発達障害&グレーゾーンの3兄妹が獲得した「適応戦略」とは?コロナ後の時代を生き抜くために

2020/06/13 更新
発達障害&グレーゾーンの3兄妹が獲得した「適応戦略」とは?コロナ後の時代を生き抜くためにのタイトル画像

私達は今、時代の転換点にいます。たった1つの未知のウイルスによって、それまでの世界は一変し、「当たり前の日常」「フツーの日々」も、これからは書き換えざるを得なくなってしまいました。発達障害のある子を始め、時代の大きな変化に負担を感じたり、人と関わることが不安だったり、新しいやり方に戸惑いを覚えるお子さん、そして大人の方も多いでしょう。次の時代を生き抜くためのヒントとして、休校中の子ども達の観察を通して私が気づいた「適応戦略」を紹介します。

楽々かあさんさんのアイコン
楽々かあさん
12402 View

ウイルスがもたらした時代の転換点、日常にも大きな変化が

こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる!声かけ変換』(6.27刊行予定)著者・楽々かあさんこと大場美鈴です。

まず、今このコラムを読んで下さっている方が、この数ヶ月間を乗り越えて下さったことに感謝いたします。

私達は今、時代の転換点にいるのでしょう。たった1つの未知のウイルスによって、それまでの世界は一変し、「当たり前の日常」「フツーの日々」も、これからは書き換えざるを得なくなってしまいました。

うちでも「かあちゃん、今のこと、そのうち歴史の教科書に載るのかな?」「多分、そうだと思うよ」なんて会話を子ども達としました。近い未来の期末テストも、夏休みも、修学旅行も、予定変更を余儀なくされるのはもちろん、少し先の未来の、子ども達の進学や就職などにも少なからず影響があるでしょう。

このような状況下では、発達障害のある子を始め、時代の大きな変化に負担を感じたり、外出や人と関わることが不安になったり、新しい日常習慣やコミュニケーションの取り方に戸惑いを覚えるお子さん、そして大人の方も多いことでしょう。

それでも、次の時代に適応して生きていくためには、これから、どうしたらいいのでしょうか。
その答えは、世界中の人々が、暗中模索しながら時間をかけて探しだすものなのかもしれません。

ですから、ここでは、次の時代を生き抜くためのヒント・考えるキッカケの1つとして、休校中のうちの3人の子ども達を観察して私が気づいた「適応戦略」の例を、書き留めておきたいと思います。

世界がどうであれ、マイペースに生きる

うちで最も新型コロナウイルスの影響が少なかったのが、中3の長男です。

彼は公教育の中では「空気が読めない」「協調性がない」「集団行動が苦手」など、マイナス面がクローズアップされがちでしたが、こういった非常事態では、その「周りに流されない」マイペースさが、驚くほど頼もしい強みとして発揮されました。

連日良くないニュースが続いても、学校が休校になってもケロリとしていて、オンライン学習で勉強をコツコツ進めながら、むしろ飄々と(不謹慎にも)この状況を楽しんでいるかのような様子すらありました。

そして、テレビの報道等で人と人との接触を避け、社会的な距離を取るように推奨されると……

「ダイジョウブ〜! オレはオールウェイズ・ソーシャル・ディスタンシ〜ンだし! だから、いつもどおりの通常運転でオケ。あはは」

……とのこと。

小さな頃より「ぼっち上等!!」で生きてきた長男。

以前は私も親として、なかなか仲の良い友だちができない・友だちづきあいが続かないことを心配したこともありましたが、3ヶ月間も家にいて、人とほとんど合わない生活を続けてもほぼノーダメージ(むしろ快適?)だった長男を見ていると、「この子はこれでいいんだな」と思いました。

とはいえ、完全な孤立状態ではなく、家の中ではいつもどおり兄妹同士で毎日じゃれあい、中学のオンライン授業でも先生やクラスメイトとのつながりは維持されてもいました(LINEの未読通知は700件くらい溜めていたようですが……)。また、大好きなオンラインゲームでは急増した海外の新規プレイヤーに古参風を吹かせつつ、毎日楽しくバトりながら交流してストレス発散していました(これも、いつもどおり)。

世界がどうであれ、なにがどうであれ、マイペースに生きる力は強みなのかもしれません。

新しいコミュニケーションをチャンスに変える

一方で、社会的な面での影響が大きかったのが、中1になったばかりの次男です。

次男は休校開始の当時、小学6年生。兄と同じ私立中学に進学することになった次男は、長年小学校で一緒に学んできた友だち達とはこれでお別れなのに、最後の小学校生活はある日突然終わりを告げ、なんとか行われた卒業式も簡略化されて、足早に手短に「卒業」しました。

