不登校の子どもをサポートする教育支援センター(適応指導教室)とは?支援の内容や、利用方法を解説
ライター:発達障害のキホン
子どもが学校に通えなくなってしまった場合、子ども本人にはもちろん、保護者にもさまざまな不安が生じるかもしれません。「勉強はどうなるんだろう」「今後友達関係を築いていくことはできるのか」「学校に戻るタイミングはどのように決めたらいいのだろう」など、子どもや保護者の悩みや不安はそれぞれです。今回のコラムでは、不登校の子どもと保護者をサポートする役割を担う「教育支援センター(適応指導教室)」を取り上げ、その概要を説明します。
教育支援センター(適応指導教室)ってどんなところ?
「教育支援センター(適応指導教室)」(以下、教育支援センター)は、主に小中学校を長期で休んでいる子どものために、学籍のある学校とは別の場所に教育委員会等が用意した公的機関です。一部高校生を受け入れているところもあります。市町村や都道府県の教育委員会等によって設置されているもので、文部科学省のデータでは1142ヶ所、全国の自治体の63%が教育支援センターを設置しています(平成29年度調査 ※)。もともとは「適応指導教室」という名称が用いられていましたが、平成15年より標準的な呼称が「教育支援センター」とされました。
指導にあたるのは、教員免許を保持する職員が多く、他には臨床心理士や社会福祉士等の資格を保有する職員がいる場合もあります。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの心理、福祉の専門家が配置または派遣されている場合もあり、子どもや保護者がカウンセリングを受けるなどの機会を用意している教育支援センターもあります。
指導にあたるのは、教員免許を保持する職員が多く、他には臨床心理士や社会福祉士等の資格を保有する職員がいる場合もあります。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの心理、福祉の専門家が配置または派遣されている場合もあり、子どもや保護者がカウンセリングを受けるなどの機会を用意している教育支援センターもあります。
令和元年10月25日の文部科学省による「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の中で、教育支援センターの定義は以下のように表記されています。
2 設置の目的
○ センターは,不登校児童生徒の集団生活への適応,情緒の安定,基礎学力の補充,基本的生活習慣の改善等のための相談・指導(学習指導を含む。以下同じ。)を行うことにより,その社会的自立に資することを基本とする。
以前は学校に戻ることが不登校の子どもたちへの支援のゴールとされていましたが、平成28年の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」において、不登校支援の視点として「不登校児童生徒への支援は,『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること」が明記され、不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保のための場の一つとして、教育支援センターも位置づけられています。そのため、未設置地域での設置や、体制整備、機能拡充等が進められているのです。
どんな子どもが利用している?情緒的混乱や人間関係の不安を抱える子どもが多い
令和元年度の調査では、義務教育課程の不登校児童者数は18万人を超えています。
不登校の理由は子どもによってそれぞれ。「友人関係」「勉強が分からない」「先生との関係」「クラブ活動に関する問題」など、学校生活を巡る問題が不登校のきっかけとなった子どもたちが多い一方で、「不安感」「生活の乱れ」「家庭の状況」などを挙げる子どももいることから、不登校の理由が複雑化していることが分かります。
不登校の理由は子どもによってそれぞれ。「友人関係」「勉強が分からない」「先生との関係」「クラブ活動に関する問題」など、学校生活を巡る問題が不登校のきっかけとなった子どもたちが多い一方で、「不安感」「生活の乱れ」「家庭の状況」などを挙げる子どももいることから、不登校の理由が複雑化していることが分かります。
その中で、教育支援センターに登録している児童・生徒の傾向としては、不安など情緒的混乱で「学校に行きたくても行けないタイプ」、人間関係がうまく築けない「人間関係によるタイプ」が多くなっています。
また、不登校の子どものなかに、発達障害がある児童が増えているという指摘もあります。
特性のある子どもに対する理解は社会全体として進みつつあるものの、一般的な小学校や中学校では適切な指導や支援がまだまだ不十分なこともあります。そのため、それぞれが抱える課題を克服できず、友達関係がうまく築けなかったり、勉強についていけなくなったりなどの問題が生じ、不登校になってしまうケースが増えています。
特性のある子どもに対する理解は社会全体として進みつつあるものの、一般的な小学校や中学校では適切な指導や支援がまだまだ不十分なこともあります。そのため、それぞれが抱える課題を克服できず、友達関係がうまく築けなかったり、勉強についていけなくなったりなどの問題が生じ、不登校になってしまうケースが増えています。
このように、不登校の子どもたちにはさまざまな背景があるため、教育支援センターでの支援も個々にあわせた内容で実施され、学校復帰に限らないそれぞれにあったサポートの在り方が求められています。
利用スケジュールや具体的な指導内容は?
