気になる行動には意味がある?遊具メーカーが語る、遊びの中の「あるある」と発達の関係【まなびフェスタレポート】
ライター:発達ナビ編集部
Sponsored
株式会社アネビー
発達障害を感覚障害と置き換えて、遊具の力で困りごとを解決していく取り組みについて、セミナーの内容をレポートします。
発達障害と言わない社会をつくる〜遊びを見つめてきた遊具メーカーの挑戦〜
LITALICO発達ナビにより、3月7日に開催された「オンラインまなびフェスタ2021」。発達が気になるお子さまを育てる保護者のみなさまのためのこの特別なイベントは、事前参加登録者数が4200名を超える大盛況の内に幕を閉じました。
発達が気になるお子さまを応援する13社の協賛企業が集まった「オンラインまなびフェスタ」のセミナーには、以前発達ナビの記事でもご紹介した株式会社アネビーさまにもご登壇いただきました。
発達が気になるお子さまを応援する13社の協賛企業が集まった「オンラインまなびフェスタ」のセミナーには、以前発達ナビの記事でもご紹介した株式会社アネビーさまにもご登壇いただきました。
Sponsored
遊びが育む「新五感」が学習や社会性の基盤に?遊具から環境づくりまで、子どもの遊びを手がけるアネビーの想いに迫る
子どもたちの遊び場を「遊具の力」で変えていくことを目指し、この春には障害の有無に関わらず遊べる「インクルーシブな遊び場」を東京都西多摩郡にリニューアルオープンさせたアネビー。「園の文化を育み伝え、物語生まれる遊び場」をつくりたいという想いで、多くの園庭や遊び場、保育室を生み出してきました。
その背景にあるのは、どの園や地域にも個性や環境や個々の事情があること、そして同時にどの園も子どもたちを育み、慈しむために真剣な想いがあるということを知っているからです。
その背景にあるのは、どの園や地域にも個性や環境や個々の事情があること、そして同時にどの園も子どもたちを育み、慈しむために真剣な想いがあるということを知っているからです。
その遊び場である園庭や保育室が、それぞれにとっての一番のカタチになるように、そして子どもたちの喜びが咲き誇るように、提案から施工までつくりあげていきます。
そんなアネビーのセミナーは、代表取締役である熊尾さんの「発達障害のお子さんをお持ちの保護者の方へ、希望と勇気をおおくりしたい」という力強い言葉ではじまりました。「発達障害という言葉は、感覚障害という言葉に変えたいと考えているんです」と、今回のセミナーの本筋を示してくださいます。
そしてその後、バトンを受け取られたアネビーの齋藤さんから「遊びの中の『あるある』と発達の関係」についてお話があったのですが、こちらの内容を当日参加できなかった方を含めてぜひお伝えしたいと思い、特別にセミナーの内容をレポートさせていただきます。
遊具メーカーならではの視点で、お子さまの気になる行動の意味について解説してくれました。
遊具メーカーならではの視点で、お子さまの気になる行動の意味について解説してくれました。
「発達障害」ではなく「感覚障害」と捉えるための、4つのテーマ
齋藤さんは、今回のテーマである「遊びの中の『あるある』と発達の関係」を明らかにしていくために、4つのテーマで話をはじめられました。それぞれについてご紹介をさせていただきます。
発達障害と言わない社会をつくる
アネビーでは以前から、子どもにとっての遊び、及び遊具について、信念を持って意味のあるものをつくってきました。その土台の上で、ある一つのきっかけから発達障害という子どもたちに対しての取り組みをはじめたそうです。「園の先生と話していたときに、『最近発達が気になるお子さんが増えてきている、遊具の力で何かできることはないのか』という言葉がありまして。そこから全てははじまりました」と、齋藤さんは言います。
それからは発達障害のお子さんの力になることができる遊具の研究を進め、当事者への調査や作業療法士へのヒアリング等を重ねながら開発を進めてきました。
それからは発達障害のお子さんの力になることができる遊具の研究を進め、当事者への調査や作業療法士へのヒアリング等を重ねながら開発を進めてきました。
