発達障害長男、中1の壁の洗礼!テスト範囲を間違え、課題は未提出…大変なこともあるけれど
ライター:スガカズ
中学生になると自立を求められる場面が増え、小学生とは違う困り事が増えてきます。こちらでは、発達障害のあるお子さんが中学校で感じた困り事について、専門家の解説と共にご紹介しています。
ASDとADHDのある長男が小学生のときは、本人がぶち当たる課題に対して学校とも連携が取りやすく、こちらの意向も伝わりやすかったのですが、中学生になると同じようには行きませんでした。
頭を抱え、親子ともに迷走した1年でした。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
発達障害のある中学生の子どもにみられる困りごとは?
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさによって困りごとが生じる障害のことです。発達障害の特性と周囲の環境にミスマッチがあると、日常生活でさまざまな困りごとが生じてきます。
例えば、中学生の困りごとの傾向として見られる傾向には以下のようなものがあります。
・暗黙のルールがわからない、冗談が通じないといったコミュニケーションのずれが起こる
・新しい人間関係が築きづらい
・勉強についていけない
・授業に集中し続けることが困難になる
・テストのために計画を立て勉強することが難しい
・遅刻が多くなる
・忘れ物やなくしものが増えたり、課題の提出ができない
・制服の肌触りが気になる など
こういった困りごとを減らしていくためには、工夫やそれぞれの子どもに合ったサポート(合理的配慮や療育/発達支援)が大切になります。
また、思春期に入る中学時代は、保護者とのコミュニケーションにも変化が訪れます。指示の仕方ひとつにしても反発が返ってきたり、関わり方にも工夫が必要になってくる時期です。さらに小学生時代とは違い、各教科で先生が異なるため提出物なども保護者が把握しづらく、フォローのしにくさも生じてくるかもしれません。
例えば、中学生の困りごとの傾向として見られる傾向には以下のようなものがあります。
・暗黙のルールがわからない、冗談が通じないといったコミュニケーションのずれが起こる
・新しい人間関係が築きづらい
・勉強についていけない
・授業に集中し続けることが困難になる
・テストのために計画を立て勉強することが難しい
・遅刻が多くなる
・忘れ物やなくしものが増えたり、課題の提出ができない
・制服の肌触りが気になる など
こういった困りごとを減らしていくためには、工夫やそれぞれの子どもに合ったサポート(合理的配慮や療育/発達支援)が大切になります。
また、思春期に入る中学時代は、保護者とのコミュニケーションにも変化が訪れます。指示の仕方ひとつにしても反発が返ってきたり、関わり方にも工夫が必要になってくる時期です。さらに小学生時代とは違い、各教科で先生が異なるため提出物なども保護者が把握しづらく、フォローのしにくさも生じてくるかもしれません。
以下は、小学生の時は学校と連携をとり過ごすことができていた発達障害のお子さんが、中学生になり複雑化する人間関係や学校生活の中でどのように過ごしたかを紹介した実際の体験談です。専門家のコメントと併せて是非御覧ください。
自主・自立を求められる環境に親子で迷走した一年間
勉強はつまずくところばかり
中学校は小学校のころとは違って、自主自立の精神が求められていると感じます。
発達に凸凹のある長男は小6のときに受けたWISC-IVの結果で処理速度が低いことが分かっています。また、注意散漫、過集中といった特性もあり、学校で次の行動に移るときに時間がかかったり、やるべきことを忘れてしまうことも多いです。
中学校では課題は教科ごとにあり、提出日はバラバラ。課題がでていることを忘れてしまうので、プリントや教科書など、帰宅してから使うものを学校に置いたままにすることがよくありました。気づいた時点で学校に取りにいけばよいのですが、長男は自宅から通学するのに1時間ほどかかる私立中に通っているので、取りに行くのは難しいです。
入学してからそのことを学級担任に相談しました。
先生は、課題を見える化できるように、「課題チェックシート」をつくってクラス全員に配布してくれました。シートに教科、内容、日付、締め切りを予め記入しておけば抜けもれを防ぐことができます。
始めのころは長男も活用していたのですが、もともと「忘れないようにメモをとる」こと自体を忘れてしまう子です。小学校までは家庭で声をかければなんとかなっていたのですが、中学校に入ると小学校のときほど家庭で把握できず、家庭で声かけするといった配慮は難しいです。2ヶ月ほど経つころにはそのチェックシートを使わなくなっていました。
中学生になり慣れないことの連続で、本人は大変だっただろうと思いますが、「せめてメモをとってくれたら手伝えるのになぁ…」と、何度思ったことでしょう。
また、中学校は教科担任制なので、学級担任(クラスの先生)が一人ひとりの各教科の状況を詳細に把握することは難しいようです。
そのため、学級担任と話をしたあとに保護者ができることはかなり限られる気がします。
発達に凸凹のある長男は小6のときに受けたWISC-IVの結果で処理速度が低いことが分かっています。また、注意散漫、過集中といった特性もあり、学校で次の行動に移るときに時間がかかったり、やるべきことを忘れてしまうことも多いです。
中学校では課題は教科ごとにあり、提出日はバラバラ。課題がでていることを忘れてしまうので、プリントや教科書など、帰宅してから使うものを学校に置いたままにすることがよくありました。気づいた時点で学校に取りにいけばよいのですが、長男は自宅から通学するのに1時間ほどかかる私立中に通っているので、取りに行くのは難しいです。
