「僕だってすぐ就職したい!」就労移行支援に通う自閉症息子、卒業していく仲間をみて。訓練の大切さを伝える母の思いは…
ライター:立石美津子
緊急事態宣言が出されてから、自閉症息子が通う就労移行支援事業所も時差通所から自宅でのテレワークになりました。自宅で毎日まじめに課題に取り組む姿を見るたびに就労訓練の大切さを痛感します。そして、「早く就職したい」という息子に対してこみ上げる思いとは――。
開始時刻になったら豹変
『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルの立石美津子です。
就労移行支援事業所は“障害者の職業訓練の場”なので報酬は出ません。(逆に社会人としてのマナーや技術を教えてくれて、費用はかからないので有難いです)ですから“テレワーク”という言葉は適切ではないのかもしれませんが、ともかくずっと自宅で作業をしています。
就労移行支援事業所は“障害者の職業訓練の場”なので報酬は出ません。(逆に社会人としてのマナーや技術を教えてくれて、費用はかからないので有難いです)ですから“テレワーク”という言葉は適切ではないのかもしれませんが、ともかくずっと自宅で作業をしています。
「15分前行動」へのこだわりで、時差通勤でも満員電車…!自閉症息子、諭すとパニック!社会人生活に必要な応用力はまだまだ課題で…
ストレスがたまるのか、息子は暴言を吐き、私に当たり散らします。でも、テレワーク開始の11時になったら豹変し“借りてきた猫”状態に変身。
支援員から電話がかかってくるからです。「立石さんのお宅ですか」とかかってくると「はい、立石さんのお宅です」と微妙なオウム返しをしています。「はい」と付けるところが、進化したオウム返しです。
支援員から電話がかかってくるからです。「立石さんのお宅ですか」とかかってくると「はい、立石さんのお宅です」と微妙なオウム返しをしています。「はい」と付けるところが、進化したオウム返しです。
自閉症息子、19歳。変化した「オウム返し」が愛しくて――人と比べる病から脱した今感じる、息子の成長
決められた時刻、15時30分までコツコツと与えられた課題をこなしています。
どんな課題も真剣に取り組んでいます。
「さぼる」とか「誰も見ていないんだから」という考えはゼロです。
知人から次のように言われました。
「サボる」って、与えられた情報(物量、時間、空間、関係性etc.)を認識して取捨選択し、自分の能力とか感覚をある程度把握した上で、見通しをはかることが出来てはじめて成しうる、実は高等テクニックなのよ〜」
知人から次のように言われました。
「サボる」って、与えられた情報(物量、時間、空間、関係性etc.)を認識して取捨選択し、自分の能力とか感覚をある程度把握した上で、見通しをはかることが出来てはじめて成しうる、実は高等テクニックなのよ〜」
特別支援学校卒業後の進路
就労移行支援事業所は2年間しか通えない制度となっています。息子はあと1年しか通えません。(場合によっては3年通所も認められることもあるようですが、よほどの理由がない限り認められないみたいです)
「特別支援学校高等部のように3年間くらいあればいいのに…この1年で企業とのマッチングを事業所にしてもらい、障害者雇用枠で就労なんて早すぎる!」と親としては思ってしまいます。過保護でしょうか。
特別支援学校高等部の卒業後の進路
ここで、障害がある子の特別支援学校高等部卒業後の進路について、どんな選択肢があるのか整理してみます。
・生活介護…常に支援が必要な人に対して社会生活能力を向上するための場
・就労継続支援B型…一般就労が困難な人が働く作業所。工賃として支給される
・就労継続支援A型…事業所から雇用される。最低賃金が保証される
・就労移行支援…一般就労を目指す就労訓練の場。2年間限定で利用
・一般就労…法定雇用率による障害者枠で就労
・専門学校など
息子の場合、一般就労を目指す就労訓練を行う、就労移行支援事業所に進みました。
「特別支援学校高等部のように3年間くらいあればいいのに…この1年で企業とのマッチングを事業所にしてもらい、障害者雇用枠で就労なんて早すぎる!」と親としては思ってしまいます。過保護でしょうか。
特別支援学校高等部の卒業後の進路
ここで、障害がある子の特別支援学校高等部卒業後の進路について、どんな選択肢があるのか整理してみます。
・生活介護…常に支援が必要な人に対して社会生活能力を向上するための場
・就労継続支援B型…一般就労が困難な人が働く作業所。工賃として支給される
・就労継続支援A型…事業所から雇用される。最低賃金が保証される
・就労移行支援…一般就労を目指す就労訓練の場。2年間限定で利用
・一般就労…法定雇用率による障害者枠で就労
・専門学校など
息子の場合、一般就労を目指す就労訓練を行う、就労移行支援事業所に進みました。
就労したがる息子
同じ事業所にいる訓練生の中には、9月や10月などの年度途中のキリが悪い月でも企業とマッチングがうまくいき、卒業していく仲間がいます。
息子は指をくわえて見ているようで、「途中でも卒業できる!」と言います。
息子は指をくわえて見ているようで、「途中でも卒業できる!」と言います。
私が「来年の3月末までしっかりと職業訓練を受けてから、就職しようね」と伝えても、「そうじゃない!」と怒り出します。
「無理して企業に入れたとしても、すぐに退職し、就労移行支援事業所に戻ってくることになっちゃうよ!」と脅すと不安な顔をしました。
私は「おっと、これはまずい」と反省し…
「でも就職した企業でうまくいかなくても、転職といってもっと自分にあう会社に行くことも出来るんだよ。お母さんだって5回も転職したよ~!転職~!転職~!」と伝えたら、ホッとした顔をしました。
でも、社会の厳しさわかっていないんでしょうね。
コロナの影響で企業実習もできず、息子を雇ってくれる就労先のあてもないのに「会社で使うハンコはいつ作るのか」と何度も聞いてきます。なんだか切ないです。
私は「おっと、これはまずい」と反省し…
「でも就職した企業でうまくいかなくても、転職といってもっと自分にあう会社に行くことも出来るんだよ。お母さんだって5回も転職したよ~!転職~!転職~!」と伝えたら、ホッとした顔をしました。
でも、社会の厳しさわかっていないんでしょうね。
コロナの影響で企業実習もできず、息子を雇ってくれる就労先のあてもないのに「会社で使うハンコはいつ作るのか」と何度も聞いてきます。なんだか切ないです。
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