ほめ方・しかり方・伝え方の「次はこうやってみよう」が生まれる!『大人が変われば、子どもが変わる 発達障害の子どもたちから教わった35のチェンジスキル』【阿部先生インタビュー】
ライター:発達ナビBOOKガイド
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合同出版
発達障害のある子を育てていると、子どもにうまく伝わらないことがありませんか。こだわりが強くて癇癪を起こしたり、宿題に取り組むまでに時間がかかったり・・・「また今日もイライラしてしまった」「怒鳴ってしまった」と落ち込んでしまう日もあるかもしれません。本書は毎日育児をがんばっている保護者への応援がたくさんつまっています。著者である星槎大学大学院の阿部利彦教授に、本書に込められた思いなど、お話を伺いました。
発達障害のある子に「こうしたらもっと伝わる」スキルがたくさん
長年、発達障害のある子とその家族の相談支援に携わってきた星槎大学大学院の阿部利彦教授の著書『大人が変われば、子どもが変わる 発達障害の子どもたちから教わった35のチェンジスキル』では、発達障害のある子を育てている保護者をはじめ、大人が身につけると良い「応援スキル」が紹介されています。
大人が変われば、子どもが変わる 発達障害の子どもたちから教わった35のチェンジスキル
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本書の構成は、以下の通りです。
チェックしてみよう!あなたにはどんな苦手さがありますか?
1. ほめるスキル
2. しかるスキル
3. 伝えるスキル
4. 励ますスキル
5. スキルを支えるスピリッツ
この5つのスキルごとに、さらに7つの小スキルが紹介されていて、自分に今必要な部分から読むことが可能となっています。ついやってしまいがちな言い方が挿絵とともに、どうしてその言い方ではいけないのか、その言い方をするとどのような結果に陥ってしまうのかが詳しく解説されており、一つひとつのスキルを納得しながら読むことができます。
たとえば、2.しかるスキルの中で紹介されている「3:質問形式の言葉を使わない」項目についてみていきましょう。
ここではこんなシーンが描かれています。みなさん、こんな風にしかってしまったことはないでしょうか。
チェックしてみよう!あなたにはどんな苦手さがありますか?
1. ほめるスキル
2. しかるスキル
3. 伝えるスキル
4. 励ますスキル
5. スキルを支えるスピリッツ
この5つのスキルごとに、さらに7つの小スキルが紹介されていて、自分に今必要な部分から読むことが可能となっています。ついやってしまいがちな言い方が挿絵とともに、どうしてその言い方ではいけないのか、その言い方をするとどのような結果に陥ってしまうのかが詳しく解説されており、一つひとつのスキルを納得しながら読むことができます。
たとえば、2.しかるスキルの中で紹介されている「3:質問形式の言葉を使わない」項目についてみていきましょう。
ここではこんなシーンが描かれています。みなさん、こんな風にしかってしまったことはないでしょうか。
このような質問形式で叱責された経験もあり、問いかけには相手をとがめる意味合いがあることを知っているために、私たちはこのようなしかり方をしてしまいがちです。
しかし
しかし
ASDの特徴のある子の中には、相手の気持ちや意図を読み取ったり、相手の気持ちに配慮したりすることが苦手な子がいます。相手の気持ちを逆なでするつもりはなく、質問に対して思ったことをそのまま答えてしまうことがあるのです。(24ページ)
通常は、何度か怒られるうちに大人を怒らせない受け答えが次第に身につくものですが、ASDの特徴のある子にはそういう学習が難しいため、何度も同じようなことでしかられてしまいます。(25ページ)
そこで、
①質問形式の言葉かけは極力控えます。
②なるべく具体的に、してほしい行動を冷静に指示するようにします。
③「どうして〇〇しないの?」「何で△△するの?」ではなく、「〇〇できるかな」「今度からは□□する(望ましい行動の提示)ようにしてね」という言い方にします。(25ページ)
