不登校の子どもをサポートする教育支援センター(適応指導教室)とは?支援の内容や、利用方法を解説

2021/04/30 更新
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子どもが学校に通えなくなってしまった場合、子ども本人にはもちろん、保護者にもさまざまな不安が生じるかもしれません。「勉強はどうなるんだろう」「今後友達関係を築いていくことはできるのか」「学校に戻るタイミングはどのように決めたらいいのだろう」など、子どもや保護者の悩みや不安はそれぞれです。今回のコラムでは、不登校の子どもと保護者をサポートする役割を担う「教育支援センター(適応指導教室)」を取り上げ、その概要を説明します。

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教育支援センター(適応指導教室)ってどんなところ?

教育支援センター(適応指導教室)」(以下、教育支援センター)は、主に小中学校を長期で休んでいる子どものために、学籍のある学校とは別の場所に教育委員会等が用意した公的機関です。一部高校生を受け入れているところもあります。市町村や都道府県の教育委員会等によって設置されているもので、文部科学省のデータでは1142ヶ所、全国の自治体の63%が教育支援センターを設置しています(平成29年度調査 ※)。もともとは「適応指導教室」という名称が用いられていましたが、平成15年より標準的な呼称が「教育支援センター」とされました。

指導にあたるのは、教員免許を保持する職員が多く、他には臨床心理士や社会福祉士等の資格を保有する職員がいる場合もあります。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの心理、福祉の専門家が配置または派遣されている場合もあり、子どもや保護者がカウンセリングを受けるなどの機会を用意している教育支援センターもあります。
令和元年10月25日の文部科学省による「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の中で、教育支援センターの定義は以下のように表記されています。

2 設置の目的
○ センターは,不登校児童生徒の集団生活への適応,情緒の安定,基礎学力の補充,基本的生活習慣の改善等のための相談・指導(学習指導を含む。以下同じ。)を行うことにより,その社会的自立に資することを基本とする。

出典:https://www.mext.go.jp/content/1422155_005.pdf
以前は学校に戻ることが不登校の子どもたちへの支援のゴールとされていましたが、平成28年の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」において、不登校支援の視点として「不登校児童生徒への支援は,『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること」が明記され、不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保のための場の一つとして、教育支援センターも位置づけられています。そのため、未設置地域での設置や、体制整備、機能拡充等が進められているのです。

どんな子どもが利用している?情緒的混乱や人間関係の不安を抱える子どもが多い

令和元年度の調査では、義務教育課程の不登校児童者数は18万人を超えています。

不登校の理由は子どもによってそれぞれ。「友人関係」「勉強が分からない」「先生との関係」「クラブ活動に関する問題」など、学校生活を巡る問題が不登校のきっかけとなった子どもたちが多い一方で、「不安感」「生活の乱れ」「家庭の状況」などを挙げる子どももいることから、不登校の理由が複雑化していることが分かります。
その中で、教育支援センターに登録している児童・生徒の傾向としては、不安など情緒的混乱で「学校に行きたくても行けないタイプ」、人間関係がうまく築けない「人間関係によるタイプ」が多くなっています。
また、不登校の子どものなかに、発達障害がある児童が増えているという指摘もあります。

特性のある子どもに対する理解は社会全体として進みつつあるものの、一般的な小学校や中学校では適切な指導や支援がまだまだ不十分なこともあります。そのため、それぞれが抱える課題を克服できず、友達関係がうまく築けなかったり、勉強についていけなくなったりなどの問題が生じ、不登校になってしまうケースが増えています。
このように、不登校の子どもたちにはさまざまな背景があるため、教育支援センターでの支援も個々にあわせた内容で実施され、学校復帰に限らないそれぞれにあったサポートの在り方が求められています。

利用スケジュールや具体的な指導内容は?

