1歳半健診チェック項目「ほぼ〇なし」に愕然。発達がゆっくりなだけ?息子の障害に気づいた3つの出来事【小児科医による1歳半健診ポイント解説も】

ライター:べっこうあめアマミ
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1歳半ごろは、心身の発達に大きな差が出てくる時期とも考えられています。発達がゆっくりな子どもには、早期に支援を行うことが必要な場合もあります。この記事では、大切な乳幼児健診の一つである1歳半健診について、実際の体験談と共にご紹介します。

『私が息子の発達に違和感を覚えたのは、息子が1歳のころです。
そのころの息子のどんなことが違和感に感じたのか、そしてどうしてその違和感が「もしかして発達障害?」という思いにつながっていったのかを、お伝えしたいと思います』

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

1歳半健診とは?

3歳児健診と並んで重要な1歳半健診(1歳6ヶ月児健康診査)は、1歳半~2歳の間に受ける乳幼児健診の一つです。各市町村の保健センターなどで行われることが多く、子どもの心身の発達や疾患の有無を確認したり、子どもと保護者をサポートしたりすることが目的とされています。

体だけでなく、運動、言語、生活習慣、社会性などを総合的に診るのが1歳半健診の特徴ですが、現状は身体の健診がメインとなっています。従って、言葉の遅れや癇癪など身体以外に心配な点があれば保護者から保健師に事前に相談してみましょう。なお、健診では担当する医師は、ときには内科医、眼科医、耳鼻科医など小児科医以外の医師が診ることもあります。

1歳半の子どもの発達の特徴

乳幼児の発達のスピードには個人差がありますが、一般的には、1歳6ヶ月までに、以下のような動作、ことばを獲得していくといわれています。

・アイコンタクト
・呼名反応
・模倣(大人の動作を真似るなど)
・注意喚起(親の注意を自分にひきつける)
・共同注意(親の視線を目で追ったり、自分の興味あるものを指さしで親に伝えるなど)
・見立て遊び
・意味のある言葉(「ママ」「ワンワン」など)➡遅くても2歳までに出ればいい
・2語文(「ママ ねんね」「ワンワン いた」など)➡遅くても3歳までに出ればいい

1歳半は、心身の発達に大きな差が出てくる時期とも考えられています。発達がゆっくりな子どもには、早期に支援を行うことが必要な場合もあります。そのためにも、1歳半健診で子どもの発達状況を把握しておくことはとても重要です。

1歳半健診でのチェック項目は?

1歳半健診では、下記の項目をもとに子どもの様子を診ていきます。事前に保護者がアンケートに回答し、それをもとに担当医師が健診、問診を行います。

◎身体発達
・身長
・体重
・栄養状態
・背骨や胸、皮膚、口腔内に疾病がないか
・歩行や運動、指先の協調運動ができているか  など

※特に歩行や運動、指先の協調運動については問診の時間だけで気づかれにくいこともあるため、気になることがあれば、問診時に医師に伝えましょう

◎精神発達
・言葉の発達の遅れ(意味のある言葉を話すか、絵本を見て知っているものを指さすか)
・視線(視線が合うか、追視できているか)
・呼びかけへの反応 
・大人の真似をしたがるか 
・周囲の人やほかの子どもたちに関心を示すか など

そのほか、排泄のしつけを始めているか、自分でコップを持って水を飲めるか、おとなしすぎると思ったことがあるか、などの生活・情緒面の発達、予防接種の実施状況、育児上問題となる事項がないか、などについても確認します。

➡精神発達については主に保健師が聞き取りを行います。集団健診の場合、医師が問診できる時間は短いことが多く、短時間で発達に関するすべてを確認するのは難しいためです。
保護者が今のお子さんに心配な点「ベスト3」を担当医師や保健師に伝えてみてください。それ以外のことはかかりつけ医に相談するか、または後日個別に保健師に相談するとよいでしょう。発達につまずきがあったり、言葉が遅れていたりする場合は二次健診をすすめられることもあります。そこで初めて神経発達専門の小児科医が診ることになります。

どこに相談したらいい?