各スキルの最後には、どのように変えれば良いのかをポイントを絞ってまとめてくれているため、スキル理解の手助けとなっています。
「適正な声かけを続けられるかしら」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。本書では、紹介しているスキルを身につけられるようにするためのちょっとしたヒントも教えてくれています。
たとえば、“5.スキルを支えるスピリッツ5「ふわっと言葉を増やそう」”では、ついつい使いがちな「がんばる」という言葉について解説されています。「がんばれ」「がんばろう」「がんばったね」「がんばってるね」…。ほめよう励まそうという気持ちから発せられる言葉ですが、ワンパターンだとピンと来ないお子さんもいるため、言葉のバリエーションを工夫して投げかけることをアドバイスしています。
たとえば、“5.スキルを支えるスピリッツ5「ふわっと言葉を増やそう」”では、ついつい使いがちな「がんばる」という言葉について解説されています。「がんばれ」「がんばろう」「がんばったね」「がんばってるね」…。ほめよう励まそうという気持ちから発せられる言葉ですが、ワンパターンだとピンと来ないお子さんもいるため、言葉のバリエーションを工夫して投げかけることをアドバイスしています。
たくさんの「ふわっと言葉」を与えられている子は、相手にも「ふわっと言葉」を返してあげられる子になります。言葉はキャッチボールですから、「ふわっと言葉」を投げてあげれば、相手が「ふわっと言葉」で返してくれる可能性も高まります。
その子が周囲の人々に温かく見守ってもらえるためにも、なるべく大人の「ふわっと言葉」のバリエーションを増やして、子どもにかけてあげるようにしましょう。(78ページ)
お互いに「ふわっと言葉」が増えたら、イライラする場面が減るだけでなく、上手に声かけできる機会が増えて親子関係も楽しくなりそうです。
著者・阿部利彦教授に本書への思いを伺いました
著者の阿部利彦教授は、30年もの長い間、発達障害のある子と保護者に寄り添い、支援を続けていらっしゃいます。阿部先生は、これまでの経験から「私たち大人が変われば子どもが変わる」と話します。
編集部(以下――)「応援スキル」が詰まった本書ですが、制作のきっかけから教えてください。
阿部先生:これまでは、お子さんのためにがんばっている保護者の皆さんに対して「これ以上がんばらなくてもいいのでは」と思い、あまり保護者向けの本を作らないようにしてきました。本を読む時間よりも、自分の時間を楽しんでもらいたかったからです。
ただ、新型コロナウィルスによって教育も変化し、学校と家庭で連携していく場面がますます増えると思います。そこで、私が相談の中で子どもたちから学んだ支援のヒントを少しでもご家庭で活かしていただけたら、とこの本を作りました。
どのような本にするのかを考えたときに、私の講演会に参加してくださったある保護者の方が「私も読字障害があるので、文字の少ない、イラストなどで視覚化された本をいつか作ってください」とおっしゃっていたことを思い出しました。
保護者の方の多くは、子どもたちが眠りについた後、そっと本書を開かれるのではないか、と思います。疲れていても「数ページだけ読んでみよう」と手にとりやすく、かわいいイラストで少しでも笑顔になっていただけるような、そんな1冊を目指しました。
――本書は「チェックしてみよう!」から始まりますね
阿部先生:保護者にチェックしていただこうと思ったのは、発達障害は特別なことではなく、私たちにも多かれ少なかれ、同じようなところがあるのではないか、と気づいていただきたかったからです。そして、発達障害を身近に感じてもらいたいという願いからです。
――阿部先生のご経験から、「ほめるスキル」「しかるスキル」「伝えるスキル」「励ますスキル」の4つのスキルの中で特に難しいものはどれでしょうか。
阿部先生:「ほめる」「しかる」はどうしても自分の体験がベースになってしまいます。保護者の方が子どものころに感じたことと、子どもたちの感じ方も違うかもしれません。自分基準にならない関わり方が求められると思います。
