発達障害&グレーゾーンの3兄妹が獲得した「適応戦略」とは?コロナ後の時代を生き抜くために

ライター:楽々かあさん
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私達は今、時代の転換点にいます。たった1つの未知のウイルスによって、それまでの世界は一変し、「当たり前の日常」「フツーの日々」も、これからは書き換えざるを得なくなってしまいました。発達障害のある子を始め、時代の大きな変化に負担を感じたり、人と関わることが不安だったり、新しいやり方に戸惑いを覚えるお子さん、そして大人の方も多いでしょう。次の時代を生き抜くためのヒントとして、休校中の子ども達の観察を通して私が気づいた「適応戦略」を紹介します。

ウイルスがもたらした時代の転換点、日常にも大きな変化が

こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる!声かけ変換』(6.27刊行予定)著者・楽々かあさんこと大場美鈴です。

まず、今このコラムを読んで下さっている方が、この数ヶ月間を乗り越えて下さったことに感謝いたします。

私達は今、時代の転換点にいるのでしょう。たった1つの未知のウイルスによって、それまでの世界は一変し、「当たり前の日常」「フツーの日々」も、これからは書き換えざるを得なくなってしまいました。

うちでも「かあちゃん、今のこと、そのうち歴史の教科書に載るのかな?」「多分、そうだと思うよ」なんて会話を子ども達としました。近い未来の期末テストも、夏休みも、修学旅行も、予定変更を余儀なくされるのはもちろん、少し先の未来の、子ども達の進学や就職などにも少なからず影響があるでしょう。

このような状況下では、発達障害のある子を始め、時代の大きな変化に負担を感じたり、外出や人と関わることが不安になったり、新しい日常習慣やコミュニケーションの取り方に戸惑いを覚えるお子さん、そして大人の方も多いことでしょう。

それでも、次の時代に適応して生きていくためには、これから、どうしたらいいのでしょうか。
その答えは、世界中の人々が、暗中模索しながら時間をかけて探しだすものなのかもしれません。

ですから、ここでは、次の時代を生き抜くためのヒント・考えるキッカケの1つとして、休校中のうちの3人の子ども達を観察して私が気づいた「適応戦略」の例を、書き留めておきたいと思います。

世界がどうであれ、マイペースに生きる

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11021001879
うちで最も新型コロナウイルスの影響が少なかったのが、中3の長男です。

彼は公教育の中では「空気が読めない」「協調性がない」「集団行動が苦手」など、マイナス面がクローズアップされがちでしたが、こういった非常事態では、その「周りに流されない」マイペースさが、驚くほど頼もしい強みとして発揮されました。

連日良くないニュースが続いても、学校が休校になってもケロリとしていて、オンライン学習で勉強をコツコツ進めながら、むしろ飄々と(不謹慎にも)この状況を楽しんでいるかのような様子すらありました。

そして、テレビの報道等で人と人との接触を避け、社会的な距離を取るように推奨されると……

「ダイジョウブ〜! オレはオールウェイズ・ソーシャル・ディスタンシ〜ンだし! だから、いつもどおりの通常運転でオケ。あはは」

……とのこと。

小さな頃より「ぼっち上等!!」で生きてきた長男。

以前は私も親として、なかなか仲の良い友だちができない・友だちづきあいが続かないことを心配したこともありましたが、3ヶ月間も家にいて、人とほとんど合わない生活を続けてもほぼノーダメージ(むしろ快適?)だった長男を見ていると、「この子はこれでいいんだな」と思いました。

とはいえ、完全な孤立状態ではなく、家の中ではいつもどおり兄妹同士で毎日じゃれあい、中学のオンライン授業でも先生やクラスメイトとのつながりは維持されてもいました(LINEの未読通知は700件くらい溜めていたようですが……)。また、大好きなオンラインゲームでは急増した海外の新規プレイヤーに古参風を吹かせつつ、毎日楽しくバトりながら交流してストレス発散していました(これも、いつもどおり)。

世界がどうであれ、なにがどうであれ、マイペースに生きる力は強みなのかもしれません。

新しいコミュニケーションをチャンスに変える

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=33000005691
一方で、社会的な面での影響が大きかったのが、中1になったばかりの次男です。

次男は休校開始の当時、小学6年生。兄と同じ私立中学に進学することになった次男は、長年小学校で一緒に学んできた友だち達とはこれでお別れなのに、最後の小学校生活はある日突然終わりを告げ、なんとか行われた卒業式も簡略化されて、足早に手短に「卒業」しました。

新しい友だちと会えることを楽しみにしていた中学の入学式も、イスを離してマスク着用で顔も分からず、お互いの会話も控えた上で、小一時間程度で終了し即帰宅。それ以来つい最近まで、クラスメイトと直接会う機会はありませんでした。

なので、次男は当初、「なんか、あんまり中学生になった実感が湧かない」なんて話していました。元々気持ちを切り替えることが苦手な彼にとってはなおさら、そう思うのも無理もありません。

でも、中学校で双方向のオンライン授業が開始されてからは、次男の気持ちが前に向かって進み始めました。最初は緊張していたものの、「おうちで授業」の生活のリズムができると、次第に中学生らしい顔つきになっていきました。

そして、シャイで引っ込み思案だったはずの次男が、オンライン授業中に時折自ら積極的に発言する姿をキッチン越しにチラ見して、私はかなり驚いていました。

その理由を、彼はこう評します。

「直接人と会話すると、自分に向けられる視線が気になって緊張しちゃうんだけど、オンライン授業だと誰がどこを見てるのか、ハッキリと分からないでしょ。だから、かえって安心して相手の顔を見て、話すことができるんだよね」

繊細な次男は小学校時代、新しい環境に慣れるまでに時間がかかり、人の顔と名前を覚えることも苦手なので、中学入学後のことが私は内心気がかりでしたが、思わぬ形で不安が解消することに。そして、最近分散登校でようやく「実際に」再会したクラスメイトとは、ディスプレイ越しにお互いの顔を見慣れていたせいか、案外気軽に話せたのだとか。

もしかしたら、それまで「人と話すのが苦手」だと気後れしがちだった人も、新しいコミュニケーションのカタチを、活躍の場を広げるチャンスに変えられるのかもしれませんね。
次ページ「小さな楽しみ、ささやかな喜びを大事にする」

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