「認知の力」は学習の土台に!5つの認知機能をパズルやナゾトキで鍛える『コグトレ』とは――児童精神科医・宮口幸治先生

ライター:宮口幸治
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これまでの少年院での勤務や教育相談などを通して、子どもたちと向き合ってきました。
今回は、相手の表情を読んだり、人の気持ちを想像したり、次に何をしたらいいのかを考えるといった土台になる「認知の力」についてお話ししたいと思います。

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執筆: 宮口幸治
児童精神科医
児童精神科医として、困っている子どもたちを教育・医療・心理・福祉の観点で支援する「日本COG-TR学会」を主宰し、全国で支援者向けに研修を行っている。

認知能力と非認知能力の違いって?

みなさんは、「非認知能力」という言葉をご存じでしょうか。昨今は、学力やIQといった数値では計れない、協調性やコミュニケーション力、思いやりなどを指して「非認知能力」と称し、「非認知能力が大事だ」という風潮もあるようです。

でも、実は、「非認知能力」という言葉はあいまいで、何を指すのかといった決まった定義がありません。それにわざわざ非認知能力という言葉を使わなくても、協調性などが大切なのは誰でも知っていることです。

一方で、例えば、相手の表情をしっかりと見て、あわてているのか、怒っているのかを察するには、「見る力」も「想像する力」も必要でしょう。見て、想像する力は認知の力そのものです。相手の表情を読んだり、人の気持ちを想像したり、次に何をしたらいいのかを考えるには、すべて「認知の力」が土台になっているはずなのです。

「認知の力」には5の要素が含まれる

では、「認知の力(認知機能)」とは何でしょう?それには、「注意」「記憶」「言語理解」「知覚」「推論・判断」という5つの要素が含まれます。

そして、この5つの要素を強化させるために、考案されたのが「数える」「覚える」「写す」「見つける」「想像する」力を伸ばすトレーニングです。題して「コグトレ」です。コグトレとは、「認知機能に特化したトレーニング」で、Cognitive(コグニティブ:認知)とTraining(トレーニング)の頭文字をとったものです。
5つの認知機能
Upload By 宮口幸治

開発までに5年かかったトレーニング

これまで、児童精神科医として少年院で勤務をしたり、とある自治体の教育相談などを受けたりして、子どもたちと向き合ってきました。すると、「見る・聞く」「数える・想像する」といった認知機能が弱くて、学業不振につながっているケースが多いことに気づきました。

現在、提供しているコグトレは、約5年間の歳月をかけ開発し、医療少年院でトレーニングを実施して検証し、手ごたえの得られた認知機能強化トレーニングをアレンジしたものです。
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