「おしゃべりが止まらない」といった行動にずーっと悩まされてきました。なんでそんなことをしてしまうのか?この本で、大人になったリュウ太くんに、そのワケをインタビュー。さらに、公認心理師でもある前川あさ美先生(東京女子大学教授)の解説を交えて、「行動の理由や背景」を解き明かしていきます。
発達障害 僕にはイラつく理由(ワケ)がある!
講談社
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まるで宇宙人だったリュウ太くん。そこには理由があった!
小学校のころ、リュウ太くんは、いつもイライラしていてケンカっ早く、母親であるかなしろにゃんこ。さんも困ってしまう行動ばかりだったそう。その有様は、まるでトゲだらけの宇宙人みたいだったと、当時を振り返ります。
冒頭からさっそく、衝撃的な絵が登場…!
冒頭からさっそく、衝撃的な絵が登場…!
イライラ星人・リュウ太くんには、たとえば「おしゃべりを始めると止められない」というクセがありました。特に家ではそれが顕著で、かなしろさんがうんざりしてしまうこともしばしば。でも、止められない背景には、リュウ太くんなりの独特な感覚があったんです。
"今頭の中にあることを出し切りたい…"これが、話を止められない理由でした。
それだけじゃありません! 母親として、かなしろさんが特に衝撃を受けたのが、「お礼」「親切」とは何かが理解できていないことでした。
リュウ太くんは、忘れ物・なくしものが多い子でした。学校で習字道具を忘れたとき、リュウ太くんは毎回、隣に座っている女の子から借りていたそうです。
ところが彼は、きれいに洗って返すことができません。あるとき女の子が「キレイにしてくれないから、もう貸したくない!」と言ったところ、なんとリュウ太くん、「困るよ!」と逆ギレしてしまったのです。(CASE3「親切が理解できる?」)
「そうだったんだ。今までありがとう。ごめんね」と言ってもよさそうなところ、彼はなぜキレてしまったのか?そこには彼なりの、こんな理屈がありました。
それだけじゃありません! 母親として、かなしろさんが特に衝撃を受けたのが、「お礼」「親切」とは何かが理解できていないことでした。
リュウ太くんは、忘れ物・なくしものが多い子でした。学校で習字道具を忘れたとき、リュウ太くんは毎回、隣に座っている女の子から借りていたそうです。
ところが彼は、きれいに洗って返すことができません。あるとき女の子が「キレイにしてくれないから、もう貸したくない!」と言ったところ、なんとリュウ太くん、「困るよ!」と逆ギレしてしまったのです。(CASE3「親切が理解できる?」)
「そうだったんだ。今までありがとう。ごめんね」と言ってもよさそうなところ、彼はなぜキレてしまったのか?そこには彼なりの、こんな理屈がありました。
一度受けた親切は継続されるのが当たり前、頼んでいないことにはお礼を言う必要はない――リュウ太くんはこう考えていました。
他にもリュウ太くんは、素直に「ごめんなさい」が言えないという問題を抱えていました。このことについても、本人には独特な理屈があります。
他にもリュウ太くんは、素直に「ごめんなさい」が言えないという問題を抱えていました。このことについても、本人には独特な理屈があります。
・わざとじゃなかったら謝らなくていい
・謝れと言われるほど謝りたくなくなる
・自分だけが悪いわけじゃないときは謝らなくていい
・謝っても消せないのだから謝ることに意味はない
だから、謝ることができなかったんだ…かなしろさんはようやく知ることになります。
・謝れと言われるほど謝りたくなくなる
・自分だけが悪いわけじゃないときは謝らなくていい
・謝っても消せないのだから謝ることに意味はない
だから、謝ることができなかったんだ…かなしろさんはようやく知ることになります。
感情の概念を、子どもに理解してもらうためにできること
Case6 「人の気持ち、わかるかな?」では、リュウ太くんに貸したゲームを返してもらいに来た友達が登場します。
