感覚過敏?子どもの行動が気になったら。感覚の過敏さや鈍感さがある子どもへの3つの対応ーーマンガで学ぶ感覚過敏【専門家監修】

ライター:マンガで分かる発達障害のキホン
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マンガで学ぶ感覚過敏。今回は子どもの行動が気になる場合と対処方法について説明します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

もしかして感覚過敏?子どもの行動が気になる場合と対処方法

子どもの感覚過敏が気になったときは、まず子どもの行動をよく観察し、前後の状況や行動の背景を把握することが重要です。感覚過敏、感覚の鈍感さがある子どもへの3パターンの対応方法(1. 嫌悪刺激を取り除く、2. ルールを決める、3. 前もって伝える)についてご紹介します。
「もしかして感覚過敏かも?」と気になったときにはまず子どもの行動をよく観察し、対応方法を考えましょう。(監修:鳥取大学教授、専門行動療法士、自閉症支援士エキスパート、公認心理師 井上雅彦先生 )
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感覚過敏や感覚鈍麻がある子どもへの対応方法、1. 嫌悪刺激を取り除く、もしくは別の刺激に変える。例:運動会で使うピストルをホイッスルに変更する。(監修:鳥取大学教授、専門行動療法士、自閉症支援士エキスパート、公認心理師 井上雅彦先生 )
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感覚過敏、感覚鈍麻のある子どもへの対応方法、2. 外出時など、ルールを決めておく。例:イヤーマフやサングラスを使用するなど。(監修:鳥取大学教授、専門行動療法士、自閉症支援士エキスパート、公認心理師 井上雅彦先生 )
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感覚過敏、感覚鈍麻のある子どもへの対応方法、3. 前もって伝えておく。例:体に触れる前に、背中さわるよ、などと声をかける。(監修:鳥取大学教授、専門行動療法士、自閉症支援士エキスパート、公認心理師 井上雅彦先生 )
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感覚過敏、感覚鈍麻のある子どもへは、まずは全体の環境を調整してあげることが大切です。それが難しい場合には個別的に防衛や工夫が必要です。予測やルール化を行い、場面によって使い分けるのが良いでしょう。(監修:鳥取大学教授、専門行動療法士、自閉症支援士エキスパート、公認心理師 井上雅彦先生 )
イラスト/かなしろにゃんこ。
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子どもの行動が気になったときには、まず子どもの行動をよく観察してみましょう。

観察するときは、特定の気になる行動が起こったときに、「どのような状況だったのか(時間、場所、その場にいた人、出来事)」と、「その行動に対してどうしたのか、その結果どうなったのか」という前後の状況を記入しておきます。そうすることで子どもの困りごとやその行動がどこからきているのか把握するための手立てとなります。

また、行動をするときにはその背後に何らかの理由があります。子どもが気になる行動をとったときには、その行動がどのような刺激や、どのような理由によって引き起こされているのかを知ることが必要です。つまり、子どもがどのような種類、強さの刺激に対して過敏なのか、嫌悪感を感じているのか、受け取りにくいのかを周囲の大人が知っておくことが大事です。

子どもの感覚の偏りを知ることによって、日々の子育てに役立てることができたり、幼稚園や保育園、学校の先生に具体的なサポートをお願いしたりすることができます。

また、子どもの感覚の特性を把握するために、保護者が簡単に利用できる感覚のチェックリストもあります。このようなチェックリストを参照することで、気をつけておくべき子どもの行動特徴を知ることができます。

判断がつかず心配な場合には、病院の小児科や、地域の子育て支援センターを訪れ、専門家に相談してみましょう。

感覚過敏、感覚の鈍感さがある子どもへの3つの対応方法

上で述べたように、お子さんの様子を注意深く見て、困りごとを発見することで、子どもの困りごとに対する適切な対処方法を考えることができます。感覚に過剰な偏りのある子どもの困りごとを軽減させるためには環境を整える方法と、個人にアプローチする方法があります。

感覚の偏りは、刺激に対して過剰に反応する、または感覚に対する反応が鈍いというあくまで「状態」であり、病気とは異なります。医師の間でもその定義はあいまいで、処方箋や治療方法は確立されていないのが現状です。ここでは、感覚に偏りのある子どもの苦痛や困りごとを軽減するための方法についてお伝えします。

1.嫌悪刺激を取り除く・別の刺激に変える

感覚に過敏である場合

子どもの感覚過敏を理解する上で重要なことは、「無理に刺激に慣れさせることは逆効果である」ということです。感覚過敏自体は、訓練や練習で急激に改善することは難しい場合もありますが、時間の経過や子どもの発達とともにある程度緩和されていくことがあります。刺激に嫌な経験が結びつくと、さらに刺激に対して嫌悪感を強めるようになります。無理に刺激を受けることを強要せず、軽減する方法を考えます。

運動会やお祭りといった行事など、いつもと異なる環境で強い刺激が想定される場合
・一部のみの参加にする
・ピストルの音を子どもが受け入れることができる音(ホイッスルなど)にしてもらう
など刺激を軽減してもらうことも検討する

感覚の鈍感さがある場合(低登録・感覚鈍麻)

触覚が鈍い子どもは、自分の感じることのできる刺激を過剰に求める「感覚探求」と呼ばれる行動をとる場合があります。例えば、なんでも触って回る、絶えず洋服を触っている、など落ち着きがなかったり、周りの人にべたべたして距離が近いなどの行動が例として挙げられます。

このような落ち着きのない行動がみられる背後には、本人の脳に必要な感覚が十分満たされていないことがあるのではないかと考えられています。本人の感覚への欲求を満たせるような遊びや課題を提供してあげるのがよいでしょう。例えば、タオルや人形など、別の触っても構わないものを渡すことで、それらの感覚要求は満たされることもあります。その結果、子どもは落ち着きのない行動をとる必要がなくなり、安心してじっとして居ることが可能となります。
また、痛みに対して鈍感なお子さんの場合には自ら訴えることが難しいので、共通理解や対応が必要です。
次ページ「2.ルールを決めておく」

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