小さな楽しみ、ささやかな喜びを大事にする

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そして、うちの3兄妹の中で、新型コロナウイルス関連の影響で、一番精神的なダメージが大きかったのが小4の長女でした。

長女は、うちの子達の中では、いわば最も「フツー寄り」の子です。軽いLD傾向はあるものの、協調性も豊かで空気も読め、友だちも多く、学校も大好き。毎日、学校から帰るとすぐに公園で友だちと駆け回ってあそんでいた、明るく活発な元気印の女の子です。

……そんな彼女が、家にこもりきりの生活で、すっかりおとなしくなってしまいました。

いつもと違う娘の様子が心配で、私が「人が少ない時間に、犬の散歩くらいなら大丈夫だよ」と外へ誘っても、「いい。コロナ怖いから、家にいる……」と頑なに拒否。マイペースに自粛生活を送る兄達と違い、長女は「空気が読める」分、ネガティブな情報の影響なども受けやすく、過剰に不安を強めてしまったようです。

また、長女の小学校ではメール配信での課題の指示やプリント学習などには対応して下さったものの、顔が見える双方向のオンライン授業までは難しく、学習面でも兄達のようにはいきませんでした。何より、人と関わることが大好きな長女だからこそ、この状況はキツかったと思います。

そこで私は、まずは「情報のバランスを取る」ことをしました。ネガティブなニュースばかりの時には、ポジティブなニュースを選んで伝えたり、情報そのものが多すぎる時にはテレビを消しました。世界の状況はどうにもならなくても、情報の量や内容・質はある程度自分でコントロールできます。

そして、様々なことが制限されている中で、少しでも長女が「自由」を感じられるように、可能な範囲でなるべく「選択肢から選ぶ」「本人の意思を聞く」などを意識してみました。

例えば、子ども達を留守番させて買い物に行く前に、「お昼、何食べたい?」「おやつ、何がいい?」など、ランチやおやつのリクエスト受付けタイムを作って(ただし、品切れ中のこともあるので、第3希望くらいまで聞く)、好きなものを選んで食べることなどで「小さな自由」を増やしました。

それから、今の環境でも「できること」を探しました。長女の大好きな動物柄の布で一緒にマスクを作ったり、お絵かきセットをネット注文で揃えたり、つまみ食いしながら料理のお手伝い、パパとストレッチ、動画を見ながらダンス、おうちキャンプ、愛犬と日向ぼっこ……(きっと、日本中の多くのご家庭で同じような光景が見られたことと思います)。

……そうしているうちに、長女は限られた環境の中でも、少しずつ「小さな楽しみ」や、「ささやかな喜び」を見つけて、表情が明るくなっていきました。

制限の多い不自由な環境の中では、「ネガティブな情報」よりも「いい情報」や「少しでもマシなこと」に、「できないこと」よりも「できること」に、「足りないもの」よりも「今、あるもの」のほうに意識を向けようとすること自体が、生きる意欲を失わないためにも大切なのかもしれません。

時代の転換点だからこそ、今を大事に……

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総じて、私が今回の経験を通して実感したのは、世の中が一変するできごとがあった時には、あらゆる価値観がひっくり返るのだ、ということです。

それまで、マイナス材料だと思われていたことがプラスに転じたり、自分や社会システムを変革するチャンスになったりする場合もあります。「集団心理」や「平等意識」などがリスクやネックになる可能性もあれば、「個々の意識や行動」が大きく結果を変える、あるいは、「違い」や「独自性」が問題解決への糸口になる可能性だってあります。強さが弱みになり、弱さが強みになることもあります。まさにこれが「時代の転換点」なのだと思います。

また、日本国内では緊急事態宣言がひとまず解除されたとはいえ、まだまだ感染リスクや世界情勢や経済など社会的な不安要素も多く、少し先の見通しも難しい中、将来的にも今の子ども達には(大人達にも)、厳しい現実や無理難題が待っているのかもしれません。

それでも、新たな時代に適応していくためには、それぞれが自分のできることをできる範囲で続けながら、今を大事に、一日一日を地道に着実に生きることが、結局は近道になるのではないでしょうか。

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