小6ADHD息子の初めての歯医者はうまくいく? 医者嫌いの息子に、母の苦労は絶えなくて

ライター:かなしろにゃんこ。
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息子のリュウ太は、人一倍病院が苦手。治療の恐怖に耐えられず、大人が2人がかりで押さえていないといけないほど泣きわめきます。予防接種では、暴れすぎて受けられないこともありました。
そんな息子が、歯科に行くことになっちゃったから母は心配です。歯科で大暴れは勘弁してよ~。

監修者井上雅彦のアイコン
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

うちのADHDとASDがある息子リュウ太は医者が大の苦手!

大人が2人で押さえていないと注射ができないリュウ太
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うちのADHDとASDがある息子リュウ太は、病院が大の苦手!
予防接種のときは暴れてしまい、大人が2人で押さえていないと注射ができません。
押さえると「ヤダーーーー!ヤダーーー」と診察室でも大きな声で叫び出してしまいます。

そんな息子の様子を見たお医者さんに「この子は根性がない、お母さんが甘やかすからだ」と叱られたこともあります。
私は心の中で(甘やかしてないっつーーーーの!! 恐怖心が人一倍強いだけだっつーーーーーの!!)と思いつつも、息子のパニックで困ってしまうことがたびたびありました。

だから予防接種は、毎回気合いを入れて行きます。しかし息子のメンタルが崩れているときは、泣き叫んで暴れまくって受けられないこともあるので、いつも『受けられなくてもまた次に挑戦すればいいんだ』と言う寛容な心を持つことも大切にしています。
暴れすぎて予防接種が受けられないことも…
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治療に対して何をされるのかわからない恐怖は誰にでもありますが、息子のリュウ太の場合は、治療の恐怖に立ち向かおうとするとお腹が痛くなったり、ガチガチに固まってしまうほど。

(こんな子が虫歯になったら歯科の治療を嫌がって大変なことになりそうだわ…)と未来予測をしていた私は、息子の歯を毎晩きちんと磨くことにしていたのです。
どの家庭にもある光景かもしれませんが、歯磨きを嫌がる息子の四肢の動きを母の足で封じて歯磨きの仕上げを行ったり、歯磨きせずに寝てしまわないように声をかけて促したりと、いろいろと注意をしてきました。
丁寧に仕上げ磨きをする母と歯磨きを嫌がるリュウ太
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小6の歯科検診で虫歯判定が出てしまう
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それなのに…歯医者に引っ張って行かなければならないときが来るなんて…。
それは、リュウ太が小学校6年生のとき。学校で行われる歯科検査で奥歯に虫歯判定が出てしまいました。

そのころPTA活動をしていた私は、同じくPTA活動をしているママ友からリュウ太との関係をたびたび心配されていました。
ママ友に質問攻めにされる母
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発達障害のあるリュウ太は、座って授業が受けられない子として有名でした。

リュウ太の特性をよく理解していなかった同学年の保護者からは『ほったらかしで育てられているから落ち着きがなく授業を受けられない子』なんだと思われていたようで、PTAで知り合ったママ友には「リュウ太くんって虫歯大丈夫?ちゃんと治療してるの?歯磨ききちんとしてる?」とか「仕事ばかりしていないできちんと子どもの話聞いてあげないとダメだよ」と質問のような、変な心配をされました。

そのママ友とはそんなに仲良くないので子育ての相談をしたことはなく、わが家のことは何も知らないはずなのですが、なぜかわが家が子どもをほったらかしにしている前提で話をされました。
息子の虫歯の治療をしようと思う母
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このような質問をされると一番困ります。「心配しているのよ!」という形はとっているものの、わが家の実態を聞き出そうとしていることが分かるからです。

『うちの子、虫歯はないですよ』『仕事ばかりしてないですよ』と私が答えると、そのママ友が期待していた返答ではなかったのか質問攻めから引き下がってくれましたが、私はそのママ友が人の家庭の不幸ネタを探しをしているように感じてしまい、とてもイヤな気分になりました。
うちが子どもをほったらかしにしている家庭だと思われていたのも悲しいものがありました。

そんなとき、歯科検査で虫歯判定が…。「虫歯ないです!」とそのママ友に言った手前、「1本だけ奥歯にありました!」と言うのも悔しいので、意を決して虫歯の治療することにしました。

まずは、初めての歯科診療をモーレツに嫌がる息子の説得するところからスタートです。息子が「歯医者に行くくらいなら虫歯になってもいい」と主張してくるので大変です。説得は数分では終わらず、なんと3日間もかかりました。
普段の会話では、息子のほうがしつこいのですが、このことはあと回しにしないほうが良いと考えて、私はしつこさ覚悟で短期間で連続で説得を行いました。(母の本音は『あーめんどーい、はぁ~しんどーい』)
初めての歯科診察をしてもらうリュウ太
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リュウ太には虫歯が小さいうちなら治療は痛くないことを伝えて安心させ、小学校6年生が歯科で暴れたら恥ずかしいことも伝えました。
説得の末、イヤイヤですが歯科に行くことができて、治療台に乗ることもできました。ガチガチに緊張してお腹が痛くなっていましたが、小学校6年生ともなると理屈が通じるため、わりとすんなり医師の指示にも従ってくれました。

そして、歯を削ることもなく治療はすぐに終了。なんと虫歯ゼロで学校の歯科検診は誤診だったことが分かりました。
息子が暴れることなく診察できたことで、私はホッと胸をなでおろしました。(喜)

リュウ太本人も歯にドリルをあてられなくてホッとしたようでしたが、初めての歯科診察に緊張したのか帰宅後は腹痛でトイレに直行。(弱っ)
とは言え、今まで病院の治療のとき大暴れだった息子がわりと落ち着いて診察できました。さすが小学校6年生のオニイサンです。
そのあと息子は初めて行った歯科の治療ベッド周辺を「なんかアニメに出てくる操縦する場所みたいでかっこよかった」と述べておりまして、(そんなこと言えるなんて余裕じゃん!?)と母は思いました。
緊張しすぎてトイレに直行するリュウ太
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それからもリュウ太は朝と夜の歯磨きをきちんと続けていたのですが、10代後半になり、夜に外出するようになってからは就寝前の歯磨きができていないこともあるようで…今後が心配です。

しかし息子も大人になったので、そこはもう自己責任です。大事に磨いてきた歯、何物にも代えがたい価値があると思います。「これから先も一生歯を大事にしていって欲しい」と母は願うのでした。

執筆/かなしろにゃんこ。
(監修:井上先生より)
周囲の先輩ママからのプレッシャーとお子さんのお医者さん嫌いでとても苦労された時期だったと思います。
医療受診に不安の高いお子さんの場合、『心理的プレパレーション』と言ってこれから行う治療の目的や手順を絵カードや写真カードや人形を使って事前に説明したり、実際の治療の場でもカードや人形を見せながら行ってもらうなどの支援があります。
実施している現場は限られていますが、親御さんと医者が協力して自作することもできますので、相談してみても良いかもしれません。

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