乳幼児の発達には個人差がありますが、ことば、運動、社会性などに遅れがある場合、知的障害(知的発達症)や自閉スペクトラム症(ASD)、聴覚障害などの可能性も考えられます。

子どもの発達について気になることがあるときは、まずはかかりつけ医に相談し、担当医が分からない場合には以下のような専門機関に相談してみましょう。

・児童発達支援センター
・発達障害者支援センター
・療育センター
・児童相談所
・発達障害の専門医療機関(小児科、児童精神科など)※予約が混んでいることも多いため、同時進行で上記4ヶ所にも相談してみましょう。

以下で、一歳半健診についての実際の体験談をご紹介します。小児科医のコメントと併せて読んでみてください。

単に発達がゆっくりなだけ…?1歳のころの息子の発達

息子は、重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症があります。「重度」というと、幼いころからはっきり障害の特徴が出ていたのだろうと思われるかもしれませんが、知的障害や発達障害は、子どもが幼いうちは分かりづらいことも多いです。
保健師さんに「困ったことは?」と聞かれて言葉に詰まってしまう
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1歳のころの息子は、よく寝ますし、よく食べますし、癇癪もそれほど起こしませんし、それほど泣きませんし、目立った問題行動もありませんでした。ですから私は、息子の育児に困っている訳ではなく、発達の遅れに悩んでいる、という状態だったのです。当時の息子は、むしろ育てやすいくらいだったので、よくテレビや本などで見る「発達障害がある子の育児」とは少し違うようにも感じていたのです。

あるとき、息子のかかりつけの病院の先生に、発達障害と知的障害の違いについて聞いてみたことがありました。今思い返すと、息子はまさにそのとき聞いた「知的障害」の発達の仕方に近いような気がします。先生から聞いた話をかみ砕くと、できることとできないことの差が大きくて発達に凸凹があるのが「発達障害」、全体的に発達がゆっくりなのが「知的障害」、ということでした。

1歳くらいだと、何も障害がなくてもまだできないことが多いですし、発達の個人差も大きいです。ですから私は、漠然とした不安を感じながらも、「単に息子は発達がゆっくりなだけ」とも思っていました。

息子の発達の遅れを意識した3つのポイント

そんなモヤモヤを抱えつつも子育てをしていた中で、私が決定的に「息子の違和感」に気づいた3つのポイントがありました。

ほかの子どもは歩いているのに歩かない

歩くのが遅かった息子
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息子は、1人で立ったり歩いたりすることができるようになるまでに、とても時間がかかりました。ハイハイやお座りまでは順調だったことで完全に油断していた私は、息子が1歳のころ、児童館で息子より年下の子どもが歩いているのを見て、はじめて息子が「未だに歩かない」ことに違和感を感じました。

ほかの子どもはしゃべっているのにしゃべらない

息子は私にとって第一子だったので、通常子どもがどのくらいから喋り出すのか、あまりピンときていませんでした。ところが、そんな私にとって印象的なできごとがありました。
教えたら言うようになると言われたけれど…
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児童館でよく一緒になった、息子と同じ歳の女の子が、電話のおもちゃを耳にあてて「もしもーし」と言ってみせたのです。その女の子のお母さんが、「教えたら言うようになりますよ」と言っていたので家で息子にも教えましたが、息子は全く言う気配もなく…。

このとき、息子がほかの子どものように言葉を覚えていないことを知り、同時に息子が「未だに1つも発語が無い」ことに違和感を覚えました。

1歳半健診のチェック項目のほとんどに〇がつかない

一歳半健診の項目に驚き
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1歳半健診が近づき、問診票が届くと、問診票のチェック項目にほとんど〇がつかないことに衝撃を受けました。慌てて、チェック項目にあった「指さし」を息子に教えてみましたが、全くやる気配がありません。

「歩く」「しゃべる」に比べたらずっとハードルが低いと思っていた「指さし」ですら息子ができないことに、「問診表にあることもできないの?」と、息子の発達への不安は決定的になりました。

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