「おかあさん、みえて」…?会話ができるようになっても難しい、言葉の使い分け。伝えたい気持ちは人一倍のASD息子を見守りながら

2020/07/02 更新
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今では大分スムーズに話すようになったコウですが、以前は「あれ?」と思うような不思議な話し方をする子どもでした。

見てほしい時には「みえて」、聞いてほしい時には「きこえて」と言っていた彼の、これまでの話し方を振り返ってみました。

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丸山さとこ
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幼いころのコウの話し方は少し独特!?

「これねー、お父さんがあげてくれたの」と言うコウと、「あげて…くれた…?」と戸惑う私。
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今ではペラペラとよく話すようになったコウですが、今でも時々「おかえり」に対して「おかえり」を返すことがあります。また、言葉のニュアンスを掴むのが苦手だったりします。

言いたいことを言葉にすること自体がやや苦手なようで、状況や考えを説明する時は「待ってて、頭の中では分かってるんだけど…」とアワアワしながら話すこともしばしばです。

それでも、以前に比べるとかなり話すのが上手になったなぁと感じます。幼いころのコウは、少し独特な話し方をしていたのです。

未就学児のころ…「見て」が「見えて」になる不思議

「おかーさん、みえて」と描いた絵を見せるコウ。
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見て欲しい時は「みえて(見えて)」

幼い子どもがよく言うセリフに「見て」がありますが、コウの場合は「見えて」でした。「おかあさん、みえてー」と言いながら見せたいものを見せに来るのです。

聞いて欲しい時も「聞いて」ではなく「聞こえて」となるので、「おかあさん、きこえて」と言いながら話しかけてきます。

「見て・聞いて」はちょっと特殊な言葉?

考えてみれば、“食べる”をして欲しければ「食べて」、“話す”をして欲しければ“話して”となるのですから、“見える”をして欲しければ「見えて」、“聞こえる”をして欲しければ「聞こえて」になるのは案外おかしなことではないのかもしれません。

ですが、“見る・聞く”をして欲しければ「見て・聞いて」と言うのが正しい言葉づかいです。それは「文法がどうの」と理屈で覚えるのではなく、聞いている内に自然と身につけるものだと思っていましたが、コウはそうではないようでした。

小学校入学後も、「行く・来る」「あげる・もらう」は苦手?

問題として聞かれれば”あげる・もらう”も分かるコウ。
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「国語」として分からないわけではないらしく…?

コウは他にも“行く・来る”“あげる・くれる・もらう”などの言葉を使い分けることが苦手なようで、「“する側・される側”などの視点の切り替えが苦手なのかな?」と感じました。

これは小学校低学年のころまで続きましたが、国語の問題として出題された時には「あげる」「もらう」などの言葉も適切に使えていました。どうやら、“問題”として会話を考える時には使い分けができていても“自分と相手”のことになるとこんがらがってしまうようでした。

「お父さんが僕にあげてくれたの」

お父さんに物をもらった時も「お父さんが僕にあげてくれたの」と不思議な言い方をしていましたが、多分「お父さんが僕に“あげる”をしてくれた」という文の組み立て方をしていたのではないかな?と思います。

これも、「貸す」という言葉で考えてみれば「お父さんが僕に“貸す”をしてくれた→お父さんが僕に貸してくれた」になるわけで、『確かにそういう組み立て方の文章は珍しくないな…』と面白く感じました。

「もらう」で考えてみても、「もらう+してくれた」で「もらってくれた」になります。コウはコウなりに考えて文を組み立てていたのだなと思いました。

“自覚”も“正しい文章の組み立て”も、少しずつ…

「お母さんにくれた色鉛筆」という自分の言葉を「お母さんがくれた色鉛筆」と言い直すコウ。
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高学年になった辺りから、「あれ?今の何か違うな。もう一回言い直していい?」と、コウの方からも少しずつ文の組み立てについて考えるようになってきました。

「僕の言い方、ヘンだなって思ったら教えてね」と言うコウは、そのことを特に悩んではいないようです。「何かヘンだなって文でも伝わることは伝わるけど、分かりやすい言い方ができたらいいなと思うから」と言います。

人と会話することで“意思の疎通をはかること”がコウのこれからを豊かにしていってくれるといいなと思いながら、「時々現れる不思議な話し方」に耳を傾けています。
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