また「ほめる」のが上手な人もいれば「しかる(さとす)」が得意な人もいます。「ほめる」や「しかる」は、自分が体験したこと以外のやり方や言葉遣いを知る機会が少ないので、本書を新しいやり方や言葉かけを知るきっかけにしてほしいと思います。
――実践してみてうまくいかなかったときのアドバイスはありますか。わざとらしくなってしまうと、子どもが敏感に察知してしまうという声が聞かれます。
阿部先生:たとえば、「ほめる」について。「子どもの行動を変えたいから」ではなく、素直に子どもの姿に感動したから「ほめる」のですよね。ほめて誘導しようとするというのは、「ほめる」ということにならないと思います。ほめるとは子どものチャレンジを共に喜ぶことです。子どもが素直に受け止めてくれなかったら、大人の「ねらい」を読まれてしまったかな、とふりかえってみてください。
――「ずっと変わりたいと思っているけれど、なかなか変われないもどかしさ」を抱いている方も多いように感じています。
阿部先生:以前「本を読んでがんばろうと思ったけれど、三日坊主で」とおっしゃった保護者の方がいました。どんな人でも、そう簡単には変わることができません。「3日も変わることができた」とリフレーミング(見方を変える)してほしいと思います。
本書は私が子どもたちから教わったことが書いてあります。「負うた子に教えられ」という言葉がありますが、私たちは誰もが、自分ひとりでは変わることなどできないのではないでしょうか。子どもたちと過ごす時間が私たちを自然と変えてくれるように感じます。
――発達ナビをご覧いただいている皆さまへメッセージをお願いします。
阿部先生:本書は小学校中学年くらいまでのお子さんを持つ保護者の方に向けて書きました。「こういう言い方、ついしちゃうんだよね」と「あるある」チェックをしてもいいでしょうし、各スキルの「チェンジ」だけを読んでみることもできます。専門書だとかまえずに、おのみささんのイラストを眺めながら気軽に読んでほしいと思います。
阿部先生:大人も「つながること」がますます難しい時代になりましたが、例えば発達ナビなどを通じて、いろいろな人と「つながる」ことができるといいと思います。子育てで孤立するのはしんどいことです。そして、私がいつも伝えているのは、保護者の方も自分の人生を楽しむことを忘れないで、ということです。少しの時間でも子どもと離れて自分の時間を持てるといいですね。
阿部先生:これまでは、お子さんのためにがんばっている保護者の皆さんに対して「これ以上がんばらなくてもいいのでは」と思い、あまり保護者向けの本を作らないようにしてきました。本を読む時間よりも、自分の時間を楽しんでもらいたかったからです。
ただ、新型コロナウィルスによって教育も変化し、学校と家庭で連携していく場面がますます増えると思います。そこで、私が相談の中で子どもたちから学んだ支援のヒントを少しでもご家庭で活かしていただけたら、とこの本を作りました。
どのような本にするのかを考えたときに、私の講演会に参加してくださったある保護者の方が「私も読字障害があるので、文字の少ない、イラストなどで視覚化された本をいつか作ってください」とおっしゃっていたことを思い出しました。
保護者の方の多くは、子どもたちが眠りについた後、そっと本書を開かれるのではないか、と思います。疲れていても「数ページだけ読んでみよう」と手にとりやすく、かわいいイラストで少しでも笑顔になっていただけるような、そんな1冊を目指しました。
――本書は「チェックしてみよう!」から始まりますね
阿部先生:保護者にチェックしていただこうと思ったのは、発達障害は特別なことではなく、私たちにも多かれ少なかれ、同じようなところがあるのではないか、と気づいていただきたかったからです。そして、発達障害を身近に感じてもらいたいという願いからです。
――阿部先生のご経験から、「ほめるスキル」「しかるスキル」「伝えるスキル」「励ますスキル」の4つのスキルの中で特に難しいものはどれでしょうか。
阿部先生:「ほめる」「しかる」はどうしても自分の体験がベースになってしまいます。保護者の方が子どものころに感じたことと、子どもたちの感じ方も違うかもしれません。自分基準にならない関わり方が求められると思います。