リュウ太くんは友達に、「いつまでも借りててごめん」、「ありがとう」の言葉もなく、ただ「はいゲーム」とだけ言って返します。「人の気持ちを考えなさい!」と言うお母さんの言っていることも、よく理解できていません。
「将来、息子が困らないように、もっと世渡りのコツを教えなくちゃ!」と思ったかなしろさんは、いろいろな作戦を考えます。ヒントになったのは、かなしろさんが仕事で出会った特別支援学校の教員経験がある先生の話でした。
その先生によれば、今の子どもはメールやネットの影響でドラマを見る機会が減っているため、人の気持ちに気づきにくくなっているとのこと。そこで、かなしろさんは、リュウ太くんと一緒にいろいろなドラマをDVDで見ることにしたそうです。
リュウ太くんは友達に、「いつまでも借りててごめん」、「ありがとう」の言葉もなく、ただ「はいゲーム」とだけ言って返します。「人の気持ちを考えなさい!」と言うお母さんの言っていることも、よく理解できていません。
「将来、息子が困らないように、もっと世渡りのコツを教えなくちゃ!」と思ったかなしろさんは、いろいろな作戦を考えます。ヒントになったのは、かなしろさんが仕事で出会った特別支援学校の教員経験がある先生の話でした。
その先生によれば、今の子どもはメールやネットの影響でドラマを見る機会が減っているため、人の気持ちに気づきにくくなっているとのこと。そこで、かなしろさんは、リュウ太くんと一緒にいろいろなドラマをDVDで見ることにしたそうです。
こんなふうに、折に触れてリュウ太くんの疑問に答えていきます。この「解説つきドラマ鑑賞」が、のちのちリュウ太くんにとっては、人の気持ちを理解することにつながっていきました。
感情は、人に教わるようなものじゃない、と考えがちですが、実はそうではないのかもしれません。「ありがとう」「ごめんなさい」だけでなく、私たち大人も、物心ついたころからさまざまな人と出会い、人と接するなかでいろいろな感情をもつようになり、人の気持ちを理解することができるようになったはず。
発達障害があると、気持ちの概念の理解が難しいことはたしかにあります。でも、教えられることで、わかるようになることもあります。子どもに必要なのは人間関係のテクニックより、人の感情をていねいに解説してくれる大人なのかもしれません。
では、大人は、こうした子どもの気持ちをどう理解し、支援すればいいのでしょう。この本では、「どうしてそうなっちゃうの?」と、思わず叫びたくなる言動の背景を、前川あさ美先生が、リュウ太くん以外の子の事例も交えつつ、詳しく解き明かしてくれています。
人の親切心を理解できるようになるための工夫とヒントも、この本の中ではわかりやすく4コマ漫画で描かれています。
感情は、人に教わるようなものじゃない、と考えがちですが、実はそうではないのかもしれません。「ありがとう」「ごめんなさい」だけでなく、私たち大人も、物心ついたころからさまざまな人と出会い、人と接するなかでいろいろな感情をもつようになり、人の気持ちを理解することができるようになったはず。
発達障害があると、気持ちの概念の理解が難しいことはたしかにあります。でも、教えられることで、わかるようになることもあります。子どもに必要なのは人間関係のテクニックより、人の感情をていねいに解説してくれる大人なのかもしれません。
では、大人は、こうした子どもの気持ちをどう理解し、支援すればいいのでしょう。この本では、「どうしてそうなっちゃうの?」と、思わず叫びたくなる言動の背景を、前川あさ美先生が、リュウ太くん以外の子の事例も交えつつ、詳しく解き明かしてくれています。
人の親切心を理解できるようになるための工夫とヒントも、この本の中ではわかりやすく4コマ漫画で描かれています。
専門家の解説は、当事者本人の分析とともに「なるほど」と納得できるもの。さらに前川先生は、育てている親をあたたかく応援してくれます。
随所に書かれているのは「育て方が悪いんじゃない」「子どもを優先できなくても、自分を責める必要はない」というメッセージ。子どもと向き合わなくてはと思うものの、仕事と家事に忙しくて、じっくり話を聞いてあげられないとき、親はどうしても自分を責めがち。どう向き合ったらいいのか、具体的なアドバイスとともに、励ましてくれます。
