睡眠薬「ロゼレム」はどんな薬?他の薬との違いは?使用方法や効果、副作用について詳しく解説します

ライター:発達障害のキホン
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ロゼレムは、成人に処方される入眠改善薬で、2010年7月に販売が開始されました。一定期間が経過したことから、ロゼレムの安全と効果を確認するために2019年6月に再審査が行われ、その安全性と効果が確認されています。今回の記事では、ロゼレムについて詳しく解説します!

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

ロゼレムとは

ロゼレムは、不眠症で入眠に難しさを抱えている成人に処方される睡眠改善薬です。睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの受容体に働きかけることで、体内の時計の狂いを調節して睡眠リズムを整えます。確認されている主な副作用は、傾眠(1.2%)、浮動性めまい(0.7%)、倦怠感(0.3%)です。

不眠症とは、睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感や意欲低下、集中力低下、食欲低下などの不調が現れる病気のことです。

不眠といっても症状はひとつではなく、4つのタイプに分けられます。眠りに就くことが難しい「入眠障害」、寝ている途中で何度も起きてしまう「中途覚醒」、朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」、睡眠時間は十分なのに睡眠の質が悪く休んだという実感が得られない「熟眠障害」です。

睡眠に問題があると、日中に眠くなってしまって勉強や仕事に集中できないなど、日中の活動にも影響を与えてしまいます。

さらに、発達障害のある人は幼少期から睡眠に問題を抱えることが多いことが分かっています。ADHDのある人の85%が日中の眠気か睡眠に問題を抱えていることも報告されています。睡眠の問題はADHDのある人だけでなく、自閉スペクトラム症のある人も同様に睡眠の問題を併せ持つ場合が少なくありません。

発達障害のある人の睡眠問題には、体内で分泌されるホルモン「メラトニン」が特に有効であると考えられており、ロゼレムはメラトニンと同じ働きで睡眠を改善する効果があります。
Sun Young Rosalia Yoon et al.(2013). Sleep and daytime function in adults with attention-deficit/hyperactivity disorder: subtype differences. Sleep Med . 14(7):648-55.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23643650/
厚生労働省『e-ヘルスネット 不眠症』
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html
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子どもの睡眠障害の症状や対処法、発達障害との関係【医師監修】

どのような仕組みで効果があるの?

それではメラトニンは、睡眠にどのように作用するのでしょうか。

睡眠には2つのメカニズムが関わっています。

ひとつめは「脳が疲れたから眠くなる」メカニズムです。起きて活動すればするほど脳は疲れ、老廃物の一種である睡眠物質が蓄積されていきます。この睡眠物質がたまってくると、脳神経に働きかけて催眠鎮静作用が発揮されて眠くなるのです。

もうひとつは「夜だから眠くなる」メカニズムです。私たちは普段寝ている時間になると、自然と眠くなりますよね。これには、脳の視床下部の視交叉上核というところに存在する体内時計が関わっています。夜になると体内時計が指令を出すことで、メラトニンが分泌されます。

メラトニンが分泌されると、体の内部の体温や血圧が少しずつ下がり、眠りやすい状態に導き睡眠を促してくれるのです。

反対にいつもと同じような時間に目覚めるのも、この体内時計の働きによるものです。体内時計の指示でメラトニンの分泌が止まって体の内部の体温が少しずつ高まり、一定レベルを超えると目覚めます。

つまり、メラトニンが分泌されると自然な眠りを誘い、メラトニンの分泌が止まると目覚めるようになるんですね。このようにメラトニンは睡眠に大きく関わっていることから、睡眠ホルモンとも呼ばれています。

人は目覚めて朝陽を浴びると体内時計がリセットされ、目覚めから14時間~16時間くらい経つと、体内時計が指令を出してメラトニンを分泌し、自然な眠りにつくことができます。ところが、光を発する電子メディアの見過ぎなど何かの理由でこのメカニズムがくずれてしまうと、睡眠に問題が生じて不眠症を引き起こしやすくなってしまうのです。メラトニンは光によって抑制されます。

ロゼレムの有効成分ラメルテオンは、メラトニンを受け取るタンパク質の「メラトニン受容体」にくっついて作用し、メラトニンと同じ働きをします。つまりロゼレムを服用すると、体内時計の針を調節することができるわけです。

たとえば望ましい就寝時刻よりも前にロゼレムを服用すると、体内時計の針が早まって体内での夜が早く訪れます。結果として、いつもよりも入眠時刻が早まり、眠りにつくのを改善します。眠りのリズムを整えることで睡眠の問題を改善するのです。
武田薬品工業株式会社『体内時計と睡眠の仕組み メラトニンとは』
https://www.tainaidokei.jp/mechanism/3_3.html

ロゼレムの使用方法・用量は?

・用量:1錠(ラメルテオンとして1回8mg)
・用法:1日1回就寝前に経口投与
・成人

※監修者注:通常15歳以上からの適応となるが、18歳以上からが望ましい

以下に該当する人には、ロゼレムは使用できません。

・ラメルテオンに過敏症となってしまったことのある患者
・高度な肝機能障害のある患者
(肝臓で代謝されるため、有効成分の血中濃度が上昇してしまい、作用が強くあらわれる恐れがある)
・フルボキサミンマレイン酸塩(SSRI)を服用している患者(販売名:ルボックス、デプロメール)

また使用するにあたっての注意事項は、以下の3つです。

服用開始から2週間後をめどに、効果があるかを医師が確認します。効果が認められない場合には、服用を中止するかどうか医師が判断することとなっています。

服用は、必ず就寝前です。寝たい時間の直前に服用することで効果がみられます。なお、少しだけ寝たら起きて仕事をするなど、途中で起きる予定のある場合には服用を控えます。

服用する際は、食事と同時・食事直後は避けることです。食事と同時、もしくは食事直後にロゼレムを服用してしまうと、有効成分の血中濃度が下がり効果があまり出なくなってしまうからです。

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構『ロゼレム錠8mg』
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1190016F1024_1_09/
次ページ「ロゼレムの副作用と注意点」

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