集団行動はムリ、ことばも遅いけれど。幼稚園での「クレヨン」事件が、自閉症ハルの成長を喜べるきっかけに

ライター:beth(ベス)
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ハルは現在11歳。多動を伴う発達障害、自閉症スペクトラム(知的障害あり)と診断されています。今回は、幼稚園のときの『ちょっと不思議な出来事』について書いてみたいと思います。

初めての幼稚園生活

初めての幼稚園生活。

といっても、幼稚園で何一つ活動に参加せず、それを「幼稚園生活」と呼んでいいかわからなかったです。
とりあえずは登園時間に登園し、木の上からみんなの活動を見守る任務を果たす日々を送り、降園してくる状態だったので…

それでもそれを見守ってくださる加配の先生。
そんな毎日も、そのことがとってもありがたかったです。

なぜならショッピングモールやファミレスでは、肩身の狭い思いをしてばかりで足が遠のいたし、公園ではひとつの場所にじっとしておらず、移動しすぎて公園常連の子たちに認識されていませんでした。
さながら忍者でした(笑)
じっとしていないので、公園常連の子たちに認識されていなかったであろうハル
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そんな毎日のなかで、幼稚園では加配の先生や担任の先生、他クラスの先生、園長先生が気にかけてくれて、存在そのままを受け入れてくれていることを肌で感じました。

そんなある日、ちょっとだけ不思議なことがありました。

お迎えに行くと、担任の先生が興奮気味にかけよってきました。
「今日ハルくん、すごかったんですよ!」

ちょっと不思議なクレヨン事件

わたしは先生のリアクションを見て、『えっ!ハル、ついに自分のクラスに入ってみんなとの活動に参加できたとか!?』と思いました。
でも聞いてみると…ちょっと予想とはジャンルの違うお話でした。

クレヨンが大好きなハル。
クレヨンで絵を描くのではなく、クレヨンそのものが好きなのでした。

幼稚園に着くと、木に登る前に、クレヨンの箱を開けるのが日課だったそうです。
等間隔に並んだその色とりどりのクレヨンたちを眺めたり、中身を確認しては、ふぅ…と満足げにまたしまっていたそうなのです。

ところがこの日は、朝からクレヨンがない!
先生たちはハルのお道具箱を一目見て、気がついたそうです。


周りの子に聞いてもわからない。ハルに聞いても、もちろん答えないのでわからない。
ハルは当時、「なくて困った」とか、「なくしちゃった」とか言えませんでした。

先生たちは、「ハルくんは顔にはでないけれど、さぞ困っているだろう…」と心配し、必死に探してくれたそうです。 
ハルのほかの持ち物も、ほかの子のロッカーも、そのほか、教室中。

みんながクレヨン探ししてくれている中、ハルは…

ないない、と探してくれる先生がふと後ろを見ると、ハルが立っていたそうです。

普段なら木に登りに行きもう教室にはいない時間なのに。
めったに近い距離に自分から来ないのに。

ハルのその手には…
自分のクレヨンを持っていたそうです…!(笑)
クレヨンを手に、「ここだよ」と先生に言うハル
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先生たちは「あれえええ!?」となって、「ハルくんクレヨンあったのね!?どこにあった??」
「先生たちが探してて困ってたから、持ってきてくれたの!?」と口々にいったそうです。

するとハルはひとこと…「ここだよ」と言ったそうです。

それを聞いて、わたしもびっくりしました。
にわかに信じられなかったです。

えっ。ハル…、誰かがものを探してる様子を見て、何を探してるか理解できるんだ…
それで自分である場所がわかってて、持ってきたりするんだ…

そして、そしてさらに、「ここだよ」と自分から言った?????

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