入学してからそのことを学級担任に相談しました。
先生は、課題を見える化できるように、「課題チェックシート」をつくってクラス全員に配布してくれました。シートに教科、内容、日付、締め切りを予め記入しておけば抜けもれを防ぐことができます。
始めのころは長男も活用していたのですが、もともと「忘れないようにメモをとる」こと自体を忘れてしまう子です。小学校までは家庭で声をかければなんとかなっていたのですが、中学校に入ると小学校のときほど家庭で把握できず、家庭で声かけするといった配慮は難しいです。2ヶ月ほど経つころにはそのチェックシートを使わなくなっていました。
中学生になり慣れないことの連続で、本人は大変だっただろうと思いますが、「せめてメモをとってくれたら手伝えるのになぁ…」と、何度思ったことでしょう。
また、中学校は教科担任制なので、学級担任(クラスの先生)が一人ひとりの各教科の状況を詳細に把握することは難しいようです。
そのため、学級担任と話をしたあとに保護者ができることはかなり限られる気がします。
課題未提出、常連に…
学級担任からときどき保護者向けに連絡網が届くのですが、その中に「課題未提出の生徒」として長男の名前が挙げられていました。
長男に聞くと「出した」の、一点張り。学級担任に電話で確認すると、「教科担任に言われたことを集約しているだけなので、私は分からないです」と返答がきました。
課題を出したか否かは、各教科担任にしか分からないのです。……これは、親が把握をするのは難しいと思います。
あとから、その日の課題は長男の言った通り提出できていたと分かったのですが、別の日では出していないことも多く、長男は課題未提出の生徒の中では常連です。
未提出の課題に加えて、常に次の課題もこなす必要があり、なかなか全てをこなす時間が取れません。日を追うごとに未提出の課題がたまっていきます。加えて範囲が分からなくなってしまうという場合もたくさんありました。
この困りごとは、友達に携帯電話で「課題の内容(または試験の範囲)は何だっけ?」と聞くことで解決することもあります。
聞くと友達も教えてくれるのでよかったのですが、私が「友達に聞いてみたら?」と言わない限り本人は誰にも聞かないことがもう一つの問題でした。
長男に聞くと「出した」の、一点張り。学級担任に電話で確認すると、「教科担任に言われたことを集約しているだけなので、私は分からないです」と返答がきました。
課題を出したか否かは、各教科担任にしか分からないのです。……これは、親が把握をするのは難しいと思います。
あとから、その日の課題は長男の言った通り提出できていたと分かったのですが、別の日では出していないことも多く、長男は課題未提出の生徒の中では常連です。
未提出の課題に加えて、常に次の課題もこなす必要があり、なかなか全てをこなす時間が取れません。日を追うごとに未提出の課題がたまっていきます。加えて範囲が分からなくなってしまうという場合もたくさんありました。
この困りごとは、友達に携帯電話で「課題の内容(または試験の範囲)は何だっけ?」と聞くことで解決することもあります。
聞くと友達も教えてくれるのでよかったのですが、私が「友達に聞いてみたら?」と言わない限り本人は誰にも聞かないことがもう一つの問題でした。
思春期でコミュニケーションが取りづらくなる時期
平日、部活がある日は帰宅が夜7時を越えるので、小学校のときよりも親子のコミュニケーションをとる時間が少なくなりました。
長男は、帰宅してまず自分の自由時間を確保してからようやく日常生活(ご飯、風呂)の行動にうつります。
そうすると課題に取り掛かる時間は多くても30分です。本人がメモをとっていないと課題の内容を親が把握するのは難しいですし、私は本人を信用するしかありません。
私は、「課題は終わった?」「帰る前にメモした?」と本人に聞くと、「終わらせたってば」と、煩わしそうに答えます。
また、平日の夜は、長男に話しかけても無視されることが目立ってきました。
きっと「うるさいなぁ…オレの自由時間を邪魔しないでよ」と思っているのでしょう。
中間期末試験では、範囲を間違っていたり、気持ちの切り替えができず勉強の時間を確保できなかったりしたため、それが成績にも顕著に現れました。
教科担任に相談しました。
どうやら先生も、長男のやる気を引き出すポイントを模索しているようでした。
先生からは「大学附属の私立中学校なので、基本的には進学先はありますが、このままだと自分のやりたいことが明確になったときに、ほかの大学や希望の学部学科などの進学先を選べないかも知れません」と返答がありました。
長男は、帰宅してまず自分の自由時間を確保してからようやく日常生活(ご飯、風呂)の行動にうつります。
そうすると課題に取り掛かる時間は多くても30分です。本人がメモをとっていないと課題の内容を親が把握するのは難しいですし、私は本人を信用するしかありません。
私は、「課題は終わった?」「帰る前にメモした?」と本人に聞くと、「終わらせたってば」と、煩わしそうに答えます。
また、平日の夜は、長男に話しかけても無視されることが目立ってきました。
きっと「うるさいなぁ…オレの自由時間を邪魔しないでよ」と思っているのでしょう。
中間期末試験では、範囲を間違っていたり、気持ちの切り替えができず勉強の時間を確保できなかったりしたため、それが成績にも顕著に現れました。
教科担任に相談しました。
どうやら先生も、長男のやる気を引き出すポイントを模索しているようでした。
先生からは「大学附属の私立中学校なので、基本的には進学先はありますが、このままだと自分のやりたいことが明確になったときに、ほかの大学や希望の学部学科などの進学先を選べないかも知れません」と返答がありました。