「態度が悪い」「扱いにくい」…でも、注意すると逆効果…!?幼稚園での経験から

2021/05/06 更新
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何度叱っても同じことを繰り返すわが子、もしかして大人の気を引くためにわざとやっているのかもしれません。

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幼稚園での出来事

私は長年、幼稚園の課外教室の講師として3歳から6歳までの子どもたちを対象に指導をしてきたのですが、注意すればするほど、態度がますますひどくなる子がいました。
子どもたちを指導する著者
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注意すればするほど態度が悪くなる理由は?

幼稚園の課外教室の講師をしていたときのことです。子どもたちの中に、注意すればするほど態度が悪くなっていってしまうお子さんがいました。

そこで、園側に相談を持ち掛けました。すると、園側から「○○君のご家庭は下の子が生まれたばかりです。お母さまも○○君が家でお漏らしをしたり、哺乳瓶を欲しがったりするなどの赤ちゃん返りに困っていて、叱ってばかりになってしまっているようです」のお答えでした。

そう言われてみると、思いあたることがありました。私が他の子に関わっているときに限って、その子が椅子を倒したり、鉛筆を投げたり、友達に唾や鼻くそを付けたりしているのではないか…。

行動の目的

その子には目的があったのです。家で赤ちゃん返りして、母親の気を引こうとするのと同様に、教室でも、講師である私に対して「僕だけを見て見て~」という自己アピールの気持ちが強く、“カマッテちゃん”になっていたのだとわかりました。

家庭で母親が赤ちゃんに関わるのを邪魔しようとするのと同様、園では私が他の子に関わっているのが面白くなく、自分のところに私を呼び寄せるためにこのような行動に出ていたのです。

私は教室全体の中での評価しかしておらず、「彼は他の子に比べて態度が悪く、扱いにくい子」と感じていて、静かに座っている瞬間があっても、それについては無言でいました。そして、何か適切でない行為をしたときだけ注意したり、叱ったりしていました。

そこでその子は「僕はどんなに努力しても他の子と同じようないい子ではいられないし、ちょっと頑張っても先生は気付いてくれない。だったら、悪い行動をした方が先生は気付いて、僕にかまってくれる」と考えたようです。つまり、遠い道のりである「100点を取る」ことではなく、「0点を取る」方が手っ取り早いことを誤学習させていました。

褒める視点を変えた

そこで私は態度や集中力や学力にスポットを当てずに…

・雨の日でも休まず教室に来ていること
・トイレに行った後、手を洗っていること
・風呂に毎日入っていること
・髪の毛がグチャグチャになっていないこと

を褒めるようにしました。筆箱やノートなどの忘れ物をしても、そのことには触れず、「教室にやってきた」ことだけを褒めましたすると、あれだけ叱っても態度が改善しなかったのに、次第に困った行動がなくなっていきました。

認める言葉

人は“認めてもらいたい生き物”なのだと思います。「自分の存在価値を認識したい」「褒めてもらいたい」という承認欲求があるからです。しかし、どんなに頑張っても誰からも注目されないと、今度は叱られることや注意されることで存在をアピールしようとすることがあります。

行動主義心理学に「 “正の行動”を強化する」という考え方があります。困った行動をしたときに叱るのではなく、適切な行動ができているときに認めて強化するというものです。

例えば、「立ち歩く」「騒ぐ」など学習態度が悪くても可能な限り無視します。そして、「一瞬でも座っていることができた」「騒がないで静かにしていた」のならば“正の行動”として認めることで強化します。そうすると、次第に負の行動が減っていくというものです。

家庭での適切な行動は特別なことである必要はありません。食後に自分で食器を下げた、親に言われなくても手洗い、うがいをしたことでよいのです。

それも「偉いね」「お利口だね」という通り一遍の社交辞令的な褒め方ではなく、「手を洗っているね」「椅子に座っているね」「食器さげてくれて助かるわ」等の言葉、つまり「あなたのことをいつも見ていてるのよ」という言葉がけが大切なのではないでしょうか。そうすればおのずと、適切な行動が増えていくと感じています。

このコラムの親子がモデルの本

発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年
松永正訓
中央公論新社

このコラムを書いた人の著書

子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方
立石美津子
すばる舎
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