その中で分かったことは、何かに困っているお子さんは「感覚に障害や違い」があるということ。「発達障害という原因に対して働きかけることはもしかしたら難しいかもしれないが、感覚に障害や違いがあり困っているのであれば、遊びを通して解決していくことができるかもしれないと考えました」と、齋藤さん。
そのことに気づいてから、アネビーは「発達障害」ではなく「感覚障害」であると定義を改め、その遊具開発はより明確さを持っていくことになりました。
そのことに気づいてから、アネビーは「発達障害」ではなく「感覚障害」であると定義を改め、その遊具開発はより明確さを持っていくことになりました。
あるある
ふらふらと歩き回る、らんぼうな行動をとる、危険を考えず行動する、いつも決まった場所にいる、不器用。それらの困りごとの「あるある」を精査していく中で、アネビーでは気になる子の行動を42個に分別をしています。
「これらの気になる行動は、直接的、間接的問わず、遊びで解決もしくは回避できる力をつけることができます」と、齋藤さんは話します。そしてそのときにとても大事なことは、気になる子、または困った子、ではなくて、本人が一番困っているんだという視点で考えるということ。
例えば、じっとしていることが苦手なお子さんに、「今はお話の時間!」と注意するのではなくて、「バランス覚の感覚刺激が欲しいのね」と捉えてあげるということ。足裏からの刺激が欲しくて、くるくる回ることでバランス覚の刺激が欲しいんだと、理解してあげることが大切です。
また、お友達にらんぼうしてしまうお子さんも、「らんぼうしちゃダメ!」ではなく、「まだボディ覚の発達が未熟で、力加減の目盛りができていないのね」と、少し力が入り過ぎているだけなんだと考えることで、見え方が変わってくるかもしれません。
例えば、じっとしていることが苦手なお子さんに、「今はお話の時間!」と注意するのではなくて、「バランス覚の感覚刺激が欲しいのね」と捉えてあげるということ。足裏からの刺激が欲しくて、くるくる回ることでバランス覚の刺激が欲しいんだと、理解してあげることが大切です。
また、お友達にらんぼうしてしまうお子さんも、「らんぼうしちゃダメ!」ではなく、「まだボディ覚の発達が未熟で、力加減の目盛りができていないのね」と、少し力が入り過ぎているだけなんだと考えることで、見え方が変わってくるかもしれません。
他には、活動中どこかに行ってしまうお子さんには、「隠れても不自然じゃない環境設定」をしてあげることも大切。もしかしたら聴覚が敏感でその場所にいることが難しいのかもしれないので、隠れているのではなく今そこで遊んでいるんだと分かる状態をつくる方法もあると言います。
また、落ち着きがないお子さんは、視覚や聴覚に敏感な場合があります。つまり、眩し過ぎてその場から逃げてしまう行動に出る可能性があるということです。
「だからこそ、一つひとつの感覚、困りごとを分析しわかってあげることで、対処法が見えてくるのだと思います」と、齋藤さんは話してくれました。
また、落ち着きがないお子さんは、視覚や聴覚に敏感な場合があります。つまり、眩し過ぎてその場から逃げてしまう行動に出る可能性があるということです。
「だからこそ、一つひとつの感覚、困りごとを分析しわかってあげることで、対処法が見えてくるのだと思います」と、齋藤さんは話してくれました。
新五感と発達
それでは感覚についてアネビーが提唱する、「新五感」とは一体なんでしょうか?「新五感とは、あえて一般的な味覚と嗅覚を抜いて、かわりにボディ覚とバランス覚を入れたものです」と、齋藤さんは教えてくれます。
ボディ覚とは、自分の体がどういう状態にあるのかを自分自身で感じる感覚のこと。頭の後ろでチョキを出すときに、目で見えなくてもそれがチョキだと分かるのはボディ覚があるからです。後ろのエプロンの紐を結べることも、持った瞬間にペットボトルの残りの量が分かることも、ボディ覚の働きです。
ボディ覚は将来、自分の体重はどれくらいで手の長さはどれくらいかと分かる、ボディイメージにつながっていきます。
ボディ覚は将来、自分の体重はどれくらいで手の長さはどれくらいかと分かる、ボディイメージにつながっていきます。
一方でバランス覚とは、重力に対して体がどうなっているのかを感じる感覚のこと。例えば一本足で立つときには、このバランス覚が必要となってきます。大袈裟な言い方をすると、地球を感じる感覚のことで、将来の姿勢保持、姿勢獲得にとって重要な役割を果たすようです。