全国の教育支援センターは、終日で活動している施設がほとんどですが、なかには午前のみや午後のみで活動している教室もあるため、ホームページなどで確認が必要です。

1日の過ごし方は子どもにあわせて調整がされることが多いですが、基本的なスケジュールは決まっているところが多くあります。例えば東京都武蔵野市「チャレンジルーム」の場合、1日の流れは以下の通りです。

9:15~朝の会・読書
9:30~個別学習 学習はそれぞれで進め困ったことがあったら相談員に声をかける
12:00~昼食
13:00~集団活動 スポーツ、調理など
14:15~掃除・帰りの会
14:45~帰宅

出典:http://www.city.musashino.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001...
通室スケジュールも、個々にあわせて調整される場合が多いようです。少ない頻度から通い始めたり、午後から通室したり、体調にあわせて早退したりなど、職員と相談し、無理のないペースで通うことができます。
活動内容も施設によって異なりますが、学習支援、社会体験、自然体験、調理やスポーツなどが実施されており、季節行事を取り入れている施設もあります。
学習支援に関しては、ほとんどの施設で個別指導が行われており、授業形式の学習支援をしているのは30%未満となっています(平成29年度調査 ※)。決まったカリキュラムに沿って学習を進めるところと自習を主に行っているところがあり、教材は学校の教科書や持参した市販教材などが使用されます。

また多くの施設で子どもとの個別のカウンセリングを取り入れており、相談やカウンセリングが不登校の子どもたちのサポートに欠かせないものとなっていることが分かります。
同時に、保護者に対しての相談・カウンセリングも多くの施設で実施されています。子どもが不登校になったのは、自分の責任であると考える保護者も少なくないため、カウンセラーが話を聞きながら子どもへの対応のあり方を共に考えていくのです。必要に応じて家庭訪問が実施される場合もあります。施設によっては保護者会やグループカウンセリングなどがあり、同じ境遇の子どもを持つ保護者同士が話をすることで気持ちが楽になるなどの効果があったと話す保護者も多いといいます。保護者同士で互いの子どもへの対応について学び合う機会を提供している施設もあるようです。
このほかにも、発達障害のある子どもに対しては、ソーシャルスキルトレーニングなどのプログラムを実施している教育支援センターもあります。障害の有無に関わらず、子ども一人ひとりの特性や興味関心に沿って、社会性や自信を高めるサポートをするのが教育支援センターの役割の一つです。

在籍する学校との連携も

教育支援センターに通う中でも、やはり在籍する学校のことは気になりますよね。支援についての連携はしてもらえるのでしょうか。

「教育支援センター整備指針(試案) 」の中では、教育支援センター(適応指導教室)と学校との連携について以下のように記されており、子どもの様子や支援の方向性、学習の成果などについての連携はもちろん、該当児童生徒が学校に復帰したあとも在籍校と連携して継続的なサポートを実施していくことが大切な役割の一つとなっています。

8 学校との連携
○ 指導員等は,不登校児童生徒の態様に応じ,その支援のため,在籍校との緊密な連携を行うものとする(定期的な連絡協議会,支援の進め方に関するコーディネート等の専門的な指導等)。
○ 指導員等は,不登校児童生徒の学校復帰後においても,必要に応じて在籍校との連携を図り,継続的に支援を行うことが望ましい。
○ 指導員等は,児童生徒の実情等の的確な見立て(アセスメント)にそった児童生徒の個々の回復状況を把握し,守秘義務に配慮した上で,本人,保護者の意向を確かめて在籍校に学習成果等を連絡するものとする。
○ 指導員等は,不登校に関し,学校に対する専門的な指導・助言・啓発を行う。

出典:https://www.mext.go.jp/content/1422155_005.pdf
文部科学省のデータによると、連携方法としては、定期的に文書にて情報共有を行っている施設が約90%となっています(平成29年度調査 ※)。文章でのやりとり以外にも、教育支援センターの職員が在籍校の校長や子どもの担任などと定期的に面談を行ったり、定期的に子どもの面会のために教育支援センターを訪問したりするケースもあります。また、該当の児童生徒の支援会議に教育支援センター職員と在籍校教職員が同席し、ともに支援の方向性を検討することも。

ほかにも、学校復帰を望む子どもに対しては、学校からの配布物やプリント教材を適応指導教室に届けたり、行事の案内の連絡をしてもらったりなど、少しずつ学校との接点を増やす関わりをする場合もあります。
なお、教育支援センターに通うことで、文部科学省が定める「出席扱い等の要件」を満たす場合、在籍校での出欠席について「出席」扱いにすることができます。この点も教育支援センターへ通室する大きなメリットと言えるでしょう。教育支援センターに通う公立学校在籍の小学生のうち約90%に、在籍校での出席扱いとする措置が適用されています。(平成29年度調査 ※)

