頑張る時期が周りより5年ズレてた!?中高時代、成績最悪だったADHD息子が18歳でようやくみつけた勉強法

ライター:かなしろにゃんこ。
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ADHD(注意欠如多動症)と広汎性発達障害(ASD/自閉スペクトラム症)がある息子のリュウ太のテスト結果は最悪。勉強にヤル気が起きなかった理由を中高時代を振り返って勉強モードになれなかったり、短期記憶が苦手だったり落ち込んでいた当時の心理を本人が話してくれました。
ADHD(注意欠如多動症)のある人の勉強法ついて、専門家の解説と共にご覧ください。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

ADHD(注意欠如多動症)にお勧めの勉強法は?

ADHD(注意欠如多動症)には不注意・多動性・衝動性の3つの症状があり、これらの症状の出方によって大きく3つのタイプに分けられています。

1. 不注意優勢型
気が散りやすく、物事に集中することが苦手な傾向があります。ただし、やりたいこと、好きなことに対しては強く集中して取り組み、これを切り上げるのが難しい面があります。また、忘れ物やなくしものが多く、ぼーっとしているように見える傾向があります。

2. 多動性-衝動性優勢型
落ち着きがなく、授業中でも歩き回ったり、体を動かしてしまうなど、じっと座っていることが苦手な傾向があります。衝動が抑えられず、文脈を読まずに唐突な質問をしたり、うまくこたえてくれないと大声を出したり、乱暴になったりしてしまい、反抗的だととらえられやすい面もあります。衝動的に不適切な発言をしたり、自分の話ばかりをすることもあります。

3. 混合型
多動性-衝動性優勢型と不注意優勢型、どちらの特徴も併せ持っているタイプです。どれが強く出るかは人によって異なります。

ADHD(注意欠如多動症)は脳の機能障害であり、本人の努力不足や保護者の育て方が原因ではありません。

ADHD(注意欠如多動症)のある人におすすめの勉強法は

・刺激の少ない環境をつくる
ADHD(注意欠如多動症)の人は、なにか目に入ると気になって集中が切れてしまう傾向があります。刺激の少ない環境の中で勉強できるように、机の周りには気を取られるようなものをなるべく置かない、静かな環境をつくるようにしましょう。

・短い期間で目標を設定する
集中力の持続が難しいため、「1問だけ解いてみる」「10分だけやってみる」と時間を区切って繰り返すとよいでしょう。短い集中を繰り返すことで、勉強に集中しやすくなってきます。

・やることをTo Doリスト化して、視覚的に認識できるようにする
頭の中だけだとタスクが整理できず、なにをすればいいか分からなくなってしまう場合、やることをTo Doリスト化すると、頭の中が整理できるとともに、集中力の維持にもつながります。やる順番ごとにリスト化して、その中に休憩時間も入れておくと、モチベーションアップにもつながるでしょう。
井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
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以下からは、リュウ太さんが自分にあった勉強法を見つけるまでのエピソードです。専門家のコメントと併せてご覧ください。

※広汎性発達障害…以前は対人関係の困難、パターン化した行動や強いこだわりの症状がみられる障害の総称として「広汎性発達障害」が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では自閉的特徴を持つ疾患は包括され、2022年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。

なかなか勉強モードになれない息子

予習復習、テスト勉強を一切やったことがない
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「覚える」というのが苦手な息子
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ADHDと広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)がある息子のリュウ太。小学生のころは、感覚過敏があって教室にいることがつらかったり、教室での勉強に集中できないことがほとんどでした。

中学校では、遊びほうけていました。せっかく通っている塾をさぼったり、テスト勉強をいっさいやらなかったり…。高校受験を控えているにも関わらず勉強することを真剣に考えていないようでした。それは、将来のことがぼんやりしていて、イメージできていないことや、特性によって勉強に集中できないという理由があったようです。

勉強に取り組めるようになったのは18歳から! なぜそれまでできなかったか本人に聞いてみると……。

現在はそんな息子も23歳。最近になって息子に聞いてみると、将来のことに目を向けて勉強にちゃんと取り組めるようになったのは18歳のとき。専修学校高等課に通っていたころからだったと言います。(遅っ!!)
なかなか勉強モードになれない息子
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なぜそれまで勉強に取り組めなかったのか。特に中学校のころ、一般的に将来について考え始めるようになる高校受験の時期に、どうして受験勉強に真剣に取り組めなかったのかを息子に聞くと、こんな答えがかえってきました。

1、学校の勉強と塾の勉強と学校の宿題の3つは気持ち的にキツイ。学校に行くだけで疲れてしまっていた。
「ボー――っと音楽を聴いたりくだらない動画を見て自分を癒したいって思っていたんだよね。勉強はそのうちやればいいだろうって後回しにしてた」


2、イヤなことは追い詰められないとできない。追い詰められてもできない。逃げたくなる。
「勉強ってどこまでやったら記憶できるか、分からなかった。できるまでやるには相当な努力をしなくちゃいけないのか?と疑問に思ってた。自分はそこまでの努力をしたことがないから、全く分からなかった」

だから、親に促されて勉強をしてもパフォーマンスに留まり、身になる学習には結びつかなかったというわけでした。

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