周りには既にグループが…「小学校で友達つくるぞ!」幼稚園でウケた持ちネタ披露も大すべり!ASD息子が学んだ友達の輪への入り方
ライター:寺島ヒロ
うちの息子タケルは自閉スペクトラム症(ASD)があり、21歳の今は障害のある学生として大学からの配慮を得ながら通っています。しかし、小学校に上がる6歳のころは、発達障害があるとは分かっていませんでした。小学校に通うようになってしばらくは、周囲との関わり方が分からず、本人も、周りも困惑することが多かったようです。
今回は、タケルが小学校に入ったばかりのころの出来事を、思い出しながら書いてみました。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
周囲は知らない人ばかりの小学校一年生
タケルは私立の幼稚園に3年間通い、地元の公立の小学校に進みました。新学期が始まってみると、周りはほとんど小学校付属の幼稚園から来た子たち。すでにお友達グループができているようだったので、この中に入っていくのは、難しそうだな、と思いました。
幼稚園でウケた「大技」を披露
しかし、言われたことはそのまま受け取るASDの息子のこと、入学式での「お友達をいっぱいつくってくださいね」という校長先生のスピーチに、すっかりやる気になりました。
早速「友達つくるぞ!」と、入学式の後、校庭で立ち話をしている男の子たちのグループに割り込みますが、知らない子が無言で入ってきても、話しかけてくれる子はいません。なんとなく距離を空けられ、いつしか解散してしまいます。
なんて言って良いか分からないのかな…と、ハラハラしながら見ていると…大人びた感じの女の子が近づいてきました。どうやら、タケルが子どもたちの輪に入れないことを見て、話しかけてくれようとしているみたいです。
良かった…!
と、思ったのもつかの間、
と、思ったのもつかの間、
タケルが、急に大きな声で「ピコーン!ピコーン!」と言いながら飛び跳ね始めました!
あれは…!「某有名ゲームのキャラクターが21連続でコインを叩く」というタケルの持ちネタ…!
しかし、そんなことは知るよしもなく…汗だくになりながら「ピコンピコン」と繰り返すタケルに恐れをなし、女の子は半泣きでどこかに行ってしまいました。
大滑りを経験して思ったこと
友達をつくるぞ!と意気込んでいたものの、幼稚園ではテッパンだった「ゲームの真似」も不発に終わり、当時はタケルも相当落ち込んだようです。
幼稚園では、物心つく前から一緒にいた仲間だったので、特に彼らには前振りなどなくても、タケルが何かネタを披露していると集まってきて、笑ってくれてたのですよね。でも、知らない人ばかりの中では、タケルは、急に予想のつかない動きを始めるコワイ人でしかありませんでした。