自閉症スペクトラムのわが子との平穏な生活に訪れた変化、そのとき父親がくだした決断は?イスラエル映画『旅⽴つ息⼦へ』が公開

ライター:発達ナビニュース
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世界で一番愛する息子を育てるために人生を捧げてきた父と、父の愛に包まれて心優しい青年に成長した息子。お金はなくても愛がある!と田舎に住み、2人だけの平穏な毎日を楽しんできました。ところがある日、彼らに突然試練が訪れて…。

イスラエルから届いた新作映画『旅⽴つ息⼦へ』は、いつか訪れる、障害のあるわが子の自立のための決断について、静かに問いかけます。

自閉症スペクトラムのあるウリと、その父親の暮らしを描くイスラエル映画

父親と一緒に電車に乗る息子
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障害のある子どもを育てている親にとって、子どもの自立は大きな課題であり、心配や不安を感じることも多いのではないでしょうか。今回紹介する映画『旅立つ息子へ』は、自閉症スペクトラムのある一人息子・ウリと、妻と別居し息子と二人で暮らす父親のアハロンの、自立と子離れの物語。美しい映像描写で定評のある、イスラエル映画です。

アハロンとウリは、まるで一心同体。二人の毎日は平穏で、言葉はなくても通じ合っています。2人がイキイキと自転車で街を疾走する様子、楽しそうに電車に乗るウリと寄り添うアハロン…静かで穏やかな風景、美しい色合いで描かれる二人の日常。ですが時に理解の無い周囲の視線が、観る人の心をチクりと刺します。その視線から息子を守るように寄り添うアハロンに、自分の姿を重ね合わせる人も多いのではないでしょうか。

父子二人の平穏な生活に訪れた、ある変化

二人の平和な毎日に、突然の激震が走ります。別居している母親が、ウリを施設に入れるというのです。

母親もまた、親なきあとのウリが路頭に迷わないようにと、最善を尽くそうとしてるー。自分よりウリを理解してくれる者はいないと頑なな父の気持ちも、父の愛情に包まれた暮らしの中に安心を見出しているウリの気持ちも、どちらも分かるからこそ、切なさがこみ上げます。

そしてまた、二人の間に入っていくことができない母の嘆く姿に、入り込む余地のない父子二人の強固な関係を、改めて感じさせられるのです。
電車のホームでパニックになる息子となだめる父親
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父親は意を決して、息子と家を出ます。

「いつもの電車の旅とは何か様子が違うぞ。これが最後の旅、別れの旅になる。旅の先には、父と離れて住む施設がある」そう感じたウリは駅のホームでパニックを起こします。そして、パパと一緒にいたいと訴えるのです。

改めて「ウリを手放したくない」と痛感したアハロンは、施設や妻との約束を破って、リゾート地に向かってしまいます。

アクシデントの中でふと垣間見えた、息子の成長

ダンスパーティの会場で楽しそうに踊る息子
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二人の旅は、さまざまなアクシデントに見舞われます。そしてアクシデントが起こるたびに、アハロンは考えないようにしてきたことに、少しずつ気づくのです。

同い年くらいの女の子を見て思わず近寄って行くウリを必死で止めるアハロン。
目を離したすきにどこかへ行ってしまったウリを必死に探すアハロン。ようやく見つけたとき、ウリがいた場所は…。

ウリの年相応の成長、楽しみ、興味に。それは父親とともに過ごしたのでは得られない、ウリに秘められた可能性なのかもしれないと。
次ページ「「自分の人生を生きているのか」という問い」

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