全国の教育支援センターは、終日で活動している施設がほとんどですが、なかには午前のみや午後のみで活動している教室もあるため、ホームページなどで確認が必要です。
1日の過ごし方は子どもにあわせて調整がされることが多いですが、基本的なスケジュールは決まっているところが多くあります。例えば東京都武蔵野市「チャレンジルーム」の場合、1日の流れは以下の通りです。
1日の過ごし方は子どもにあわせて調整がされることが多いですが、基本的なスケジュールは決まっているところが多くあります。例えば東京都武蔵野市「チャレンジルーム」の場合、1日の流れは以下の通りです。
9:15~朝の会・読書
9:30~個別学習 学習はそれぞれで進め困ったことがあったら相談員に声をかける
12:00~昼食
13:00~集団活動 スポーツ、調理など
14:15~掃除・帰りの会
14:45~帰宅
通室スケジュールも、個々にあわせて調整される場合が多いようです。少ない頻度から通い始めたり、午後から通室したり、体調にあわせて早退したりなど、職員と相談し、無理のないペースで通うことができます。
活動内容も施設によって異なりますが、学習支援、社会体験、自然体験、調理やスポーツなどが実施されており、季節行事を取り入れている施設もあります。
学習支援に関しては、ほとんどの施設で個別指導が行われており、授業形式の学習支援をしているのは30%未満となっています(平成29年度調査 ※)。決まったカリキュラムに沿って学習を進めるところと自習を主に行っているところがあり、教材は学校の教科書や持参した市販教材などが使用されます。
また多くの施設で子どもとの個別のカウンセリングを取り入れており、相談やカウンセリングが不登校の子どもたちのサポートに欠かせないものとなっていることが分かります。
同時に、保護者に対しての相談・カウンセリングも多くの施設で実施されています。子どもが不登校になったのは、自分の責任であると考える保護者も少なくないため、カウンセラーが話を聞きながら子どもへの対応のあり方を共に考えていくのです。必要に応じて家庭訪問が実施される場合もあります。施設によっては保護者会やグループカウンセリングなどがあり、同じ境遇の子どもを持つ保護者同士が話をすることで気持ちが楽になるなどの効果があったと話す保護者も多いといいます。保護者同士で互いの子どもへの対応について学び合う機会を提供している施設もあるようです。
学習支援に関しては、ほとんどの施設で個別指導が行われており、授業形式の学習支援をしているのは30%未満となっています(平成29年度調査 ※)。決まったカリキュラムに沿って学習を進めるところと自習を主に行っているところがあり、教材は学校の教科書や持参した市販教材などが使用されます。
また多くの施設で子どもとの個別のカウンセリングを取り入れており、相談やカウンセリングが不登校の子どもたちのサポートに欠かせないものとなっていることが分かります。
同時に、保護者に対しての相談・カウンセリングも多くの施設で実施されています。子どもが不登校になったのは、自分の責任であると考える保護者も少なくないため、カウンセラーが話を聞きながら子どもへの対応のあり方を共に考えていくのです。必要に応じて家庭訪問が実施される場合もあります。施設によっては保護者会やグループカウンセリングなどがあり、同じ境遇の子どもを持つ保護者同士が話をすることで気持ちが楽になるなどの効果があったと話す保護者も多いといいます。保護者同士で互いの子どもへの対応について学び合う機会を提供している施設もあるようです。
このほかにも、発達障害のある子どもに対しては、ソーシャルスキルトレーニングなどのプログラムを実施している教育支援センターもあります。障害の有無に関わらず、子ども一人ひとりの特性や興味関心に沿って、社会性や自信を高めるサポートをするのが教育支援センターの役割の一つです。