新しい友だちと会えることを楽しみにしていた中学の入学式も、イスを離してマスク着用で顔も分からず、お互いの会話も控えた上で、小一時間程度で終了し即帰宅。それ以来つい最近まで、クラスメイトと直接会う機会はありませんでした。

なので、次男は当初、「なんか、あんまり中学生になった実感が湧かない」なんて話していました。元々気持ちを切り替えることが苦手な彼にとってはなおさら、そう思うのも無理もありません。

でも、中学校で双方向のオンライン授業が開始されてからは、次男の気持ちが前に向かって進み始めました。最初は緊張していたものの、「おうちで授業」の生活のリズムができると、次第に中学生らしい顔つきになっていきました。

そして、シャイで引っ込み思案だったはずの次男が、オンライン授業中に時折自ら積極的に発言する姿をキッチン越しにチラ見して、私はかなり驚いていました。

その理由を、彼はこう評します。

「直接人と会話すると、自分に向けられる視線が気になって緊張しちゃうんだけど、オンライン授業だと誰がどこを見てるのか、ハッキリと分からないでしょ。だから、かえって安心して相手の顔を見て、話すことができるんだよね」

繊細な次男は小学校時代、新しい環境に慣れるまでに時間がかかり、人の顔と名前を覚えることも苦手なので、中学入学後のことが私は内心気がかりでしたが、思わぬ形で不安が解消することに。そして、最近分散登校でようやく「実際に」再会したクラスメイトとは、ディスプレイ越しにお互いの顔を見慣れていたせいか、案外気軽に話せたのだとか。

もしかしたら、それまで「人と話すのが苦手」だと気後れしがちだった人も、新しいコミュニケーションのカタチを、活躍の場を広げるチャンスに変えられるのかもしれませんね。

小さな楽しみ、ささやかな喜びを大事にする

そして、うちの3兄妹の中で、新型コロナウイルス関連の影響で、一番精神的なダメージが大きかったのが小4の長女でした。

長女は、うちの子達の中では、いわば最も「フツー寄り」の子です。軽いLD傾向はあるものの、協調性も豊かで空気も読め、友だちも多く、学校も大好き。毎日、学校から帰るとすぐに公園で友だちと駆け回ってあそんでいた、明るく活発な元気印の女の子です。

……そんな彼女が、家にこもりきりの生活で、すっかりおとなしくなってしまいました。

いつもと違う娘の様子が心配で、私が「人が少ない時間に、犬の散歩くらいなら大丈夫だよ」と外へ誘っても、「いい。コロナ怖いから、家にいる……」と頑なに拒否。マイペースに自粛生活を送る兄達と違い、長女は「空気が読める」分、ネガティブな情報の影響なども受けやすく、過剰に不安を強めてしまったようです。

また、長女の小学校ではメール配信での課題の指示やプリント学習などには対応して下さったものの、顔が見える双方向のオンライン授業までは難しく、学習面でも兄達のようにはいきませんでした。何より、人と関わることが大好きな長女だからこそ、この状況はキツかったと思います。

そこで私は、まずは「情報のバランスを取る」ことをしました。ネガティブなニュースばかりの時には、ポジティブなニュースを選んで伝えたり、情報そのものが多すぎる時にはテレビを消しました。世界の状況はどうにもならなくても、情報の量や内容・質はある程度自分でコントロールできます。

そして、様々なことが制限されている中で、少しでも長女が「自由」を感じられるように、可能な範囲でなるべく「選択肢から選ぶ」「本人の意思を聞く」などを意識してみました。

例えば、子ども達を留守番させて買い物に行く前に、「お昼、何食べたい?」「おやつ、何がいい?」など、ランチやおやつのリクエスト受付けタイムを作って(ただし、品切れ中のこともあるので、第3希望くらいまで聞く)、好きなものを選んで食べることなどで「小さな自由」を増やしました。

それから、今の環境でも「できること」を探しました。長女の大好きな動物柄の布で一緒にマスクを作ったり、お絵かきセットをネット注文で揃えたり、つまみ食いしながら料理のお手伝い、パパとストレッチ、動画を見ながらダンス、おうちキャンプ、愛犬と日向ぼっこ……(きっと、日本中の多くのご家庭で同じような光景が見られたことと思います)。

