生理で卒倒、空腹で低血糖…厳しい校則に苦しんだ中高時代の体調不良。「健康的に学びたかった」ASDの私が今思うこと

2022/01/13 更新
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もともとASDによる感覚過敏や体温調節の苦手がある私。中学生ぐらいになると、二次障害が出てくると同時に第二次性徴の時期となり、体調の不安定な日が増えていきました。今回は当時の苦労と、どんな環境だったらもっと楽に過ごせたかについてお伝えします。

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宇樹義子
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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、大学院修了後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

天候の変化で片頭痛、眠気やだるさ

生理が来るようになると、天気の悪い日にはときどき片頭痛が出るようになりました。片頭痛が出ない日でも、天気が悪いと眠気やだるさに拍車がかかる。身体が砂袋のように重たく感じられました。

発達障害と片頭痛の明確な関連はわかっていないようですが、片頭痛の一つの原因として脳の過敏があげられているので、私に発達障害があることと片頭痛持ちであることにはなんらかの関連があるかもしれないと個人的には思っています。

冬の時期の冷えのぼせと感覚過敏

私にはもともと体温調節が苦手で、暑さ寒さに敏感なところがありました。中学高校は通学にトータルで片道2時間近くかかる私立一貫校に通っていて、慢性的に過労状態だったことから、今思えば自律神経の状態はガタガタでした。それで、ひどい冷えのぼせが起きていたのです。

暖房のきいた室内で上半身は暑くてしょうがなく、顔は真っ赤で、みんなセーターを着ている中ひとりでブラウス1枚になって腕まくり。襟のボタンも開けて下敷きで顔を扇いでいました。許されるものなら下着一枚になっていたことでしょう。暑くてたまらないのに汗がうまく出ない。こんなとき、下半身は触っても感覚がないほど冷たくなっていました。

「まだ思春期なのにもう更年期みたいな感じだな」と思っていた当時。私の発達障害に気づいている人は私も含め誰一人いなかったので、ただひたすらに耐えるばかりでした。

制服の冬服はウールを使った比較的高価なものでしたが、私の感覚過敏の症状からすると耐え難く、セーターもスカートもコートの襟の部分もチクチクしました。コートはいい生地でできていましたが鎧を着ているように硬くて重く、着ているだけで疲労困憊してしまう。でもみんなが同じつらさに耐えているんだと思っていましたから、やはりこれもひたすらに我慢していました。

冷えのぼせと感覚過敏のつらさが重なって、通学電車で気持ち悪くなってしまうこともよくありました。

厳しすぎる校則で倒れそうなほど空腹

私の通っていた私立の中高一貫校は保守的なお嬢様校で、どうしてこんな校則が存在しているんだろうと首をかしげるような、厳しすぎる校則がたくさんありました。

昼食は保護者の手作りのお弁当でなければならない。買ってきた惣菜などはギリギリ認めるが、形だけでもお弁当箱に詰め替えなければいけない。お菓子などの持参はいっさい禁止で、早弁も禁止。結果として昼休みまで間食はダメ。ジュースなどの飲み物も禁止で、「水筒に入れたお茶」しか飲んではいけない。

朝6時ぐらいに朝食を済ませた、もともと自律神経系の不安定な成長期まっただなかの子どもが、昼の1時近くまでいっさいカロリーをとってはいけないわけです。

なんなら1時間目ぐらいから小腹がすいてきて、2時間目ぐらいからはひたすら空腹との戦い。4時間目ぐらいになるともう頭がもうろうとしてフラフラになり、呂律も回らなくなってきます。1分1秒を数えるようにしてお弁当にありつき、あっという間にかっこんでからしばらく机に突っ伏して、15分ぐらいすると頭がはっきりしてくる…

いま思えば、空腹すぎて頭がぼうっとするとか舌がまわらないなどといった症状が出ていたのは、いわゆる低血糖という状態になっていたのでしょう。

あまりの生理痛のためトイレで卒倒

私はもともと生理痛が重いタイプでしたが、徐々に痛みでいつものような活動がままならない状態になりました。出血量の多い日などは強い痛みと下痢で(痛み物質が大量に放出されると下痢が起こるそうです)トイレに籠もり、悪心と脂汗の中でしばらく気を失ってしまうことがありました。