そして新五感について考えるときに、セットで大切となるのが「発達の階段」です。「この図にある要素がそれぞれ相互作用を起こしてはじめて、上の段に上がれるという考え方を整理したものです」と、齋藤さん。相互作用を繰り返しながら最終的に根っこの力につながっていきます。
具体例としては、赤ちゃんが首が座るということを考えたときに、首周りの筋肉が発達する以外にも、この角度をキープするためにはどれくらい力を入れれば良いのかということについてはボディ覚が作用しています。バランス覚とボディ覚が一致することで、はじめて首が座るのです。
また、困りごとについて確認するときにも、この考え方が有用となります。「お子さんがどの部分につまずきがあるのかということを確認するときに、そのつまずきの一つ下の段につまずきがないかを見ていくことで原因がどこにあるのかを正しく捉えることができます」と、齋藤さんは言います。
そして突き詰めていくと、最終的には新五感に行き着き、だからこそ新五感を育んでいくことで学習や運動、社会性の能力を獲得することにつながっていくのです。
また、困りごとについて確認するときにも、この考え方が有用となります。「お子さんがどの部分につまずきがあるのかということを確認するときに、そのつまずきの一つ下の段につまずきがないかを見ていくことで原因がどこにあるのかを正しく捉えることができます」と、齋藤さんは言います。
そして突き詰めていくと、最終的には新五感に行き着き、だからこそ新五感を育んでいくことで学習や運動、社会性の能力を獲得することにつながっていくのです。
また困りごとについては、「感覚どん感」と「感覚びん感」を基準に分類し、どのような要因があるかということを分析して理解していくことも大切となっていきます。これらのアプローチを通して、困りごとに対して適した遊具で遊ぶことや環境を整えてあげることで、お子さんの成長をサポートしていくことにつながっていきます。
いちばんの教材は遊具
実際に、遊具を活用することでお子さんの様子に変化が見られた事例についても紹介がありました。
家に帰ってきて宿題をせずに親子喧嘩ばかりだったお子さんを、体重移動に合わせて座面が回転する「タートル」に座らせたら変化が生まれたんです。「とにかく上に乗って回ることで気分転換になっていたようで、本人も『タートル』に座ることで自分は気分転換ができると気づき、自発的に宿題の前に自分で乗るようになりました」と、齋藤さん。結果として、宿題に集中する時間も長くなったということもありました。
動きたいときに「タートル」で動くことで、脳に刺激が加わり、ポジティブな気持ちへと作用したことが考えられます。
家に帰ってきて宿題をせずに親子喧嘩ばかりだったお子さんを、体重移動に合わせて座面が回転する「タートル」に座らせたら変化が生まれたんです。「とにかく上に乗って回ることで気分転換になっていたようで、本人も『タートル』に座ることで自分は気分転換ができると気づき、自発的に宿題の前に自分で乗るようになりました」と、齋藤さん。結果として、宿題に集中する時間も長くなったということもありました。
動きたいときに「タートル」で動くことで、脳に刺激が加わり、ポジティブな気持ちへと作用したことが考えられます。
それぞれの感覚を育むために大切な遊びが詰まった遊具はそれぞれ違います。上記の子どもの困りごとの原因や、子どもの「やりたい」気持ちを重視して選ぶことが大切です。
「そして最後に、アネビーの遊具を体験したい場合は、東京都の西多摩郡にある『アネビートリムパークLABOみずほ』にぜひお越しください」と、齋藤さん。発達に働きかける遊具を選び抜いて導入したので、お子さんにあった遊具や遊びに出合う体験がきっと待っています。
「子ども自身は遊びとしか思っていなくてもその行動には目的があり、将来の発達につながっていきます」と、齋藤さんは話します。アネビーはこれからも遊びを真剣に考え、遊具の力で感覚障害を乗り越えていけるように、活動を広げていきます。
感覚について知り、遊具で遊ぶことの意味について考える、貴重な時間となりました。以上、「オンラインまなびフェスタ2021」より、アネビーセミナーのレポートをお送りしました。