発達性協調運動症と自閉スペクトラム症(ASD)との関係

自閉スペクトラム症(ASD)がある子どもは、コミュニケーションが苦手だったり、感覚の過敏をともなったり、苦手なことでパニックになってしまう、見通しが立たないことに不安を感じてしまうなどがあります。さらに発達性協調運動症があると、うまくできないことが多くなり、遊びなども楽しむことができない可能性もあります。

自閉スペクトラム症の併存症はさまざまありますが、約70%以上の人が1つ以上の精神疾患を持っているといわれています。特に知的発達症が多いですが、その他ADHDや発達性協調運動症、学習障害、不安症、抑うつ障害などがしばしば併存します。
参考:発達障害の特性(代表例)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/e-learning/hattatsu/characteristic.html
参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html

発達性協調運動症と知的発達症(知的障害)との関係

知的発達症(知的障害)のある子どもは知的能力のみならず、体力や運動能力においてもさまざまな課題を抱えている場合があります。
知的発達症のある子どもは、体力・運動能力が、年齢とともに向上しないケースもあります。これは、知的発達症によくみられる自閉傾向、あるいは身体動作の障害のために運動への拒否を示す子どもでは、成長期であるにもかかわらず、本来動かすべき運動や身体を働かす機会が少ないがゆえの身体能力の低下現象とも推察されています。
参考:知的障害児の発育期における運動能力について|J-stage
https://doi.org/10.9748/hcs.2014.78

診断基準ごとの違い

現在使われている精神疾患の診断基準は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』5版テキスト改訂版)と世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(※)による診断基準があります。

現在、最新の診断基準である『DSM-5』が主流になりつつありますが、医師や医療機関によってどちらの診断基準に準拠しているかは異なります。

発達性協調運動症における診断基準の違いは、『ICD-10』と『DSM-5』で異なる点があります。『ICD-10』では発達性協調運動症は心理発達の障害に分類されるため、精神遅滞と知能指数が重要になります。

現在DSM-5、ICD-10では診断名は「発達性協調障害」となっていますが、ICD-11では「発達性協調運動症」と名称が変更されており、神経発達症群に入っています。
ですので診断基準も『ICD-10』『DSM-5』から変わってくる可能性もあります。

※2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。WHOでの公表・承認を受けて、各国では翻訳やICD-10/11 変換表の作成、疾病分類表、死因分類表の作成などの作業が進められ、審議、周知などを経て施行されていきます。ICD-11への改訂によって分類コードが変化すると、書類上で要求されるICDコードが変わったり、疾病概念やカテゴリー、名称や診断基準も変更になる可能性もあります。
参考:ICD-11における神経発達症候群の診断について|公益社団法人 日本精神神経学会
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1230040214.pdf
参考:ICD-11 | 世界保健機関(WHO)
https://icd.who.int/en/
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