慢性的に自律神経の状態が悪かったのに加え、冬場はスカートに薄いハイソックスかデニール数の指定されたストッキングしか許されず、冷えがひどかったのも生理痛が強くなったひとつの原因だったのではと思います。

のちのち、生理時のトイレでの卒倒は迷走神経反射といって、あまりに強い痛みのために身体がショック状態のようになって失神するものらしいとわかりました。

30歳を過ぎてからようやく信頼できる婦人科医に出会い、子宮内膜症の可能性を指摘されて低用量ピルで治療して劇的によくなりましたが(※)、当時は周囲の大人がみんな「生理痛は自然現象なんだから我慢するもの。痛み止めも癖になるからよくない」という考え方だったため、私もひたすら我慢していました…

※毎回痛み止めが必要だったりと、生理のときに生活に支障があるほどの症状がある場合は婦人科系疾患の可能性があります。この場合は病院での治療対象なので、我慢せず病院に行くことをおすすめします。ひどい生理痛を起こすひとつの原因である子宮内膜症は、放置すると命に関わることもあるそうです。

特性が判明していたら… 健康を最優先に考えてくれていたら…

今になって思うのは、当時自分の発達障害が判明していたら… 生徒の健康を最優先に考えてくれる校則であったら… ということです。

厳しい校則には学校側の生徒管理の負担を軽減する役割があることも理解できますが、校則に従わせることが生徒の健康に悪影響を及ぼすのであれば、学校側が校則を見直したり、合理的配慮をしたりしてしかるべきです。

例えば、手作りのお弁当や水筒に詰めたお茶しか持ってきてはいけないという校則には、生徒間で競争が起きてはいけない、食べ物や飲み物を買うために生徒が寄り道(これも校則違反)することになってはいけない、という事情もあったようです。

それなら、校内に商品の値段を揃えた菓子パンやジュースを売る自販機を設置して、一定の緩めのルールのもと使わせる、といったような形にしてもよかっただろうと思います。
(書きながら、そういえば私が高校の後半になってようやくジュースの自販機が設置されたことを思い出しました)

制服もやはり、特定の生徒に合理的配慮として指定外のものを許可するとか、そもそも指定自体を大幅に緩めるとかしてほしかった。思い返すと、足に疾患がありスニーカーで通学する特例を認めてもらっている生徒はいました。最近は制服のバリエーションとしてスラックスを作る学校も出てきていますが、すごく羨ましいです。

ルールも大切だけれど、健康的な生活がまず守られるべき

教育の中で子どもに校則を守らせることの中には、彼らが社会に出たときに一定のルールを守れる人になれるよう鍛える意味もあるでしょう。けれど個人的には、これほど社会全体が多様化・不安定化している中で、「画一的なルールを守れる」ということ以上に、大事な成長期の健康のほうが大切なのではないかと感じます。

進学する学校選びの際、その学校が生徒の健康を重視した柔軟な校則運用をしているかどうかを確認することは、学校選びの際のひとつの大事なポイントだなと思います。

文/宇樹義子
(監修・初川先生より)

季節による不調、生理による不調を細やかにお伝えいただきありがとうございます。まさにそういう不調真っただ中にいる子どもたちはまだそれを言語化できないことも多く、こうした発信を読むことで、「そうそう、それそれ」と思うでしょうし、保護者からしたら、「もしかしてうちの子もこんな不調を?」と思う視点を得ることができます。

さて、学校はこれまで、「管理」することで不都合や不平等を無くそうとしてきたのだろうということは校則や制服をめぐるいろいろを見ていると感じるところです。そして、体調管理は子ども本人に任されるところで、ざっくり言えば「気合いで何とかしろ」みたいな感じだったんだろうなと思います。体調管理するのも学校生活のうち、みたいなきれいな言葉で見えなくなっていたものが多かっただろうなと思います。

季節や寒暖、女性の周期による不調などについて、発達障害やそうした特性のある子は特に自律神経の調整の難しさを抱えやすいとは言われていますが、そうでなくてもいわゆる「頭痛持ち」、「生理が重い」といった人は多くいることでしょう。そうしたことについて、相談しやすい学校・社会であるといいなぁと思います。不調を押して授業を受けていても、上の空になってしまうわけで、どうしたら学習や学校生活にもっと取り組みやすくなるのかという視点から、さまざま見直されるといいなと感じます。
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