また「ほめる」のが上手な人もいれば「しかる(さとす)」が得意な人もいます。「ほめる」や「しかる」は、自分が体験したこと以外のやり方や言葉遣いを知る機会が少ないので、本書を新しいやり方や言葉かけを知るきっかけにしてほしいと思います。
――実践してみてうまくいかなかったときのアドバイスはありますか。わざとらしくなってしまうと、子どもが敏感に察知してしまうという声が聞かれます。
阿部先生:たとえば、「ほめる」について。「子どもの行動を変えたいから」ではなく、素直に子どもの姿に感動したから「ほめる」のですよね。ほめて誘導しようとするというのは、「ほめる」ということにならないと思います。ほめるとは子どものチャレンジを共に喜ぶことです。子どもが素直に受け止めてくれなかったら、大人の「ねらい」を読まれてしまったかな、とふりかえってみてください。
――「ずっと変わりたいと思っているけれど、なかなか変われないもどかしさ」を抱いている方も多いように感じています。
阿部先生:以前「本を読んでがんばろうと思ったけれど、三日坊主で」とおっしゃった保護者の方がいました。どんな人でも、そう簡単には変わることができません。「3日も変わることができた」とリフレーミング(見方を変える)してほしいと思います。
本書は私が子どもたちから教わったことが書いてあります。「負うた子に教えられ」という言葉がありますが、私たちは誰もが、自分ひとりでは変わることなどできないのではないでしょうか。子どもたちと過ごす時間が私たちを自然と変えてくれるように感じます。
――発達ナビをご覧いただいている皆さまへメッセージをお願いします。
阿部先生:本書は小学校中学年くらいまでのお子さんを持つ保護者の方に向けて書きました。「こういう言い方、ついしちゃうんだよね」と「あるある」チェックをしてもいいでしょうし、各スキルの「チェンジ」だけを読んでみることもできます。専門書だとかまえずに、おのみささんのイラストを眺めながら気軽に読んでほしいと思います。
阿部先生:大人も「つながること」がますます難しい時代になりましたが、例えば発達ナビなどを通じて、いろいろな人と「つながる」ことができるといいと思います。子育てで孤立するのはしんどいことです。そして、私がいつも伝えているのは、保護者の方も自分の人生を楽しむことを忘れないで、ということです。少しの時間でも子どもと離れて自分の時間を持てるといいですね。
「また怒っちゃった」から「次はこうやってみよう」へ
発達障害のある子どもたちを育てている保護者だって、人間です。イライラしたり、つまずいたりしながらも、いつも子どもの一番の応援団でありたいと願っています。
本書は、そんな保護者が上手に子どもに伝えられる方法について、具体例を示しながら教えてくれています。「また怒っちゃった」「こんなときはどうしたらいいのかな」と思ったときに本書を手に取れば、「次はこうやってみよう」と前向きになれるのではないでしょうか。
本書は子どもだけでなく、保護者の応援団としても支えてくれています。
本書は、そんな保護者が上手に子どもに伝えられる方法について、具体例を示しながら教えてくれています。「また怒っちゃった」「こんなときはどうしたらいいのかな」と思ったときに本書を手に取れば、「次はこうやってみよう」と前向きになれるのではないでしょうか。
本書は子どもだけでなく、保護者の応援団としても支えてくれています。
あなたもがんばりすぎないで(79ページ)
「人生を楽しむ大人のお手本」になる(81ページ)
の項目には特に、子育てに奮闘するお母さんへのエールが載せられています。本書を読めば、きっと勇気づけられ親子で変わる第一歩となることでしょう。
取材・文/赤沼美里
取材・文/赤沼美里
大人が変われば、子どもが変わる 発達障害の子どもたちから教わった35のチェンジスキル
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大人が変われば、子どもが変わる 発達障害の子どもたちから教わった35のチェンジスキル
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