トイレトレーニングはいつから始める?準備や進め方のコツ、発達障害がある子のトイトレについても解説【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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「よそのお友だちのトイトレの話を聞くとあせってしまう」「幼稚園入園前におむつ卒業していないと怒られると聞いた」など、トイレトレーニングに焦りや不安を持っているママ・パパも多いよう。トイレトレーニングのはじめどきやスムーズな進め方、発達障害のある子のトイレトレーニングのポイントを解説します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

トイレトレーニングはいつから?

生まれたての赤ちゃんは膀胱が小さく、おしっこを溜めておくことができません。赤ちゃんは意思とは無関係に反射的におしっこをしていて、回数も頻回!1日に10数回もおむつ交換をしていたことを、懐かしく思い出すママ、パパも多いでしょう。
1歳半ごろになると膀胱も成長し、排尿の間隔があいてきます。また、脳の神経伝達も発達するため、おしっこが溜まる感覚もわかるようになってきます。

トイレトレーニングには、こうした体と心の準備が不可欠です。親が主導して「今日からトイトレ」と始めるべきものではなく、子どもの「準備OK」のサインをキャッチしてからスタートするもの、と心に留めておきましょう。

トイレトレーニングを始める3つの目安とは?

トイレトレーニングの始めどきに迷ったら、次の3つを参考にしてください。

「おしっこの間隔が一定時間あいている」
膀胱が発達し、一定時間尿を貯めておく機能が発達してくると、だんだんとおしっことおしっこの間隔があくようになってきます。2時間以上あけば、トイレトレーニングの始めどきです。おしっこの間隔は、おむつを交換してから“おしっこライン”が出るまでの時間をチェックしたり、おしっこの前やおしっこ中にモゾモゾしたりなど、表情の変化や仕草がないかを見るとわかりやすいでしょう。

「ひとりで歩ける」
ひとりで歩ける程度の運動発達段階となっていることが一つの目安です。
※身体障害などがある場合はこの限りではありません。

「コミュニケーションの理解が進んでいる」
トイレトレーニングには、大人からの「おしっこ、出る?」「トイレに行こうか?」といった呼びかけや、絵カードなどでの指示などを理解する力が必要です。
※発語がない、少ない場合でも指示の理解が一定できればスタートの目安となります。

トイレトレーニングを始める前に準備しておきたいこと

子どもの体と心の準備が整うことはもちろん、親の側もトイレトレーニングについて予習をし、準備をしておくことが大切です。

おむつ替えのときに「おしっこ出たね」「おむつを替えると気持ちいいね」など声をかけることも、トイレトレーニングのための大事な準備。赤ちゃん時代からこうした声がけを意識するといいでしょう。おむつが濡れた感覚や、おしっこが出る前後の感覚をつかむ手助けになります。

また、おしっこのときにもじもじしたり、落ち着きがなくなったり、おむつを触ったりするなどの決まった仕草をしているようであれば、おしっこの“サイン”として覚えておきましょう。タイミングよくトイレに誘うことは、トイレトレーニングの成功の鍵。「トイレでおしっこができた!」という成功体験を積み重ねることが、子どもの自信につながります。

そろそろトイレトレーニングを初めてもいい、というサインをキャッチしたら、ママやパパ、きょうだいがトイレに行く様子を見せることもおすすめ。子どもは、大好きなママやパパ、おにいちゃん、おねえちゃんの真似をしたがるものです。トイレでおしっこをする様子を見せることで、「自分も!」という意欲が高まります。
おまるでトレーニングをする予定なら、少し前から部屋に置いて、慣らしておくといいでしょう。

トイレの環境を見直すことも、トイレトレーニングをスムーズに進めるための重要なポイントです。暗くて狭いトイレをこわがったり、場所見知りをしてしまうケースは少なくありません。子どもが好きなキャラクターのポスターや、トイレでおしっこができたらシールを貼れるカレンダーを貼るなど、親子で楽しくトレーニングができる演出を心がけましょう。トイレやうんち、おしっこをテーマにした絵本を読み聞かせるのもおすすめです。トイレでおしっこやうんちができると、気持ちいい、すっきりする、というプラスのイメージを持てると、子どものやる気も高まります。

また、寒い時期を避け、気候が良い季節から開始するほうがよいでしょう。

トイレトレーニングの上手な進め方は?

トイレトレーニングは、まずは回数が多いおしっこから進めるのがよいでしょう。トイレでおしっこができるようになると、リズムがわかりやすいうんちのトレーニングも進めやすくなります。

おしっこのトイレトレーニングは、4つのステップを踏んで進めていきます。

Step1・おしっこが出そうなときにおまる・トイレに誘う

朝起きたとき、食事のあと、お昼寝の前後などにおむつをチェックしてみましょう。まだおしっこが出ていなければ、「トイレに行ってみよう」「おしっこ出るかな?」と、誘います。
補助便座やおまるに座ると、偶然にでもおしっこが出ることがあります。おしっこができたら、「気持ちいいね!」「おしっこできたね」と声をかけ、排尿の感覚を学ばせましょう。

Step2・おまるやトイレでおしっこする回数を増やす

おまるやトイレでの排尿に一度でも成功したら、だんだんとトイレに誘う回数を増やしていきましょう。もちろん、失敗することもたくさんあると思います。失敗を叱ると、子どもはトイレやおしっこに対して恐怖心やマイナスな気持ちを抱いてしまいます。失敗は当然とおおらかに構え、うまくいったときにたっぷりほめることを心がけましょう。

Step3・おむつをはずし、トレーニングパンツや布パンツに

トイレやおまるでおしっこをすることに慣れてきたら、日中は紙おむつを卒業し、トレーニングパンツや布パンツにステップアップしましょう。おもらしをしてしまうこともありますが、それも子どもにとっては大切な学びです。失敗したときでも叱らないようにしましょう。濡れると気持ち悪いことを体感することで、だんだんとおしっこの前にトイレに行く習慣が身につきます。

Step4・自分からおしっこと言ってくれるのを待つ

トイレトレーニングの最終仕上げは、子どもが自分から「トイレに行く」という意思表示をするのを待つことです。これまではママ、パパが「そろそろおしっこじゃない?」「トイレに行こうね」と誘っていましたが、先回りして誘うのはストップ。子どもから「おしっこ」と教えてくれるのを待ってみます(必ずしも言葉による意思表示である必要はありません)。おしっこが出る前にトイレに行きたがり、便器で排尿ができたら、おしっこのトイレトレーニングは完了です。

※ステップは子どもの困難性の種類や態度によって異なります。上記は一例であり、発達が気になる子どもの場合はよりスモールステップにするほうがいいでしょう。たとえば、感覚鈍麻があったり、失敗に過度に反応してしまう場合や、こだわりの強いタイプには、よりスモールステップで少しずつ進めましょう。
次ページ「成功のコツは「のんびり見守る」」

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