検診結果「発達障害かも」を信じられなかった夫。練習していない会話ができない様子を見て納得しーー夫婦で違う?息子への関わりから学んだこと【障害受容 後編】

2020/04/30 更新
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前回のコラムでは、私が息子コウを通してどのように発達障害のことを知っていったのか、どのように受容を行っていったのかについて書きました。

今回は、「コウは発達障害の可能性が高いんだって」と私に言われた夫がどのような反応を示したのか、その後どのような変化を辿っていったのかについて書いていこうと思います。

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丸山さとこ
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夫は息子の発達障害をどのように受け容れたのか

「コウはコミュニケーションとれてるでしょ?」
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“障害受容”の前に、障害の認識が必要?

「コウは発達障害かもしれない」と私から聞いた夫が最初に言った言葉は「え?コウはコミュニケーションとれてるでしょ?」でした。

『かわいいわが子にまさか障害があるなんて…』というショックからの否定ではなく、本気で『え?問題なく意思の疎通とれてるでしょ?』と思っていたことから出てきた、夫の素直な反応でした。

気持ちは分かる!でも、どうやって分かってもらえば…?

私も3歳児検診で指摘を受けるまで“コウはコミュニケーションがとれている”と思っていたので「分かる分かる…!」と頷きましたが、今後のことを考えれば呑気に共感している場合ではありません。

「分かるー!けど困る~!」と頭を抱えながら、夫にどう理解してもらえばよいのかを考えることになりました。

意思の疎通はできているのに?

確かに意志の疎通はできているけど…?
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コミュニケーションが全くとれていないわけではない

コウは、コミュニケーションが全くとれていないわけではありませんでした。「はい」と言って渡したいものを差し出すことや、クレーン現象で“相手にやらせたいこと”を伝えたりすることはできますし、「いいよ」と「駄目」も分かります。

でも、「お水ちょうだい」と人に要求して水を貰うことと、ウォーターサーバーのボタンを押して水を得ることの違いが、多分当時のコウには分かりませんでした。

「イヤ」と言われて拒否されることと、ブザーが鳴って機能を停止することは、どちらも“音がして水を得られなくなった”という出来事ですが、その理由は全然違います。人間との間には、手順の間違いという言葉では単純に片付けられない“コミュニケーション”が存在しているからです。

夫の基準では「意思の疎通はできているのでOK」だけれど…

発達障害について少し知識を得た上で改めてコウを観察してみると、彼にとって要求とは“心を介したコミュニケーション”ではなく、ボタンを押すような行為なのだろうということが分かります。

ですが、それを夫に伝えるのはかなり難しいのではないかと思いました。夫は多分定型発達者でコミュニケーションは私よりよほど上手に行えますし意図も汲めますが、気持ちを汲むことに関しては理解の解像度が低いところがあります。

あれこれ例えを交えながら説明しつつも、「コウのコミュニケーション能力の遅れに対して、理解してもらうのは難しそうだなー!」と感じました。

まずは“分かりやすいところ”から知ってもらう!

”コウに合わせない会話の様子”を見てもらおう!
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練習していない会話はできなかったコウ

そうして頭を悩ませていたとき、ふと「コウの発達の凹んでいる場所が分かりやすい会話を聞いてもらえばよいのでは?」とひらめきました。

コウの会話は基本的にエコラリア(オウム返し)によって行われていたので、挨拶などのやりとりが難しく、3歳になってからも「お名前は?」に対して「お名前は?」と返すような状態でした。 練習によって「お名前は?」「何歳?」などの受け答えができるようになりましたが、多分その練習風景は一般的な家庭のコミュニケーションとは異なるものだったと思います。

まず、親が自分の肩に触れながら「お名前は?」と聞きます。次に、コウの肩に触れながら「丸山コウです」と“コウが言うべき言葉”を親が代わりに言います。それをリズミカルに繰り返してコウが「丸山コウです」と言うのを待ち、コウの肩に触れているタイミングで言えたら、素早く“コウが好きな刺激”を与えながら褒めて行動を強化します。

そんな風にして“知らず知らずに行っていた療育”の結果、コウは一見すると会話ができる子に見えるようになっていたのですが、それは親の側が会話の歩調を子どもに合わせるからだと私は知っていました。

ついに“わが子の発達の遅れ”に気付いた!

私とコウの会話を見て納得した夫
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後日「今からする会話を聞いていてくれる?」と夫を呼んだ私は、コウとの会話を始めました。

「何歳?」「さんさい。」「いくつ?」「さんさい。」と違う聞き方でもスムーズに答えてみせたコウでしたが、「何歳ですか?」と聞いた時に『何を言われているんだろう?』という顔をして固まってしまいました。「何歳?」は教えられていても、「何歳ですか?」は教わっていなかったため、答えられなかったのです。

夫はここにきてついに、「あー…これは確かに何かあるって感じがするな…。」と言い、“発達障害の可能性”に対して納得しました。

夫は息子の発達障害をどのように受け容れたのか

趣味と仕事の本以外は読まない夫
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発達障害への知識が深まったわけではないけれど

“息子は発達障害の可能性が高いらしい”と知った後も、夫は発達障害についての知識を積極的に得ようとすることはありませんでした。それはASDとADHDの診断を受けた今も変わることはありません。

本やウェブサイトを少し紹介したことはありましたが、いつもパラパラッと見ては興味がわかずに終わるようなので、「無理強いすることもないか」と思い近頃はこちらから特に何かを勧めることはしていません。

改めて考えてみれば、診断を受ける前から育児書などを読む人ではなかったのだから、診断を受けたからといって急に「本などを読んで勉強しよう!」とはならないのも当たり前のことなのかもしれません。

“コウのことを知る”ということ

そんな夫ですが、息子に全く関心や関わりがないかといえばそんなことはありません。公園やプールに連れて行ったりと一緒にお出かけもしますし、将棋を指したりして遊ぶこともあります。

それだけでなく、前述のような“療育的な関わり”で挨拶を教えてくれたのも他ならぬ夫でした。痛いところを押さえて「痛い」と言うことも夫が教えてくれたおかげで、私はとても助かりました。

そんな夫とコウの関わりを見ていると、「本やウェブサイトを読まなくても、夫はコウそのものから知識を得ているのだな」と感じます。それが夫にとって丁度良い、「発達障害のある息子」との関わり方なのかもしれません。
少しずつ”会話のパターン”を増やしていこう!
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