利用を検討するときには?対象となる条件や必要な手続きについて

利用の条件

教育支援センターの利用には、自治体ごとに対象者の条件が定められています。

例えば東京都目黒区の場合は、以下の通りです。

対象
区立小・中学校に在籍する長期欠席児童・生徒で、本人及び保護者が入級を希望し、在籍学校の校長が必要と認めるものです。

出典:https://www.city.meguro.tokyo.jp/kyoiku/gakko_kyoiku/support/emil.html
また、沖縄県宮古島市の場合は、以下のように入室判定基準が設けられています。

入室条件
本人に「まてぃだ教室」に通室する意思がある。
保護者が教室への送迎が充分に可能である。

入室判定基準
学校へ行く意思があるが行けない。
登校時になると、腹痛・頭痛・嘔吐・発熱などの身体症状を呈する。
家に閉じこもり、ほとんど外出しない。
対人的な接触を避ける傾向にある。
精神的な疾患ではない。
本人に「まてぃだ教室」に通室する意思がある。

出典:https://www.city.miyakojima.lg.jp/soshiki/kyouiku/kenkyu/oshirase/tekiou/
自治体によって異なる基準もありますが、大切にしたいのは「本人の意思を確認すること」です。不登校の子どもがいる場合、保護者や周囲の支援者が支援のステップを焦ってしまいがちですが、見学などを通して子ども自身が通いたいと思うか、通えそうかなど、気持ちを確認しておけるとよいでしょう。

利用までの流れ

教育支援センターに通うには、いくつかのステップを踏む必要があります。具体的な手続きは自治体によって異なりますが、代表的な流れを見てみましょう。市町村によって「教育支援センター」「教育相談センター」「学校サポート教室」など異なる名称で相談窓口が設置されていることがありますので、まずはお住まいの地域の相談窓口を確認してください。

代表的な手続きは以下の通りです。

1.「教育支援センター」などへ面談を申し込む
本人、保護者、そして学籍のある学校の考えが考慮されます。

2.保護者が「入室願書」を記入・提出する
保護者が「入室願書」を記入し、在籍学校長へ提出します。

3. 在籍学校長が「入室申込書」を作成・提出する
保護者から提出された「入室願書」を元に校長が「入室申込書」を作成し、「教育支援センター」に提出します。

4.「入室決定通知書」が送付される
「教育支援センター」から学校と保護者へ「入室許可通知書」が送付されます。

通室が決定したら、職員と本人や保護者が相談しながら、通室スケジュールや取り組む内容などを決定していきます。個別の支援計画を作成し、支援内容などについて利用継続の必要性などについて定期的な検討を行う施設もあります。

不登校の子どもが利用する「フリースクール」とはどう違う?

不登校の子どもが利用する施設として「フリースクール」の名前を聞いたことがある方も多いと思います。教育支援センターとフリースクールはどう違うのでしょうか。

教育支援センターは公的な機関ですが、フリースクールは個人や民間企業、NPO法人等の団体が運営しています。そのためフリースクールの場合、支援の方針やカリキュラム等は運営団体によって異なります。また、公的な機関である教育支援センターは利用に費用が発生しないのに対し、フリースクールは各施設ごとにかかる費用が異なります。身近に教育支援センターもフリースクールも両方ある場合には、見学などを通して支援内容、費用、施設の雰囲気等を確認して検討できるとよいですね。

なお、フリースクールへ通う場合に出席扱いとされるかどうかは校長による判断となるため、相談しておく必要があります。

不登校の子どもたちが自分に合ったサポートを受けられるように

不登校の子どもをサポートする「教育支援センター(適応指導教室)」では、さまざまな方法で子どもたちを支援していることが分かりました。通うことで「出席扱い」になることが多く、学校とも連携してサポートしてくれることから、子どもも保護者も安心して毎日を過ごせるようになるのではないでしょうか。活動内容や利用頻度も個々にあわせて調整されるため、発達障害のある子どもの場合も、相談しながらそれぞれに合ったサポートを受けることができます。

不登校の子どもが抱える不安や課題はそれぞれに異なります。それらを乗り越え社会のなかで自立できるよう、焦らずに日々を過ごすための手段の一つが、教育支援センターの活用です。

教育支援センター以外にも、不登校の子どもをサポートする制度やサービスはさまざまです。不登校の悩みを抱えている子どもや保護者はまずは抱え込まずに、市町村の相談機関に連絡してみてはいかがでしょうか。

※は平成29年度調査、令和元年発表の「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果データを引用しています。
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