……そうしているうちに、長女は限られた環境の中でも、少しずつ「小さな楽しみ」や、「ささやかな喜び」を見つけて、表情が明るくなっていきました。

制限の多い不自由な環境の中では、「ネガティブな情報」よりも「いい情報」や「少しでもマシなこと」に、「できないこと」よりも「できること」に、「足りないもの」よりも「今、あるもの」のほうに意識を向けようとすること自体が、生きる意欲を失わないためにも大切なのかもしれません。

時代の転換点だからこそ、今を大事に……

総じて、私が今回の経験を通して実感したのは、世の中が一変するできごとがあった時には、あらゆる価値観がひっくり返るのだ、ということです。

それまで、マイナス材料だと思われていたことがプラスに転じたり、自分や社会システムを変革するチャンスになったりする場合もあります。「集団心理」や「平等意識」などがリスクやネックになる可能性もあれば、「個々の意識や行動」が大きく結果を変える、あるいは、「違い」や「独自性」が問題解決への糸口になる可能性だってあります。強さが弱みになり、弱さが強みになることもあります。まさにこれが「時代の転換点」なのだと思います。

また、日本国内では緊急事態宣言がひとまず解除されたとはいえ、まだまだ感染リスクや世界情勢や経済など社会的な不安要素も多く、少し先の見通しも難しい中、将来的にも今の子ども達には(大人達にも)、厳しい現実や無理難題が待っているのかもしれません。

それでも、新たな時代に適応していくためには、それぞれが自分のできることをできる範囲で続けながら、今を大事に、一日一日を地道に着実に生きることが、結局は近道になるのではないでしょうか。

このコラムを書いた人の著書

2020年6月27日、このコラムの著者 楽々かあさんの新刊が発売されます!
発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換
大場 美鈴 (著)
あさ出版
発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換
大場 美鈴 (著)
あさ出版
本当に「発達障害だから」学校がキライだったのか?中学校生活を楽しむ息子と私が受けた5つの衝撃のタイトル画像

関連記事

本当に「発達障害だから」学校がキライだったのか?中学校生活を楽しむ息子と私が受けた5つの衝撃

「みんなと違う」多様性は生存戦略!?発達障害のある子たちが人類の未来に必要だ!と思う7つの理由のタイトル画像

関連記事

「みんなと違う」多様性は生存戦略!?発達障害のある子たちが人類の未来に必要だ!と思う7つの理由

発達ナビPLUSバナー
当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。

この記事に関するキーワード

あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

この記事を書いた人

楽々かあさん さんが書いた記事

発達、不登校の相談から、学校に配慮を求めるときの仲介までーー小学校時代を支えてくれたスクールカウンセラー、私たち親子の活用方法のタイトル画像

発達、不登校の相談から、学校に配慮を求めるときの仲介までーー小学校時代を支えてくれたスクールカウンセラー、私たち親子の活用方法

現在、新型コロナウイルスによる影響で学校生活に戸惑いや負担感を感じるお子さんも、少なからずいるでしょう。親も子育ての悩みを他人には気軽に相...
進学・学校生活
6096 view
2020/09/14 更新
ずっと一緒でイライラ?親も子もラクになる「声かけ変換」にチャレンジ。「いい加減にしなさい!」も変換すると…楽々かあさんの「声かけ変換表」ものタイトル画像

ずっと一緒でイライラ?親も子もラクになる「声かけ変換」にチャレンジ。「いい加減にしなさい!」も変換すると…楽々かあさんの「声かけ変換表」も

新型コロナウイルスの影響が長期化し、親子で家で過ごす時間が増えたり、様々な予定変更に対応しないといけなかったり…。こんな「いつもと違う」状...
発語・コミュニケーション
14620 view
2020/08/17 更新
なかなか進まない家庭学習を、楽々かあさん流3つのコツでスムーズに!?子ども目線で取り入れる簡単アイディアとはのタイトル画像

なかなか進まない家庭学習を、楽々かあさん流3つのコツでスムーズに!?子ども目線で取り入れる簡単アイディアとは

毎日の宿題、新型コロナウイルスの影響による休校、夏休みなど、家で子どもの勉強を見る機会が増えていますよね。でも、親が1から10まで教えなく...
学習・運動
13095 view
2020/07/13 更新
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOメディア&ソリューションズがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOメディア&ソリューションズは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOメディア&ソリューションズの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。