褒める視点を変えた

そこで私は態度や集中力や学力にスポットを当てずに…

・雨の日でも休まず教室に来ていること
・トイレに行った後、手を洗っていること
・風呂に毎日入っていること
・髪の毛がグチャグチャになっていないこと

を褒めるようにしました。筆箱やノートなどの忘れ物をしても、そのことには触れず、「教室にやってきた」ことだけを褒めましたすると、あれだけ叱っても態度が改善しなかったのに、次第に困った行動がなくなっていきました。

認める言葉

人は“認めてもらいたい生き物”なのだと思います。「自分の存在価値を認識したい」「褒めてもらいたい」という承認欲求があるからです。しかし、どんなに頑張っても誰からも注目されないと、今度は叱られることや注意されることで存在をアピールしようとすることがあります。

行動主義心理学に「 “正の行動”を強化する」という考え方があります。困った行動をしたときに叱るのではなく、適切な行動ができているときに認めて強化するというものです。

例えば、「立ち歩く」「騒ぐ」など学習態度が悪くても可能な限り無視します。そして、「一瞬でも座っていることができた」「騒がないで静かにしていた」のならば“正の行動”として認めることで強化します。そうすると、次第に負の行動が減っていくというものです。

家庭での適切な行動は特別なことである必要はありません。食後に自分で食器を下げた、親に言われなくても手洗い、うがいをしたことでよいのです。

それも「偉いね」「お利口だね」という通り一遍の社交辞令的な褒め方ではなく、「手を洗っているね」「椅子に座っているね」「食器さげてくれて助かるわ」等の言葉、つまり「あなたのことをいつも見ていてるのよ」という言葉がけが大切なのではないでしょうか。そうすればおのずと、適切な行動が増えていくと感じています。

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