ギャン泣き経験なし!発達障害で感覚過敏の私が「耳鼻科や歯科が大好き」だったワケ

2022/05/09 更新
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発達障害による感覚過敏がある私。意外にも病院はけっこう好きでした。今回は病院についての小さなころの思い出についてお話します。

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宇樹義子
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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

意外にも好きだった耳鼻科や歯医者

発達障害のせいで感覚過敏がある私。小さなころは、特定の感触の服が不快で着られない、大きな音を怖がって泣き出す、食感が気持ち悪いと言って食べられないものがある、香料で気持ち悪くなるなどの傾向がありました。

そんな私、病院なんか不快刺激が多くてギャン泣きしていたかというと、実はそんなことありませんでした。むしろけっこう病院が好きだったのです。

特に耳鼻科や歯医者などは今思い出しても楽しかったなと思えます。

好奇心が勝る

耳鼻科や歯医者が特に好きだったのは、いろいろな機械があったり、変わった薬の瓶や道具が並べてあったりしてとても好奇心をくすぐるからでした。次になにを使うのかな、機械がどう動くのかな、と想像しながら治療されるのがとても楽しかった。

耳鼻科や小児科で鼻や口に当てるネブライザーも大好き。看護師さんがスイッチをカチッと入れると機械がブブブブブと震えて、その振動でガラスやプラスチックのアンプルの中にある薬液が震え、同時に空気が噴射されることで霧が出る。霧の味はちょっとしょっぱい。ベースはたぶん生理食塩水… 小さなころはこのように明確に言語化はできませんでしたが、こういった仕組みが動くのを私は夢中で観察していました。

耳鼻科医や歯科医の先生の特有の格好やまぶしい照明、治療しやすいように形が変わる治療用の椅子も、ちょっと怖いけど面白かったなあ。小学校低学年だったと思いますが、かっこいい医者のマンガにハマり、「あのマンガの世界みたいだ!」と、医療の世界への憧れムンムンでもありました。

特定の感覚刺激にハマる

私は感覚過敏のせいで苦手な感覚刺激は極端に苦手なのですが、逆になんらかの理由で好きだと感じた特定の感覚刺激にハマることがありました。

病院の消毒薬のにおい、耳鼻科のハッカ油の添加された点鼻薬の味、歯医者で塗られる薬の味、風邪をひいたときに出されるシロップ薬の味。小児科で喉を診るときに舌を押さえる器具の感触、胸に当てられる聴診器の冷たさ。

今では小さなころほどの感動はありませんが、病院で好きな感覚刺激に出合うと今でも「ああ、これこれ!」とニヤニヤしそうになります。

「下へも置かない」扱いの心地よさ

小さなころの私にとって、病院へ行くことは一種のちょっと楽しいイベントでした。

両親が共働きで普段祖父母に預けられていたのですが、病院へは普段いない母か父が付き添ってくれるのが嬉しかったのです。

子ども用の待合室には絵本や児童書がたくさん置いてあって読み放題だし、壁には可愛い動物のお飾りなどがしてある。おもちゃもある。途中で疲れてきて少しぐずることはありましたが、本もあるし隣で親がおしゃべりの相手をしてくれるので、基本的には長い待ち時間も退屈はしませんでした。

お医者さんも看護師さんもみんな優しいし、両親も私が機嫌を損ねて素直に治療を受けなかったら大変だからか、いつもよりも優しかったように思います。

みんなが、私が安心して機嫌よくいられるように扱ってくれる。治療を受ける私がいちばんの主役になるのも心地よかったですね。

「病院は楽しいところ」と思わせられるといいかも

自分に照らして考えてみて、子どもには「病院ではいい思いができる」と感じさせられるとうまくいきやすいのかなと思います。

その子によって興味を持つものや気に入るものは違いますし、感覚過敏の程度も違うので一概には言えませんが、子どもや発達障害児の扱いに配慮のある病院を選ぶこと、また、本人には可愛らしい絵本や楽しいごっこ遊びで「病院では何をするのか」を理解させ、興味を持たせておくことは大事な気がします。

普段通わず、具合が悪いときにだけ行くと、体調の悪さと病院へのイメージが紐づけられてしまう可能性もあるので、もし余裕があれば何もなくとも予防の意味でも定期的に病院に通うことをするのもいいかもしれません。

健康管理のためには病院通いはとても大事。楽しみと余裕を持ってこなせるようになるといいですね。

文/宇樹義子
(監修:鈴木先生より)

一般に顔に直接触れられてしまう歯科や耳鼻科が感覚過敏のお子さんには苦手です。特に音過敏のお子さんには歯科の機械音が大の苦手です。今回は珍しいケースですが、プラス思考で病院通いしていることがすばらしいと思います。さらに、医師、看護師、受付の人とも相性が良かったのだと思います。一つでも嫌なことがあるとそのこだわりやフラッシュバックが続いて通うのが嫌になるケースが多いのです。機械類があるのを楽しみとし、臭いや味に関しても好きな感覚刺激としてとらえ、病院は苦ではなく楽しいところと考えを転回することも工夫の一つかと思いました。親を含めた周りの人がみんなやさしいとうまくいくのです。病院だけでなく学校もそうありたいものです。
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