随所に書かれているのは「育て方が悪いんじゃない」「子どもを優先できなくても、自分を責める必要はない」というメッセージ。子どもと向き合わなくてはと思うものの、仕事と家事に忙しくて、じっくり話を聞いてあげられないとき、親はどうしても自分を責めがち。どう向き合ったらいいのか、具体的なアドバイスとともに、励ましてくれます。
変化は急には訪れない。でも子どもは、必ず育っていく
リュウ太くんは現在20歳。自動車整備士の専門学校に通っています。成人したリュウ太くんは、トラブル続きだった小学校時代をこう振り返ります。
友達との会話の中でどんな言葉が必要かも知らなかった。何より毎日の生活で精いっぱいで、人のことを考える余裕なんてなかった――リュウ太くんが子どものころ、トゲだらけの宇宙人だったのは、こんな理由からだったようです。
そして、リュウ太くんが、相手の気持ちを考えて行動できるようになったのは、アルバイトをするようになってからだったそうです。学校以外の場所で出会った人の影響が大きかった、とかなしろさんも分析しています。
そして、リュウ太くんが、相手の気持ちを考えて行動できるようになったのは、アルバイトをするようになってからだったそうです。学校以外の場所で出会った人の影響が大きかった、とかなしろさんも分析しています。
家の中では、まだまだ甘えがあったり、勝手気ままに振る舞うこともあるそうですが、外では気をつかうことができる大人に成長しているというリュウ太くん。
「手のかかる子」を育てている最中の保護者としては、子どもの「問題行動」に直面したとき、「どうしたらいいんだろう」と焦ってしまうのは当然です。でも、子どもの存在を否定せず、気持ちを理解したうえで分かるように教えていけば、きっと成長してくれる…そう信じていいんだと、かなしろさん親子は教えてくれました。
「手のかかる子」を育てている最中の保護者としては、子どもの「問題行動」に直面したとき、「どうしたらいいんだろう」と焦ってしまうのは当然です。でも、子どもの存在を否定せず、気持ちを理解したうえで分かるように教えていけば、きっと成長してくれる…そう信じていいんだと、かなしろさん親子は教えてくれました。
「発達障害 僕にはイラつく理由(ワケ)がある!」8月8日発売
感情の概念の獲得のほかにも
・勉強をがんばれない理由は?
・整理整頓ができないのはどうして?
・叱っても行動を変えられないのはなぜ?
といった、親だったら誰しも「どうしてなのよ~!」と泣きたくなる行動について、リュウ太くんと前川先生が解説しています。
ただ単に、感覚過敏のある子どもには合理的配慮が必要だ、という話ではなく、学校の教室がいかに落ち着かない場所なのかについて、リュウ太くんは、こう話しています。
・勉強をがんばれない理由は?
・整理整頓ができないのはどうして?
・叱っても行動を変えられないのはなぜ?
といった、親だったら誰しも「どうしてなのよ~!」と泣きたくなる行動について、リュウ太くんと前川先生が解説しています。
ただ単に、感覚過敏のある子どもには合理的配慮が必要だ、という話ではなく、学校の教室がいかに落ち着かない場所なのかについて、リュウ太くんは、こう話しています。
発達障害とのわが子との向き合い方を、分かりやすく楽しく教えてくれる『発達障害 僕にはイラつく理由(ワケ)がある!』。子どもは一人ひとり違います。リュウ太くんとは異なるタイプのお子さんも、もちろんいるはずですが、目からウロコの考え方もたくさんみつかるはず!
子育てのヒントが散りばめられている『発達障害 僕にはイラつく理由(ワケ)がある!』、読んでみませんか?
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発達障害 僕にはイラつく理由がある!
発達障害 僕にはイラつく理由(ワケ)がある! (こころライブラリー)
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文/関川香織(K2U)