在籍する学校との連携も

教育支援センターに通う中でも、やはり在籍する学校のことは気になりますよね。支援についての連携はしてもらえるのでしょうか。

「教育支援センター整備指針(試案) 」の中では、教育支援センター(適応指導教室)と学校との連携について以下のように記されており、子どもの様子や支援の方向性、学習の成果などについての連携はもちろん、該当児童生徒が学校に復帰したあとも在籍校と連携して継続的なサポートを実施していくことが大切な役割の一つとなっています。
8 学校との連携
○ 指導員等は,不登校児童生徒の態様に応じ,その支援のため,在籍校との緊密な連携を行うものとする(定期的な連絡協議会,支援の進め方に関するコーディネート等の専門的な指導等)。
○ 指導員等は,不登校児童生徒の学校復帰後においても,必要に応じて在籍校との連携を図り,継続的に支援を行うことが望ましい。
○ 指導員等は,児童生徒の実情等の的確な見立て(アセスメント)にそった児童生徒の個々の回復状況を把握し,守秘義務に配慮した上で,本人,保護者の意向を確かめて在籍校に学習成果等を連絡するものとする。
○ 指導員等は,不登校に関し,学校に対する専門的な指導・助言・啓発を行う。
出典:https://www.mext.go.jp/content/1422155_005.pdf
文部科学省のデータによると、連携方法としては、定期的に文書にて情報共有を行っている施設が約90%となっています(平成29年度調査 ※)。文章でのやりとり以外にも、教育支援センターの職員が在籍校の校長や子どもの担任などと定期的に面談を行ったり、定期的に子どもの面会のために教育支援センターを訪問したりするケースもあります。また、該当の児童生徒の支援会議に教育支援センター職員と在籍校教職員が同席し、ともに支援の方向性を検討することも。

ほかにも、学校復帰を望む子どもに対しては、学校からの配布物やプリント教材を適応指導教室に届けたり、行事の案内の連絡をしてもらったりなど、少しずつ学校との接点を増やす関わりをする場合もあります。
参考:適応指導教室との連携 |東京都教育相談センター
https://e-sodan.metro.tokyo.lg.jp/pdf/doc/case03_61document.pdf
なお、教育支援センターに通うことで、文部科学省が定める「出席扱い等の要件」を満たす場合、在籍校での出欠席について「出席」扱いにすることができます。この点も教育支援センターへ通室する大きなメリットと言えるでしょう。教育支援センターに通う公立学校在籍の小学生のうち約90%に、在籍校での出席扱いとする措置が適用されています。(平成29年度調査 ※)
「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日 別紙  | 文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/1422155_001.pdf
参考:「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果 | 文部科学省
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/20/1416689_002.pdf

利用を検討するときには?対象となる条件や必要な手続きについて

利用の条件

教育支援センターの利用には、自治体ごとに対象者の条件が定められています。

例えば東京都目黒区の場合は、以下の通りです。
対象
区立小・中学校に在籍する長期欠席児童・生徒で、本人及び保護者が入級を希望し、在籍学校の校長が必要と認めるものです。
出典:https://www.city.meguro.tokyo.jp/kyoiku/gakko_kyoiku/support/emil.html
また、沖縄県宮古島市の場合は、以下のように入室判定基準が設けられています。
入室条件
本人に「まてぃだ教室」に通室する意思がある。
保護者が教室への送迎が充分に可能である。

入室判定基準
学校へ行く意思があるが行けない。
登校時になると、腹痛・頭痛・嘔吐・発熱などの身体症状を呈する。
家に閉じこもり、ほとんど外出しない。
対人的な接触を避ける傾向にある。
精神的な疾患ではない。
本人に「まてぃだ教室」に通室する意思がある。
出典:https://www.city.miyakojima.lg.jp/soshiki/kyouiku/kenkyu/oshirase/tekiou/
自治体によって異なる基準もありますが、大切にしたいのは「本人の意思を確認すること」です。不登校の子どもがいる場合、保護者や周囲の支援者が支援のステップを焦ってしまいがちですが、見学などを通して子ども自身が通いたいと思うか、通えそうかなど、気持ちを確認しておけるとよいでしょう。

利用までの流れ

教育支援センターに通うには、いくつかのステップを踏む必要があります。具体的な手続きは自治体によって異なりますが、代表的な流れを見てみましょう。市町村によって「教育支援センター」「教育相談センター」「学校サポート教室」など異なる名称で相談窓口が設置されていることがありますので、まずはお住まいの地域の相談窓口を確認してください。

代表的な手続きは以下の通りです。

1.「教育支援センター」などへ面談を申し込む
本人、保護者、そして学籍のある学校の考えが考慮されます。

2.保護者が「入室願書」を記入・提出する
保護者が「入室願書」を記入し、在籍学校長へ提出します。

3. 在籍学校長が「入室申込書」を作成・提出する
保護者から提出された「入室願書」を元に校長が「入室申込書」を作成し、「教育支援センター」に提出します。

4.「入室決定通知書」が送付される
「教育支援センター」から学校と保護者へ「入室許可通知書」が送付されます。

通室が決定したら、職員と本人や保護者が相談しながら、通室スケジュールや取り組む内容などを決定していきます。個別の支援計画を作成し、支援内容などについて利用継続の必要性などについて定期的な検討を行う施設もあります。

不登校の子どもが利用する「フリースクール」とはどう違う?

不登校の子どもが利用する施設として「フリースクール」の名前を聞いたことがある方も多いと思います。教育支援センターとフリースクールはどう違うのでしょうか。

教育支援センターは公的な機関ですが、フリースクールは個人や民間企業、NPO法人等の団体が運営しています。そのためフリースクールの場合、支援の方針やカリキュラム等は運営団体によって異なります。また、公的な機関である教育支援センターは利用に費用が発生しないのに対し、フリースクールは各施設ごとにかかる費用が異なります。身近に教育支援センターもフリースクールも両方ある場合には、見学などを通して支援内容、費用、施設の雰囲気等を確認して検討できるとよいですね。

なお、フリースクールへ通う場合に出席扱いとされるかどうかは校長による判断となるため、相談しておく必要があります。
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